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葱と牛蒡とツインテール53

どちらかが勝ち、どちらかが死ぬ。
その戦に、政宗は絶対の自信を持てていないでいる。
もしかしたら死ぬかもしれない。負けて、しまうかもしれない。
そんな思いが政宗のなかにあるように幸村は感じた。

だからこそ、死んでしまうかもしれないからこそ、今。

幸村はぐ、と胸をおさえた。政宗はその間にも自軍の間を割いて駆けてくる。いつもそんな政宗を止める小十郎も止めようとしない。
末尾の武田兵が慌てて迎撃体勢を取るが、幸村は馬ごと政宗に向き直る。
「大将…!」
「受けざるは生涯の悔いと相成らん…!さような気が致すッ!!」
幸村はそう言い放つと同時に武田軍の大将の証たる陣羽織を脱ぎ去り、駆け出す。
「Ha!!」
政宗は六爪を抜き、その勢いで馬の上に立ち上がる。
「はぁッ!」
幸村も二槍を抜き、槍を地面にさして政宗と同じように馬の上に立つ。
二人はそのまま迫り、鞍を蹴って上空で衝突した。衝撃波が妻女山を震わせる。
二人はそのまま離れ落ち、駆けてきた馬にお互い再び飛び乗った。サーフィンの如く馬で互いの軍の前をすり抜け、再び相対する。
馬の上で二人の激しい攻防が繰り広げられる。
「Yeahaa!!」
「うおぉ!!」
幸村は左の槍で政宗の六爪を受け止め、右の槍で払おうとするが、政宗は跳躍してそれを避ける。その勢いのまま回転し斬りかかるが、幸村も間一髪で避け、互いの馬が交換された状況になる。
二人の馬は一旦離れ、幸村は槍を地面に突き刺し二回転して政宗に迫り、再び激突した。馬同士も普段の主ではないからか興奮し、加速する。
馬が勢いよく飛び、空中で激突する。二人はその勢いで飛ばされる。
着地した幸村は勢いよく地面を蹴って政宗に迫った。政宗は僅かに遅れて着地し、攻撃を受ける。
「DEATH BITE!!」
「大車輪!」
二人が大技を放ち、衝突しようとしたその時。

ガキィンッ

鈍い音がして二人の間には巨大な刀と黄色い男。
「!?何者にござるッ!」
「なんつもりだ風来坊…!?」
邪魔をしたのは慶次だった。慶次は政宗と幸村を見やり、渋い顔を浮かべた。
「あんたら、こんなところで何やってんの。天下の一大事だってのに!」
慶次は起き上がる勢いで二人を弾き飛ばした。がたいがいいだけあり、二人は僅かに下がる。
政宗はすぐに刀を構え直した。
「悪いがテメェにゃ関係ねぇ。どきなッ!」
「野暮は承知だ。けど、ここは退かないよ!」
「Ha ッ!!」
政宗は慶次の言葉が終わるか終わらないかというところで慶次に斬りかかった。
慶次はとっさに受け止めるが軽く弾かれる。
「ぐっ!」
幸村も跳躍し、拳を構える。
「邪魔をいたさんでくだされッ!」
慶次は慌ててそれを避けた。ぼうっ、と地面に火が走る。
「!」
慶次がはっ、と顔をあげると政宗と幸村が攻撃してきた。
慶次は長い刀をいかして最小限の動きで攻撃を交わす。対して、政宗と幸村はどこか余裕がないようにも見えた。そのせいだろう、慶次に二人の攻撃が届くことはなかった。
慶次は足で刀を蹴りあげ、二人の切っ先を弾きあげた。
「ぐっ!」
「Shit!」
「あらよっ!」
二人が怯んだ隙に、慶次は自分の刀をヌンチャクのように勢いよく振り回した。辺りに風が発生し、その勢いに二人も下手に近寄れない。
「てぇぇえやぁっ!」
そのまま流れるように慶次は刀の柄の部分を鞘に納め、刀を勢いよく地面に叩きつけて技を放った。
「「!!」」
衝撃が収まった頃、ぶぁ、と桜の花が舞い上がった。それに二人は熱が覚めたようにはっとしたような表情を浮かべたを
「気持ちは分かるけど…今はそこまでだ、お二人さん」
慶次はそう言うと、刀を納めた。
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