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聖なる夜のハプニング36

「…………」
政宗の言葉で思い出したのか、家康の表情が曇る。三成はそんな家康をちら、と見たあと政宗同様ドリンクバーで入れて来たカルピスに口をつけた。
「…、そもそも混同した貴様が悪い」
「、だって!」
「私は権現の行動は理解できる」
「……!なんで、」
「それだけ奴は、貴様以上に絆に縛られているということだ」
「!」
三成の発言にショックを受けたようだった家康だったが、続いた言葉にはっとしたようになり、わずかに納得したように視線をそらした。
一方の元親は首をかしげる。
「何、どゆこと?」
「…権現は一軍のトップだ。振る舞いを見る限り、恐らく生まれた時からそうなる立場だった人間だ」
「あー……それは分かる。独眼竜とかもそうだよな」
「つまり、昔から他人の期待を一心に背負わざるを得なかった人間だ。………奴は家康に似ているところがある。そうした期待に応えることが当たり前に、自分が本当に望んでいることに気付かないくらいに当たり前になっている」
「……ほう」
「そんな人間が、自分の部下や民が望むことを差し置いて、自分の友人を優先すると思うか」
「するわけねぇな。まずしねぇわ」
三成は手に持ってからからと振っていたコップを下に置いた。家康は三成の言葉に悲しげに目を細めた。
「ただ、奴は覚悟は出来ている、迷いはない。それが救いだろうな」
「?なんで?」
「確かに迷っているような様子はねぇよな。むしろ迷いなんかあったら凶王さんと面と向かって会えるわけねぇし。でもなんで救い?」
「その方が、凶王も割り切って奴を憎めるだろう。これは自信がないが、多分凶王も権現の事を友人だと思っていたんだろう。だからあんな馬鹿みたいにブチ切れる」
「馬鹿ワロタ」
「ま、私だったら、と考えてのことだから、実際は違うかもしれんがな。……迷いで殺されたのではたまったもんじゃない」
「…あー………確かに、なんか、開き直られた方が…こう楽なもんがある、ってのは分かる。謝られたら、何がしか許さなきゃならねぇところが出てきちまうし」
吐き出すように言った三成の言葉に、元親がぼそりと賛同した。家康は目を伏せ、政宗はため息をついて視線を上に上げる。
少しの間、テーブルに沈黙が流れた。
「…………やっぱ嫌だな、戦争って」
政宗がポツリ、と呟いた。政宗の言葉に三人は政宗を見る。政宗は視線を落とし、がしがし、と髪をかいた。
「…あいつらさァ、ぜってぇ戦争なんかなかったら皆仲良くなれるって、俺らみたいに」
「…………」
「民主主義導入すりゃいいじゃねぇか、なんで出来ねぇんだよ」
「そうする術を知らんからだろう、あるいは、戦争することが当たり前の認識なのか…」
「それってただの馬鹿じゃねぇか……」
政宗は、はぁ、とまあため息をついた。お待たせしましたー、とポテトを持ってきた店員は、やけに重いテーブルの空気に首をかしげながら戻っていった。
「………関わる気なかったけど、なんか見ててイライラしてきた」
「分かる。なんか、もどかしいよな」
「…だが私たちが奴らを修正しようとしたところで何になる、憎しみは他人の言葉程度では早々消えない」
三成の言葉に、政宗はうーん、とうなって頭を抱えた。
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