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もうお前を離さない247

「何て言ったんだ?」
「えぇっと…確か、“虎の復活と共にあり”、と」
「…北条家の栄光復活に、か?」
「!そうですそうですっ」
「…虎ってお館様の事ですかね」
「…!…だが、そうなると更に訳が分からない…」
「爺さんの考える事なんざ分からねぇな…」
「…本人に聞くしかないですね」
「な、何かあったんですか?」
おろおろとする鶴姫を見事なまでにスルーする3人。徳川少しばかり考え込む様子を見せ、その後小さくため息をついた。
「…全ては2人が戻ってきてから、になりそうだな…」
「Shit…あっちは順調、こっちは不調かよ」
「…、どうでしょう」
「あ…?」
宮野がぼそりと呟いた言葉に伊達は宮野を見、そして僅かに目を見開いた。
宮野の目は今目の前の視界を見ていなかった。策略を巡らせ、無いものを見つめるかのような目をしていた。
「…世の中そんなにうまくは行かない」
「…、…」
伊達は宮野が何を考えているのか全く分からず、だが、楽しいとばかりに僅かに口角をつり上げた。



その頃大阪では。
「久しぶりだな、石田」
「おっ!アンタが噂の凶王かい?!」
「…孫市。その煩わしい男はなんだ」
尼子を攻めていた雑賀孫市と、何故かついてきているらしい前田慶次とが石田と合流していた。
「俺は加賀の前田慶次!こいつは夢吉」
「キキッ」
「以後お見知りおきをってね!」
「…前田慶次…。貴様が西軍に入るとは聞いていない」
「まぁまぁ細かい事は気にしない!…あれ?元親じゃないか!」
「んん?…ぃよぅ!久しぶりだな!それにさやか、お前も」
「え?!何!?さやかって何?!」
「元親…その名で呼ぶなと言っているだろう」
「!?!?え、2人ともどういう関係なの?!」
「…喧しい」
長曾我部も加わり騒がしくなった3人から石田はさっさと離れた。そこで、少し離れた所から3人を見ている村越に気が付いた。
「…?何をしている」
「…腰細胸でか…っ。何あの人のスタイル…!」
「…村越?」
「はっ…み、三成さん!」
どうやら雑賀を見ていたらしい、石田に話し掛けられ村越は飛び上がった。
「…孫市がどうかしたのか」
「えっ。あ、いや、…綺麗な女の人だな、って思って…」
「…綺麗なのか」
「?三成さんはそうは思わない、と?」
「孫市は孫市だ、綺麗だ何だは興味がない」
「…さらっと凄い事言いますね」
「そんな事はどうでもいい。貴様、これから何か用はあるか」
「えっ?…いえ、特には」
「…ならばついてこい」
「えぇっ?あ、はいっ」
村越の返答を待たずに歩きだした石田に、村越は慌てて持っていた竹箒を縁側に立て掛け、軽く上げていた袴の裾を下ろし石田の後を走って追いかけた。
だが石田の歩みが突然止まり、村越は石田に衝突してしまった。
「わあぁっ、すいませんっ」
「…貴様…邪魔だ、どけ」
「?」
石田の言葉に村越は石田の背中から顔を出し前を見た。石田の前に、前田が立ちふさがっていた。前田は面白そうに石田と村越を見ている。
「なぁ凶王さん、その女の子はアンタの何なんだい?」
「凶…王…?」
「何だ貴様は。貴様には関係ないだろう」
「まぁまぁ怒らない怒らない!凶王とも称されるあんたが女の子と仲が良いとは思わなくてさ!」
「貴様…私を愚弄するか」
「え?いやいやっ、そういうつもりはないよ?!」
「…あの!貴方が誰だかは知りませんが!」
石田と前田の会話に村越が割り込んだ。2人は僅かに驚いて村越を見る。村越は前田を見据えた。
「凶王って、どういう事ですか?」
「!」
「へっ?」
前田は拍子抜けしたような声を上げた。
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