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オカントリオの奇妙な旅路34

「…若返っているのが本当だとはな」
「原因は大体掴めて、後は時間で治る可能性しかないんだけどね」
「!」
忍は僅かに驚いたように佐助を見た。あっさり情報を漏らすとは思わなかったのだろう。佐助は疲れたように肩をすくめる。
「右目の旦那にも色々世話になったからねぇ。なんだかんだ一緒に動いていたし、そんな隠すなんてことしないよ」
「…。あの忍に心当たりは」
「今まで俺様達の現状に勘づいて近寄ってきたのは、松永しかいない」
「松永久秀か…」
忍は僅かに考え込む様子を見せる。佐助はふ、とその時先程から感じていた違和感に気がついた。
吉継がいない。
「後もう一個。もう一人いたと思うんだけど、右目の旦那と一緒に」
「比較的若い男か?それなら毛利元就に連れていかれていた」
「えっ?!」
佐助はぎょっとしたように聞き返すが、肯定の返事しか返ってこない。佐助は面倒なことになったと言わんばかりに眉間を寄せた。
「(どうなってんだ、どうして…!)」
「毛利とて確証があるわけでは無さそうだったがな」
「…作った薬師の言葉を信じるなら、俺様達はそろそろ元の体に戻る。大谷の旦那にも結構借り作っちまってんのに、毛利の前で戻るような事にさせるのはいただけねぇ、助けねぇと」
「今日話に付き合えと言っていたから、ぼろを出さなければ夜には解放されるだろうよ」
「そうなの?でも、今の旦那結構滅入ってるっぽいからなぁ…ボロ出してもおかしくない…」
佐助は、はぁ、と深いため息をついた。最後の最後で、厄介なことになってしまった。



 「…う………」
それと同じ頃、連れ去られた小十郎はうっすらと意識を取り戻した。朦朧としながらも辺りを窺うと、どうやら山小屋らしいところにいることが分かった。
手は後ろ手に縛られていて、動かすことはできない。小十郎は誰かいないか、軽く頭を動かした。
「起きたかね?」
「!」
直後聞こえた声に、びくん、と肩が跳ねた。寝返りを打つ要領でそちらへ体を向ける。
はたして、そこにいたのは久秀だった。入口近くに座っている久秀を小十郎は精一杯睨む。
「てめぇ、松永ァ!」
「おや、卿は隠しだてしないのだな」
「はっ、白白とよく言うぜ」
縄をどうにかしようともがくが、縄抜けすることはできない。久秀はもがく小十郎にくすり、と小さく笑う。
「まぁそう暴れてくれるな。どうせ騒いだところでここに人は来るまい。まぁ…卿の部下の忍はどうだか分からないがね」
「!」
小十郎は久秀の言葉にはっとしたように久秀を見る。小十郎はまだ、部下が近くにいたことに気がついていなかった。
久秀はわざとらしく驚いたような顔を作る。
「おや、気がついていなかったのかね?卿と共にいた武田の忍も攫うつもりだったのだが、見事に邪魔されてしまってね」
「…………」
「安心したまえ。逃げられたそうでね、殺してはいないよ。まぁ、こちらの後を追ってきた忍はどうなったか知らないが」
「…………ッ!」
小十郎は小さく唇を噛んだ。
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