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オカントリオの奇妙な旅路27

「………死んだ、だと?」
「…そうか、ありがとう」
その日の夜、忍達が死んだ事が政宗と家康の耳に入った。忍達はいくつかのチームに別れて行動していたようで、集合しなかったことで死んだことが分かったのだ。
家康はどこか悲しげに眉間を寄せた。政宗は頬杖をついて、むす、と顔をしかめる。
「…別に、雑魚を回した訳じゃあねぇだろ」
「あぁ、もちろんだ…。相手は刑部や真田の忍、そして片倉殿だからな」
「……小十郎はそう簡単には殺したりしねぇ」
「様子を見に行った他の忍の話によれば、そんな事件があった様子もなかったそうだ」
「なら…猿の仕業か?」
「もし独眼竜の仮説が正しければ、いくらなんでも死体を処理するのは一人では無理だ」
「…」
家康の言葉に、政宗は眉間を寄せる。
佐助一人では無理。ならば、他の者が手を貸したことになる。

小十郎が、手を貸した可能性もなくはない。

政宗は、はぁ、と小さくため息をついた。そんな政宗に家康は困ったように笑う。
「そんな顔しないでくれ、独眼竜。万が一片倉殿が関与していたとしても、ワシは…」
「あんたが責めなきゃいいって問題じゃねぇ。落とし前はつけさせる」
「独眼竜、」
「そもそも俺は、いくら非常事態だろうが俺に何も明かさず出てったことを許しちゃいねぇ!」
「………ッ、」
不意に声を張り上げた政宗に、家康はう、とつまる。
政宗は冷静なように見えて、幸村よりも三成よりも、怒っていた。
怒りでぷるぷると震える自分の拳に、政宗はちっ、と舌打ちする。
「…だが、前田領にいたことはこれで明らかになったな」
「…、そうだな、だけど前田領で何をしていたんだ?」
「そこまでは分からねぇ。…が、もう後を追うしかねぇだろ」
「あぁ」
家康は政宗の言葉に、強く頷いた。



 「…では我は一度安芸に戻る」
「俺もちょっくら用意してくるぜ!」
「あぁ」
同じ頃、大阪では軍議が開かれ、近場の毛利、長宗我部両名は一旦自分の領地へ戻り、用意を備えることとなった。
部屋から出るとき、ふ、と元就は思い出したように三成を振り返った。
「そういえば、大谷はまだ戻らぬのか?」
「あぁ」
「奴にしては随分と行動が遅いな」
「あまり目立った行動を出来ないようだからな」
「ほぅ?」
元就は、以前よりもどうやら詳しい事情を知っているらしい、と判断し、三成を振り返った。三成はす、と元就を見据える。
「…以前よりかは分かっているのだな」
「一度報告を受けたからな。じき戻る」
「…左様か」
「刑部と何か約束事でもあるのか」
「そういうわけではない。軍師たる者がいつまでも席を空けているのが気になった迄。じき戻るならばどうでもよいわ」
元就はそういうと、さっさと部屋を後にした。
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