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葱と牛蒡とツインテール8

「おい」
「ひゃいぃっ?!」
「…変な声をあげるな」
小十郎がしきを訪ねてきた。後ろから声をかけられた驚きのあまり、しきの声が裏返り、小十郎は呆れたようにため息をついた。
そんな小十郎に、しきはむっ、とする。
「後ろからいきなり話しかけないでください!びっくりします!」
「…………それもそうだな」
「…何か御用ですか」
「よく分かったな、左馬乃介の事」
「…それくらいの手は打たれても不思議じゃないですから」
小十郎の言葉にぴく、としきは肩を跳ねさせ、つっけんどんな感じにそう言った。小十郎はしきの背をじろ、と見た後、正面に回る。
正面から小十郎に見つめられ、しきは思わず目をそらした。顔がわずかに赤い。
小十郎はそんなしきの表情の変化を見た後、腕を組んだ。
「…お前、左馬乃介に、自分を偽りたくない、と言ったらしいな」
「…そ、そうですけど」
「それは何故だ」
「何故って…貴方には関係ないでしょ」
「お前は今伊達領にいる人間だ、無関係ではねぇ」
「………」
しきは黙ってしまった。説明するには、自分がどこから来た人間なのかを白状せねばならない。
それは出来ない。それをするのは、怖かった。
答えないしきに、小十郎は目を細めた。
「…いや、悪かった」
「、っ」
「不躾過ぎたな。…が、やはりお前はただの女ではねぇみてぇだな」
「……………」
「とはいっても、伊達に何かするつもりはねぇようだな」
小十郎の言葉に、はっ、としきは顔をあげた。小十郎の視線が、今までよりかは僅かに柔らかいように感じた。
「…信用してもらえた、ってことですか」
「さぁな。お前が敵ではねぇと判断しただけだ」
「そんな要素ありました??」
「お前が言うか…。…ま、俺の勘だ」
「か、かん…」
軍師らしからぬ台詞にしきは思わず笑った。しきの笑った顔に、小十郎は不服そうに眉間を寄せた。
「…あともうひとつ、聞いときてぇんだが」
「?何でしょう」
「お前、なんで俺の顔見ると顔赤くするんだ?」
「!!!!ちょちょちょ、そんなこと聞きますか普通?!」
「?どうした?」
小十郎は、色恋沙汰に関しては恐ろしく鈍感だった。


 その夜。
しきは夜空を見るために家の外に出ていた。きれいな星空を見るのはどことなく楽しかった。
「…、ん?」
遠くで金属がすれるような音がし、しきはそちらを見た。よく見ると、小十郎が一人で丘の方へ向かっていた。
「こんな夜中にどこ……。………あぁ!」
しきはぼんやりとそれを見送ったが、あることを思いだし、慌てて立ち上がった。
アニメではこの後、小十郎が自分の畑で竹中半兵衛に襲撃され、誘拐されるのだ。
助けにいかなければ。
しきはとっさにそう思った。
「ストーリーが変わるだのなんだのなんか言ってらんない、ほんとにアニメ展開になるかも分からないし、助けにいかなきゃ!」
しきは家の外に置いてあった弓を背負い、小十郎の行った方向に目安をつけて走り出した。
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