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聖なる夜のハプニング10

長宗我部は困ったように三成と石田とを見る。家康はその様子に、くす、と小さく笑った。
「…まぁ、あんまりその辺りの詮索はしない方が良さそうだ。……余計なことは知りたくない」
「………」
「知ったところで、何かできるわけでもないしな!」
「そこまでする義理はない」
「はは、それもそうだけど。これも何かの縁、だろう?」
「絆教はやめておけとあれほど」
「絆は宗教じゃないとあれほど」
「…ほんと仲いいなアンタ達」
長宗我部はまるで漫才のような会話を繰り広げる二人に突っ込む気も失せ、どこか楽しそうにそう呟いてシートに体をうずめた。


 「ほうほうこれはまた白いのが来たの」
さほど家は離れていないのか、吉継と三成が住んでいる家にはすぐに着いた。下町らしい雰囲気の二階建ての長屋で、なるほど部屋は多くありそうだった。
石田は僅かに驚いたように吉継を見たが、すぐに視線をそらした。
「どういう組み合わせが良いのかの。空いている部屋は主の部屋を含めても三つよ」
「吉継さん…いくら三成が私物少ないからって勝手に部屋を貸すのはどうなんだ??」
家康の言葉に吉継はけたけたと笑う。
「別によかろ、主のところに泊まる口実にもなるわけであるしー」
「う、嬉しいなんて思ってないぞー」
「まぁ私物の一切が入った箪笥は居間に移してある故気にしやるな」
「おぉ三成、無事であったか」
「刑部!」
下での会話が聞こえたか、階段からひょっこり大谷が顔を見せた。石田は大谷を見つけると、どこかほっとしたように小さく息を吐いた。
三成と家康はぎょっとしたように大谷を見る。
「…浮いている」
「浮いてるー?!」
「主らも驚くのはあれの容姿ではなくそちらなのな」
「包帯まみれは過去の貴様で見飽きた」
「吉継さんいつもハロウィンでやってるじゃないか。時々大仏だけど」
「ヤレ、これは酷いヒドイ」
「あー…と、部屋割りなら俺と石田、毛利と大谷、真田と黒田が一番静かだと思うぜ…」
ぎゃいのぎゃいのと話が進まない面子に長宗我部はおずおずと提案した。吉継は今気がついたとでも言わんばかりに驚いたように長宗我部を見たあと、一番静か、というのに惹かれたかそれでよいと部屋割りを決めてしまったのだった。

 少しして、政宗と元親も吉継の家にたどり着いた。
「お邪魔しマース」
「黒田のネーサン、昨日はどうだったよ」
「開口一番そういう話を出すんじゃない!」
「あでっ」
「さァて、これからどうするか話すとしよ」
居間に一同が揃い、今後の方針を話し合うことにした。
ここでまず、一同の現状を確認しておこう。
政宗と元親、家康、三成は皆大学2年生で二十歳だ。元親と三成は同じ大学に通っている。そして三成は普段は新聞配達の、政宗と家康はそれぞれ私塾の講師の、元親はケーキ屋のアルバイトをしている。三成は吉継と共に住んでいるが、他の3人はひとり暮らしだ。
吉継は文系私大に講師として勤めている。三成とは幼馴染にあたる。住んでいる長屋は遺産で相続したもので、普段は部屋貸しをしているのだが何故か人が入らない。
官兵衛は吉継と大学、大学院時代の同級生で、優秀なのだが生まれつきの不運で就職には失敗し、今はいくつかのアルバイトを掛け持ちしている。それでも3ヶ月に一回ほどのペースでどこかしらクビになる、ということが多い。ケーキ屋のバイトが元親と被っている。最近吉継の長屋に住み始め、一応吉継とは恋人同士という関係であるのだとかないのだとか。
「…一番暇なのは主よなぁ官兵衛」
「いやいやいや暇なのは冬休み入っとるお前さんだろうが吉継!」
「だって我論文の締切年明けにあるゆえ」
「その論文小生も書いてること知っとるじゃろうが」
「ま、まぁまぁ落ち着いて」
「いい加減その痴話喧嘩はたまににしろ」
「痴話じゃないわ!!」
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