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もうお前を離さない268

「…?……むむ?」
「…分かんないんなら別に良いよ。俺様は石田の旦那にそんな余裕があるとは思ってなかっただけだから」
「!」
「ヒヒッ確かにな」
「え、ちょ、何それ」
村越は猿飛の言葉を聞いて僅かに俯いた。真田は猿飛と大谷が話しだしたのを見て、村越の前にしゃがみこんだ。
「お許しくだされ、あやつに悪気はのうござるゆえ…」
「えっ…?あ、いや、そうじゃなくて、」
「?」
「…三成さんに余裕がないなら迷惑かけてるなと思って…」
「…。そんな事はないと思いまするが」
「なんで…?」
「石田殿は自分の意志が強い御方にござる。迷惑だと思うのならば相手にされないはずでござる!」
「…さらっと凄いこと言いましたね…」
「??」
「…でも、ありがとうございます。なんか、ほっとしました。すいません、幸村さんの方が大変な時なのに」
村越の言葉に真田ははっとした様子を見せ、哀しげに笑いながら俯いた。
「…、そんな事は…。…村越殿には謝らねばなりますまい」
「え…?」
「大切にすると…誓ったというのに……」
うなだれる真田に村越は慌てて気にしないでくださいと手を前で振った。
「…、幸村さんのせいじゃないです」
村越はそう言って、東の空を見上げた。



 その頃宮野は。
「………なんかすまねぇな……」
「お構いなくーある意味趣味ですから」
何故か伊達の肩を揉んでいた。
ぐりぐりと肘を回しながら、宮野はふと思い出したように尋ねた。
「そういえば、一瞬静かだったのにまたうるさくなりましたね、陣営」
「あぁ…小十郎達が帰ってくる事が分かったからな」
「!…じゃあ毛利を?」
「いや、毛利は南部を攻めに通り過ぎたらしい」
「ふむ…そうですかー…」
「…いてぇ」
「我慢我慢」
伊達は痛みに若干顔をしかめながら、宮野を振り返った。
「…なぁ、アンタ帰りてぇとか思わないのか」
「常に思ってます。幸村に会いたいっす」
「…、すまん」
「ふふふふふ。独眼竜は優しいですね」
「あ?何言ってやがる。お前は俺が嫌いだろうが」
「あれ?そう見えます?」
「わがままに巻き込むなとか言ってただろ」
「あー…あれはまぁ、その場の勢いっていうか…。あの時私どうでもいい事べらべら言っちゃったんで忘れてください」
「…本当にそうか?」
「え?」
伊達は宮野の手を掴んで離すと、体を回して宮野と向き合った。
宮野はきょとんと伊達を見ている。
「本当にどうでもいい事か?あれは、アンタなりの考えだろ?自分がそう思うのなら、どうしてそれを貫かねぇ」
「…………………」
「アンタ、一体何に怯えてんだ」
怯えている、という伊達の言葉に宮野は目を見開き、そして俯いた。ぎゅう、と袴を握り締める。
伊達は黙って宮野の言葉を待った。
「…自信、ないだけなんですよ。賛同される事、滅多にないんで」
「自信だぁ?他人がどう思おうが、アンタの思いには関係ないだろ」
「それで何もないなら、それがその考え方だと思われるならいいですよ。そんな考えは間違ってる、って言われると…自信無くなるんです」
「…分からねぇな」
「…、私、結構無感動なんですよ」
「は?」
「だから、普通の人が泣くような話を聞いても何も思わない。感想は特になし。…、そういうタイプなんで、自分の意見が独特過ぎると言うか…他のものとはかけ離れすぎてる、ってよく言われるし思います。…、だから私は、貴方に押しつけたくなかったんです。自己中心的にはなりたくないので」
宮野はそう言って苦笑した。
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