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日輪の神様へ18

「その代わり、三成君はこの場で返してもらうよ」
「…、いいだろう」
「よ、よいのか?」
「…?嘘は吐いていないぞ。もし仮に嘘になるのなら、問答無用で滅するだけだしな」
「…、…」
「下ろすぞ石田」
そう銀稲荷が言い、石田に右手を差し向けた時だ。
「こ…っこの化け物め!」
「!!!!」
ぱん、という乾いた音の後、銀稲荷の右手から血が吹きだした。銀稲荷の目が見開かれる。
「!君達!勝手な事を…!」
「……確か石田の率いていた小隊にいたな。…くくく、はははははっ!」
「?!」
突然笑いだした銀稲荷に、石田の部下達はびくりと肩を跳ねさせた。
「なんだ?そんなひよこ豆で私に、貴様等の上を倒した者に勝てるとでも?」
「くっ…き、貴様ぁっ!」
「…調子に乗るなよ。私は石田は気に入った、が…貴様等には興味はない!」
「!がっ、、ぁっああああッ!!」
「!!三成様!」
ぎゅ、と銀稲荷の右手が丸められると石田の身体を纏った炎が一斉に石田の身体を締めあげた。顔が仰け反り、苦しげに顔が歪む。
「あっ……く、ぁ…ぁあ……っ!」
「…っ!」
「動くな豊臣秀吉。…貴様まで私に敵意を向けるなら、……本当に絞め殺すぞ」
僅かに、本当に僅かに動いただけだった。だが、銀稲荷はそこに殺意があることに気が付いていた。石田はそんな稲荷を精一杯睨む。
「…か…は…っきっ…さま…っ…秀吉…さまに向かっ…て……!」
「…つくづく貴様は凄いな。結構容赦なく絞めてるぞ」
「ぐっ……はっ…」
「やっ止めろ!三成様を…!」
部下の叫びに銀稲荷は冷めた目で彼らを見る。
「貴様等雑魚は殺してもつまらん。だから貴様等が助けたいらしいこいつを痛め付けてみた」
「なっ、!」
「そもそも非力の分際で私に武器を向けるなど死にたいのか?貴様等。貴様等人間は誰かを守るために戦うという事に憧れを感じ覚悟という言葉に酔いしれる。故に、誰かを庇って死ぬことにやたら魅力を感じる者が多いようだ、が…今の貴様等程度じゃ石田を救うことなんざ出来はしない。身の程をわきまえろ」
「おい、銀稲荷…」
「…厳島まで、なんだその顔は。趣味が悪いか?貴様もよくやるだろうが」
「あやつらは痛みが快楽になる種族だからよいのだ。こやつは人間ぞ」
「やれやれ…。私に殺す気はないと言ってるだろう。…約束を反古するのが悪い。まぁ、勝手な行動のようだったからいいがな」
ぱ、と銀稲荷は右手を開いた。とたんに拘束が緩み、がくりと石田の頭が垂れた。
圧迫され続けたせいで呼吸が出来ず、力が出ないらしい、石田はその体制のまま弱々しく銀稲荷を睨んだ。
「っ、はっ、…ぁっ」
「…そう睨んでくれるな。いくら私でも、掌に穴を開けられて黙っているほどのお人好しではない」
「っ……ッ、知るか…っ」
「…しかし今のままだと立てそうにないな」
「後先考えない奴め」
「うるさい厳島。竹中半兵衛に豊臣秀吉。すまんが持って帰ってくれ」
「…、銀稲荷君。君は随分と感情の切り替えが早いんだね」
険しい表情の竹中はふよふよと浮いてきた石田の無名刀を受け取り、そう言った。同じように石田を受け取った豊臣も、何も言いはしないがその表情は固い。
「仕事柄、仲間に手をあげることもよくあるんでな。過去の事を引きずっていると面倒で仕方がない」
「君はそれでいいのかい?その子達の勝手な行動とはいえ、確かに僕達は約束を反古にした。なのに君は三成君を痛め付けただけだ」
「なんだ。殺してほしかったのか?」
「そういう事じゃない。聞きたまえ銀稲荷君」
こほん、と咳払いをした後、竹中は銀稲荷を見据えた。
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