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凶姫と龍人48

恐らく最上が破壊したのだろう、階段が一階分丸々ない。小さな小十郎達には太刀打ちできないのだ。
小十郎は忌まわしげに階段の残骸を蹴り飛ばした。
「くそっ!こいつのせいで上に行けねぇ!政宗様…!」
「なるほど、立ち往生するわけだ。三成く……が、、うっ」
「!」
半兵衛が何か言おうとした時、不意に噎せ、胸を抱えて膝をついた。三成は、はっとして半兵衛に駆け寄る。
「半兵衛様、やはりまだ…ッ」
「…くっ……そ…。………三成君、よく聞いて」
半兵衛は、ぐ、と拳を作ると、三成の腕をつかんだ。半兵衛は腰に下げていた剣を取り、三成に押し渡した。
「使い方は知っているね?」
「え…は、はいっ」
「いいかい?伸ばして、戻すんだ」
「へっ?な、なに言ってんだ?」
元親は半兵衛の簡単すぎる説明にすっとんきょうな声あげた。
「伸ばして…。……はい!」
「分かったのかよ!あでっ!痛いぜもとなりぃ」
「喧しいぞ貴様、黙っておれ」
「はーい」
三成は半兵衛に渡された剣をぐ、と握る。自分の刀は腰に下げ、崩れた階段の先の柱に狙いを定め、剣を振るった。
じゃらら、と音がして剣が伸びる。小分かれした剣のパーツの、中心にワイヤーを通すことで伸縮することが出来るのだ。
伸びた剣は上手いこと柱に絡み付き、三成は剣を元に戻させた。柱に絡み付いているから刃は三成の方に戻るのではなく、三成が柱の方へと引き寄せられた。
「!すげぇ」
柱に衝突する直前に剣から手を離し、転がることで勢いを殺して床に着地する。
「行くんだ、三成君!」
三成は半兵衛の言葉に背中を押されるように、腰に下げた刀を左手に握ると外から見えた戦闘場所目指して地面を蹴った。



 バキッ。嫌な音がして家康の槍が中央で折れた。家康は舌打ちして槍を投げ捨て、拳を構えた。政宗はつき出すように来た最上の攻撃をよけ、二人に向かって雷玉を飛ばす。
家康は跳躍して、最上は走って逃げて避けた。家康は跳躍した空中で拳を構え、落ちると同時に拳を叩きつける。
ミシッ、と音がして床に亀裂が入り、政宗は嫌そうに笑った。
「壊してくれんなよ、城に罪はねーだろ?」
「……楽しそうだな」
「楽しい?何言ってんだ、楽しくなんかねぇよ。だけど、はっきりと分かったことがあんのさ」
「なんだと?」
「アンタに石田を任せちゃおけねぇってことだ。You see?」
「……黙れ!」
家康はぎり、と歯を鳴らすと、強く地面を蹴った。
政宗と家康の肉弾戦が始まる。政宗は肌が普通より固い分、家康は小手をはめている分、互いに有利だ。互いに相手の拳を腕に受け、流し、そして殴りかかる。最上は離れたところで様子をうかがっている。
「Ya-ha!!」
「うおおおお!」
家康の拳を首を傾げて避け、それを掴むと政宗はバルコニーから飛び降りた。
「!」
家康は1つ下の階のバルコニーに叩きつけられた。かはっ、と乾いた息が漏れる。上になった政宗はいつの間にか笑顔を消し、家康の首をつかんで持ち上げると、腕だけバルコニーから外へつきだした。
「…ッ……ふ…」
首を掴まれているのでうまく息ができない。政宗はじ、と家康を見た。
「…アンタ、見ねぇ顔だ。昔、gentleman達が来た時にはいなかった。ってぇことは、俺と同じくらいか下か、アンタ」
「………………。え?」
政宗の言った言葉に、家康は僅かに目を見開き、なんとか首を動かして政宗を見る。
そんな家康の表情に政宗はにやっ、と笑った。
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