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葱と牛蒡とツインテール62

空に見えたのは、黄色。
政宗は驚愕に目を見開いた。幸村や佐助も爆発に近い衝撃に気がつき、そちらを振り返って驚いた表情を浮かべた。
飛ばされた三成が落ちる前に、家康が地面に落ちごろごろと転がった。三成は辛うじて着地したが、すぐにばたりと倒れた。

どうやら、家康が三成を庇ったようだ。

三成はぐぐ、と這うように少し体を起こした。庇われてもダメージは受けたのか、腕はぷるぷると震えている。
「何のつもりだ…家康」
「憎しみも…憤りも…癒すのは絆だ、三成。ぐっ…ワシは、お前を…」
「驕るなと言っている…!助けろなどと言っていない!私と共に起たなかった貴様が…絆の何を語る…!」
「三成…」
「どこかで…のたれ…死ね…」
三成は呻いて起き上がろうとしたが、そのまま力尽きて倒れた。家康は目を伏せて薄く、どこか寂しげに笑った。
「…そんなことを、平気で言うなよ…三、成…」
家康もそう言って、力なくそのまま静かに目を閉じた。
「…」
政宗は倒れた二人を見て目を細めた。小十郎は政宗に駆け寄り、その体を支えて立ち上がらせた。
「…なァ、小十郎」
「はっ」
「……いや、何でもねぇ」
「…政宗様の思い、石田には届いたかと」
「…家康が、野郎の助けになってくれそうではあるけどな」
政宗は、はっ、と小さく笑い、僅かに顔を伏せた。

そして、日食が起こり、関ヶ原が更に暗くなった。
「みんなで、咲かせよう…ほら、もうすぐ…」
密かに数を増やしていた黒い手が、目に見えて増え始めた。政宗達も異変に気がつく。
「みんなッ!!」
その時、鍋の上から震えている、だが大きな声が聞こえた。秀秋だ。
「あの黒い手に気をつけて!あれに触っちゃだめだよ!」
「…どういうことだ」
政宗は小さく呟き、そちらへと目をやった。黒い手がもごもごとうずめいている。
「天海様はみんなの心を一つにするためだって…そのための犠牲だって言われて…お坊さんの言うことだからボク、正しいと思っていたけど…。やっぱれ!間違ってると思うんだッ!」
秀秋の言葉をきっかけに、兵たちは黒い手から逃げ始めた。だが黒い手は気にも止めずに兵たちをなぎ倒していく。
「この黒い手、見覚えがあり申す…。お市殿…!」
黒い手を避けながら辺りを見回していた幸村は、お市の姿に気がついたが、手に阻まれ、近寄ることができない。
次第に、手の攻撃は鍋のやぐらにまで及び、やぐらが破壊され、鍋が倒れた。
関ヶ原の地は滅茶苦茶になった。
「…まさか、しきの言っていた、この世界そのものを憎んでいる人間は少なくない、というのは…」
「…あの黒い手、いやに禍々しいな。兵を殺しただけで止まるはずはねぇ。…なるほどな」
「?」
なにかに感づいたらしい政宗に、小十郎は顔を向けた。
「…その世界を憎んでるっていう野郎達に、石田の復讐が利用された、ってところか…。あの回りくどいやり方も、家康の文字真似した偽の手紙も、ここに大人数を集めるためだとしたら納得がいくってもんだ。Shit!!胸糞悪ィ!!」
「しかし、集めて殺すことになんの意味が…それこそ、わざわざ妙な技を使わずとも、豊臣を忘却するという理由でこの世を憎んでいる石田一人で事足りること」
「分かるかよ。今はまずあの手から逃げることだ。小十郎!」
「はっ!」
小十郎と政宗は、自軍の兵に下がるように指示した。
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