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オカントリオの奇妙な旅路24

素早く宿の廊下を駆け抜け、忍の気配のあった所の反対側の窓から外に出る。たんっ、と軽やかに着地し、木々に隠れるように気配の元へと向かう。
「(…どうやって消すか…死体の処理は大谷の旦那に手伝ってもらうとして、まず一人ずつ殺るか)」
佐助は気配を悟られないよう、そろそろと忍達に近付く。
忍達はまだ佐助が抜け出したことに気がついていないらしい、呑気に会話をしていた。
「それにしても、何故このような子供達を?特徴がぴたりと一致しているのも…」
「さぁな。家康様の考えられる事は時に分からん」
「!」
佐助は忍の言葉に僅かに目を見開き、眉間を寄せた。
「(徳川の忍?どうして俺様達の事を…。考えられるとすれば、独眼竜が話したか…)」
佐助はふっ、と自嘲気味な笑みを浮かべた。
「東軍は本当に仲良しこよしだね」
佐助は静かに手裏剣を構えた。
「その命、貰っちゃう」
佐助は片方の忍の後ろを取ると、勢い良く地面を蹴って跳躍した。地面を蹴った音に忍が気がつき、佐助を振り返る。
「なっ…「恨むんなら首突っ込んじゃった主を恨みな」
佐助はそう言うと一息に首をかき切った。鮮血が吹き出す。
「ッ?!」
異変を察知したもう一人に気付かれないうちに距離を縮め、背後から斬りかかる。
「!」
だが寸での所で気付かれ、攻撃はかわされた。大型手裏剣が空を切る。
佐助はちっ、と舌打ちすると木の影に消える。
「あの子供…ッ?!どういうことだ、」
「あんたは突っ込んじゃいけない所に首を突っ込んじゃったのさ」
「!」
振り向きざまに振り抜いた忍の刀と佐助の手裏剣がきぃん、と音を立てる。佐助は小さく身軽な体を活かし、足で忍の首を挟み込む。
「悪く思うなよ」
佐助はそう言うとぐ、と足に力を込め、首を思い切り締めた。
ぺき、と軽い音がし、忍は膝から崩れ落ちた。佐助はうまく足を解けず、もんどりうってそのまま転んでしまった。
「いててっ!」
「何をしておるのよ。平気か?」
「大谷の旦那!」
タイミングを見計らったかのように吉継が姿を見せた。佐助は忍の亡骸から足を引き抜き、打ち付けた肩やら背中やらを摩った。
「イテテ…油断してたし、この頃から殺しはやってたから倒せたけどさすがに完璧には無理だったわ」
「やったか?」
「うん、取った。徳川の忍だったよ」
「徳川、だと?」
吉継は佐助の言葉に眉間を寄せた。佐助は小さく頷く。吉継はふむ、と呟いて口元に手を添え考え込む。
「…伊達が話したということか」
「そうだね。ま、気にせずやっちゃったけど」
「まぁよかろ。ただ、ここにおることはばれるかもしれぬがな」
「ま、それくらいいいでしょ。最悪何かあったらにげればいいし、右目の旦那もいるし。それより、これ片すの手伝って」
「ふむ、海に捨てやるか…そいっ」
「わぁ浮いたスゴーい」
佐助はふぅ、と息をつき、もう片方の死骸を肩に担いだ。
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