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もうお前を離さない251

「いぃやぁぁっ!!」
「HAーッ!!」
他の兵士がはらはらと見守る中、2人は鈍い音をたてさせながら木刀を振るっていた。
しばらく拮抗していた2人であったが、伊達の振った木刀が直撃したのか宮野の頭が大きく横にゆれた。
「?!当たったか!?」
一瞬焦った伊達が構えを解いた時、バランスが崩れていた宮野の動きがぴたりと止まり、ぐんと勢い良く体を起こした。ごつん、と音がして頭と頭がぶつかった。
「でっ?!」
その勢いで軽く浮いた伊達の体は、宮野が足を払った為にうつ伏せにべしゃっと落ちた。
宮野は落ちた伊達の上に飛び乗り、木刀を手放すと人差し指と中指を立てた。
「はいチェックメイトー!」
「あいだだだだだだだだっ」
そのままその指ですびびびび、と伊達の背中を突いた。
「ははっ、勝負あったな」
「!家や、だだだだだっ!!」
楽しそうに笑う徳川を余所に、伊達はバシバシと地面を叩いた。上に乗る宮野は首を傾げる。
「どうも。独眼竜、肩胛骨のトコそんなに痛いんですか?」
「触るな!いてぇ!」
「それ、疲労が溜まってるって事ですよ」
「What?取り敢えず降りろ」
「あ、はい」
起き上がった伊達はぱんぱんと袴の土を払い、困ったようにこちらを見る徳川をじと、と見据えた。
「独眼竜、一応宮野殿は捕虜なんだぞ?」
「Haッ!!それで放置しといて昨日みたいな事が起きてみろ、真田に合わす顔が無くなるぜ」
「私はあれ位のことされるのは覚悟してましたけどねぇ」
「アンタは余計な事言うんじゃねぇよ」
「捕虜なら捕虜らしく扱いなさいよ。捕虜にする気がないなら返せ」
「Ah〜…敵の恋人positionは扱いがめんどくせぇな」
勝手に宮野を連れ出した事に全く懲りていない伊達に徳川は苦笑した。
「…独眼竜なら大丈夫だな。だがいきなり戦い始めるのは止めてくれよ?兵がびっくりするだろう」
「あぁん?…それでアンタ呼び出されたのか」
「はは…まぁそんな所だ」
「Oh..I'm sorry.そりゃ悪かった」
伊達はにやっと笑ってそう謝った。徳川はそんな伊達にくすりと笑う。
「独眼竜、そんなに暇ならワシと手合わせしてくれ。地図ばかり見ていたらどうにも疲れてな」
「OK!!手加減無しで行くぜ!」
「家康様ぁ?!」
「はよ帰ってこいお目付け役…」
他の兵を余所に組み手を始めてしまった2人に宮野は小さくため息をついてそう呟いた。

 その深夜。再び伊達が宮野のもとを訪れた。起きていた宮野は現れた伊達に眉間を寄せる。
「よぅ」
「…今晩は。こんな遅くに、今度は何です?」
「アンタと2人っきりで話したくてな。深夜なら他の奴らに聞かれる事もねぇだろ?」
「見張りの兵は起きてますよ?」
「ここの見張りには他の所に行ってもらった」
「…そこまでして話したい事ってなんです?」
思っていたよりも真剣な伊達に宮野は居住まいを直した。伊達は宮野の正面に片膝を立てて座る。
「アンタ、一体どこから来た?」
「…質問の意味がはかりかねます」
「なら質問を変える」
伊達はじっ、と宮野の目を見据えた。

「アンタはこの国…いや、この世界の人間か?」

「…」
伊達の問いに宮野は何の反応も返さなかった。しばらく2人は睨み合うように互いを見続けた。
少しして、宮野が口角をあげた。
「違う…と、言ったらどうします?」
「…やっぱりな」
伊達はそう言って目を細めた。
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