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凶姫と龍人1

注意!
・なんちゃって美女と野獣パロディー
・三成が女の子です
・登場人物の半分が人間じゃありません
それでもよい!という人はどうぞ


ーー
むかし、遠い国の光輝く城に、一人の若い王子が住んでいた。王子は周りから甘やかされて育ったため、思いやりを知らない傲慢な心の持ち主になっていた。
ある冬の夜、年取った哀れな女が城に来て、厳しい寒さを凌ぐため一夜だけ泊めてほしいと請い願った。一輪の薔薇を差し出して哀願する老婆の醜い姿を嫌った王子は、すげなくその願いを拒絶した。人を見かけで判断することがないようにと忠告する老婆を、王子が再び追い立てた時、その醜い姿は一瞬にして、美しい魔法使いに変わった。
王子の愛のない心に怒った魔法使いは、必死に謝る王子を決して許さず、その姿を龍と人とが混ざった醜い姿に変え、罰を与えた。城も、王子を甘やかして育てた家来達も、魔法使いの呪いを受けた。
醜い姿を恥じた王子は城の中に閉じ籠ってしまった。そして、魔法の鏡だけが外の世界とのたった1つの窓になった。魔法使いの薔薇が、最後の花びらを散らすまでに、もし王子が愛し愛されることを知るなら、呪いは解ける。それが叶わぬなら、王子は永久に醜い姿のままだ。
時が流れ、王子は諦めと絶望に取りつかれた。一体誰が愛してくれるだろう?こんな醜い人間をーー




 「イィエェヤァスゥゥゥゥウ!!」
早朝ののどかな雰囲気が流れるとある村に、女性の怒鳴り声が響き渡った。それと同時に、村で一番大きな通りを物凄い勢いで駆けていく姿がある。
その騒音にかたかたと家々の窓が開いていく。その中から、一人出てきた男がいた。本屋の主人だ。
「今日も早いな、三成」
「!!」
男の言葉に、三成と呼ばれ、全力疾走していた女性が勢いよく走りを止める。
「おはようございますッ秀吉様!」
「うむ。先日の書はどうであった?」
「はい、とても勉強になりました!そうだ、お返しに参りました!」
「…と、いうことはもう読み終わったか。すまないがもう新しい書はなくてな。明日また仕入れに行く所なのだ」
秀吉という名の本屋の主人は、そう言って申し訳なさそうに笑った。三成ははっとし、わたわたと慌てるそぶりを見せる。
「も、申し訳ありません…」
「何、謝ることではない。しばらく店を開けるが、何かまた借りて行くか?」
秀吉は笑いながらそう言い、店の扉を開いた。ぱっと三成の顔が明るくなり、いそいそと店内に入り本棚を見上げる。
「は…では……この本を!」
「またそれか。よく飽きぬな」
「す…好きなのです。この話は特に、学ぶことが多く」
「ならばその本、貴様にやろう」
「!!よ、よいのですか?!」
「うむ」
「ありがとうございますッ!」
三成は秀吉に対し頭を下げた。秀吉は苦笑しながらその頭を撫でる。
「それよりまた家康と何かあったか」
「はっ……そうだ家康!失礼します!」
「程々にな」
秀吉の言葉に先程名を叫んだ者のことを思い出したらしい、刀を片手に下げ三成は再び走っていった。
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