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聖なる夜のハプニング29

翌日。
「おーし、行くぞー」
信玄からぜひ頼みたい、との返事を受け、伊達、真田、徳川、長曾我部の4名を引き連れ信玄の運送会社に行くことになっていた。迎えに来たのは元親と家康だ。元親の持っている大型車に6人は乗り込んだ。
助手席に家康、運転席に元親がおり、伊達ら四人は後部座席に、そして貸し出しされたつなぎを着ていた。
「このつなぎってのはおもしれぇなァ」
「そうだな!思っていた以上に動きやすい」
「どうでもいいけど西海のォ、上ちゃんと着ろよ…」
元親はバックミラーでちら、と長曾我部を振り返った。長曾我部はつなぎの袖に腕を通しておらず、上着の部分は腰のあたりで結ばれていた。
長曾我部は元親の言葉に、同じく貸し出されて着ていたタンクトップを軽く引っ張る。
「あぁ?ほんとはこのたんくとっぷとやらも嫌なんだよ」
「どんだけ露出狂なんだよ…」
「人を変態扱いすんな!」
「いや事実だろこのクソ寒い時期に」
「はははっ、だけど元親も足とか相当寒い格好してるぞ?」
ぎゃいぎゃいと言い争う二人に家康はクスクスと笑い、ショートパンツに膝丈のブーツ姿の元親をちらりと見てそう言った。
「太ももは脂肪の塊みたいなもんなんだからいいんだよ、あれのはただの筋肉だろ」
「筋肉がこんなぞんざいな扱いされるの初めてだよ」
「俺が寒くねぇんだから別にいいだろ」
「うーん……まぁいいかァ…」
「どうせ信玄さんも同じような格好じゃないか」
「あー、それもそっか。まぁいいや、半裸じゃないだけ」
「あの格好のままだったら確実に変質者だからなぁ」
「ひでぇなアンタら……」
好き勝手に言い合う二人に伊達は腹を抱えて笑い、徳川と真田も顔も背けて肩を震わせている。長曾我部ははぁ、とため息をついて肩を落とした。
「…それにしても、まさか女のアンタ達が送ってくれるとは思わなかったぜ」
「あー、三成と政宗はレポートに追われてっからな。黒田のネーサンはバイトだし、あの家誰もいなくするわけにもいかねぇからなー」
「手が空いてるのワシ達だけだから」
元親は慣れたようにハンドルを片手で操りながらそう答えた。家康も困ったように笑う。伊達は二人の言葉に肩をすくめた。
「野郎四人に女二人、普通恋人なら心配しそうなもんだけどな?」
「ん?ははっ、だからワシがいるんだよ」
「あん?」
家康はぐっ、と拳を構えた。元親はカラカラと笑う。
「家康はキックボクシング女子の部だと日本一だからなァ。本気だしゃ普通の野郎なんか目じゃねぇし、アンタらだって引けは取らねぇよ。連絡して三成とかが来るまで時間稼ぎゃいい話だし」
「……恋人は世界で六位、彼女は日本一かよ。大したcoupleだな」
「はは、日本一でも大したことはないさ」
「いや大したことあるから…。こいつら二人して謙虚だからよ、もはや嫌味に聞こえてくる」
「ええっ」
「行き過ぎた謙虚は確かに嫌味にしかきこえねぇな」
二人に言われた家康はしょぼんと落ち込む。本気でまだまだ、と思っているようだ。
落ち込んだ様子を見せる家康に、元親は冗談ぽく笑って頭を撫でた。
「悪気はねぇって!お前がそんな嫌味な奴じゃないってことも、現状に甘んじない奴だってことも分かってるさ」
「うー……」
「お、着いたぜ!ここここ、武田熱血運送会社!」
「名前に熱血つくのかよ」
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