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葱と牛蒡とツインテール59

「大将!防戦も限界だ!」
混乱する戦場で佐助が叫ぶ。手裏剣で相手を弾き、少し後ずさる。
幸村は佐助の言葉にそちらに視線をやった。
「真田幸村!」
そしてそんな幸村に、少し離れた場所から小十郎が声をかけた。幸村は慌ててそちらを見る。
「一大決心で臨んだ場のようだが…腹の括りどきだぜ。この戦、おめぇが経験してきた何よりも澱んだ戦だ。一軍の将として、おめぇはどうする?!」
小十郎はそう言いながら、後ろから襲いかかってきた兵を切り捨てた。
幸村は葛藤に目を伏せ、ぐ、と顎を引く。幸村の回りには円陣状に防戦に徹する真田騎馬隊がいる。
家康のように、まず自分が槍を捨てる、そう覚悟を決めていた。だが、こうなってしまっては、言葉だけで人を動かすことは難しい。
幸村は、かっ、と目を見開いた。
「…この関ヶ原にて今、すべての禍根を絶たんがために!武田軍総員に達する!」
幸村は背負っていた槍を抜き去り、構えた。
「応戦いたせッ!!」
そしてそう叫ぶと、自ら先陣を切って関ヶ原中心へと突撃した。武田軍は幸村の掛け声に応と答え、後に続いた。
「心得た!」
そんな幸村の様子を、政宗が見ていた。政宗は幸村の決断に薄く笑んだ。そして、六爪を抜き放つ。
「Good、こいつは諦めじゃねぇ、一度や二度ぶった斬られようと、本気だったら…」
政宗の視界に、三成が姿を見せる。政宗は顔をあげ、三成を見据える。
「生きて、また足掻くこった」
その政宗の言葉に、家康が政宗を見た。家康は腹をくくったように僅かに笑っている。
「…その通りだ独眼竜。その時はお前も、一緒に」
政宗は一点を見つめていて、家康は見なかった。
「…あいにく仲良しごっこは好きじゃねぇ。アンタともいつか戦り合うことになるだろうぜ」
「その時は、この拳で立ち向かおう」
政宗は家康の言葉を聞くと、止めていた足を進めた。
「…小十郎」
「は。テメェら!!」
小十郎の声かけに、抗戦していた伊達軍は政宗と三成の対戦フィールドを確保するように反撃を始めた。
三成は静かに、そこへ足を踏み入れる。
「伊達政宗…。貴様どんな愚劣な手段で秀吉様を謀殺したのだ?」
三成の言葉には、憎しみ以外にも純粋に疑問が含まれているようにも感じられた。だが政宗がそれに気がつくことはなかった。
「石田三成…。テメェこそ、俺への恨みでどれだけ関係ねぇ連中を巻き込みやがった。このCrazyな騒ぎは何のつもりだ!」
「そんなことはどうでもいい!豊臣の威光を忘却する者を私は許さない、汚した者はなおさらだ!」
「Ha!こんなしみったれた野郎しか跡目がいねぇたぁ、あのボス猿もてんで浮かばれねぇなァッ!」
三成は政宗の言葉に憤怒の色を濃くさせ、身を沈めて刀を構えた。政宗も後ろ足を引いて迎撃体勢に入る。
「秀吉様に浴びせた雑言をすべて撤回しろ!それ以外の言葉は認めない!」
三成は言い終わると同時に強く地面を蹴り、一瞬の間に政宗の間合いに入り込んだ。あまりの速さに風が起こり、政宗は僅かに焦ったようにぎりぎりで三成の刀を受けた。
三成は受けられたと理解すると一旦飛び退き、すぐまた攻撃を仕掛けた。
「懺悔して死ねえェッ!」
三成は技を放つ。無数の閃光が走り、斬撃が政宗を襲う。
政宗は六爪を駆使し、かろうじてほとんどを防いだ。防ぎ終わると同時に刀を構える。
「Hell or heaven!Haッ!」
地面ギリギリを走る三爪。左右の刀を僅かにタイミングをずらして振り上げる。
「X-BOLT!」
空中で刃が交わり、その衝撃で政宗は宙に舞い、三成は落下する。
くるりと軽やかに回転して着地した三成は、すかさず地面を強く蹴り追撃する。
「刻まれろォォッ!!」

そんな三成の様子を、吉継は遠くから見ていた。
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