10/21

朝、レンが先に目覚め、水槽をいじってた。
仕事が休みだったから。
熱帯魚がほんとに好きなんだな…。
私ももう少し勉強しようと思った。
8時半にレンといっしょに家を出て病院を目指した。
その車の中で、私は罪悪感とか悲しみとかが我慢しきれなくなってついに涙が出てしまった。
そりゃ、レンの前では平気そうに振る舞ったけど(それのせいで人間的に疑われたけど)辛くないわけない。
手術に対して不安を抱いたんじゃない、子供に申し訳なかった。
レンはそんな私を気遣って、「赤ちゃんは親を選んで宿るんだよ。だからこの子はおろされると分かってたけど、俺らを選んだんだよ。きっと、どうしても俺らの子供になりたかったならまた宿ってくれるよ」と言った。
身勝手で都合のいい話かもしれない、でもその時の私には、その言葉が救いに思えた。
説明を受けて、手術開始。
麻酔の針を射してから、記憶は全くない。
ずっと変な夢を見てた。
赤とピンクの滑り台みたいなやつに、ふたりの生き物がにこにこしながら流れていってたのは覚えてる。
目が覚めたらベッドの上だった。
普通は二時間くらい寝てるはずだったけど、40分くらいで目を冷ましたらしい。
視点が合わなくて、レンの顔がぐしゃぐしゃに見えたし、体の感覚も平衡感覚もまったくなかった。
呂律も回らないから声は出せても何いってるか自分でもよくわからない。
でもレンが手を握ってくれたのは分かった。
寝てな、と言われた気がしてもう一度眠った。