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オカントリオの奇妙な旅路18

 吉継達が加賀へ向け出立したのと同じ頃、三成も出発の用意をしていた。同室にいた元親は不機嫌そうに三成を見ている。
「石田ァ、昨日の夜どっか行ってたろ!」
「一応貴様を起こそうとはしたぞ。起きなかったがな」
「ぎぐっ………」
「散歩していただけだ、さっさと行くぞ、今日は堺だ」
「そう急かすなよ…ってかあんたそんな積極的だっけ?!」
三成はさっさと先に宿から出、吉継を見つけた通りをちらと見た後、自分の目的地へと歩き始めた。
「さっさと帰ってこい刑部。…例え戻らずとも……私は貴様を拒絶しないのだから」
三成は小さくそう呟き、なにか言いたげに目を伏せたが、すぐに足を進めた。



 「…全ッッ然見つからねぇ。どうなってんだ」
それと同じ頃、政宗は苛立った様子で呟いた。忍を出し、小十郎を探させているのだが、一向に見つからないのだ。小十郎が小さくなってしまった事を知らないのだから、見つかるはずがないのだが。
イライラとする政宗に家康は困ったように笑う。
「…、独眼竜、この前話した、らしい、の話だが、全部本当なようだ」
「Really?」
「なぁ独眼竜、この前三人は一緒にいるかもしれない、って言ってたよな。あれはなんでだ?」
家康の言葉に政宗はわずかに目を細め、家康に近くに寄るようにジェスチャーした。家康は指示された通りに政宗の近くに座る。
「…小十郎の畑にな。足跡が残ってたんだ、子どもの」
「子ども?」
「あんなところに子どもが来ることはねぇ。それに、その前日にはなかった。ってことは、あの日の朝だ。だが、そんな時間に子どもが起きてるとも思えねぇ」
「…」
「体の異常。それに、昨日、巫女が言ってたんだが」
「?」
政宗はぴん、と人差し指をたてた。
「今、京の都で若返るっていう香が流行ってるらしい。それでピンと来たんだ。小十郎達は、子どもの体になっちまったんじゃねぇかってよ」
「………ほ、ほう」
家康はぱちくりとまばたきをしながら政宗を見る。政宗はむす、としたように家康を見る。
「何言ってんだって顔してんな、家康」
「あ、す、すまない…でもそこで西軍の二人がわざわざ片倉殿の元へ来る理由は?それに、誰がなんのために?」
「そこまでは分かるかよ。だが、それなら真田の忍さえもなにも言わずに消えたってのは納得いかねぇか」
「…まぁ、確かに一理はある」
政宗は家康の言葉ににや、と笑って、そして肩をすくめた。
「ま、要するに、俺達にできることはなにもねぇ、ってことだな」
「……確かに、そうだな……。…独眼竜、その若返る香っての、調べてみるか?」
家康の提案に政宗はわずかに驚いたように家康を見たが、すぐに、にっ、とした笑みを浮かべた。
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