スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

もうお前を離さない118

「…。あっ!幸村!」
「!!黎凪!」
そのまま走り続けた4人は、偶然か否か、東京タワーの前で再会した。
「こ、ここは先日来た…」
「こんな近くにあったのか、東京タワー…」
「伊達さんなんですかその寒々しい格好は!」
「突っ込む所そこなの?!」
「っ!」
幸村が咄嗟に宮野を掴み、伊達と村越から離れるように地面を蹴り跳躍した。2人が驚いていた様子を見せたと同時に、幸村と宮野は警察の機動隊に囲まれた。
「機動隊生で初めて見た。芽夷と伊達さん大丈夫かな…」
「…、保護されたようでござるよ」
「そっか。なら大丈夫か」
「…そうだな」
2人は機動隊に囲まれているというのにそう言い合うと、互いを見て笑った。
『武器を捨て、両手を上にあげなさい!』
「…?何故?」
『な、なにゆえだと?!』
「何故手を挙げるのだ…?はっ!がら空きになった胴を斬るためでござるな?!」
『てっ抵抗しなければ殺しはしない!;;』
「…下手したらどっかに狙撃手いるんだろうな…。………あれ?」
「?どうした?」
「あそこにいるの…もしかして明智さん?!」
宮野は声を荒げながら東京タワーの中央付近を手にした兜割りで指し示した。
その動きに機動隊隊員も目をあげる。
――――、キィィィィィィ――!
「わぁぁ!」
それと同時に甲高い音が辺りに響き渡った。幸村と宮野以外、皆耳を押さえて蹲る。
「…歌みたい…」
「そうだな……」
2人の耳には歌に聞こえたらしい、そう呟くと、タンッ、と軽やかな音を立てて何かが2人の前に降り立った。
「やっぱり明智さん!」
「…、どうも」
宮野が見たのは明智で間違いなかったようだ。明智は今までと違い、長い銀髪を纏めて頭頂で1つにしていた。明智は微笑を浮かべると、すっと手を前に出して開いた。
「…!!」
幸村は目を見開く。明智の手の中で、掌大の光る球が―プレイ動画の時に見つけた球が―鎮座していた。
「この非常事態です。1日早めましょう」
「…ッ明智殿…」
「大丈夫ですよ。2人とも、星の声に手を翳してください」
「…っ、ありがとうございます…っ」
「気にしないでください」
明智は少し泣き出しそうな表情を浮かべる宮野にそう言うと、優しく笑って頭を撫でた。

「世界を変える礎となれる…それは明智に生まれた者の、私の誉れなのですから」

「誉れ…」
「これは私の本心ですよ。私は生まれた時からこういった性格でしたからね、友なんていませんでしたよ」
「…明智殿」
「そんな私が、何かの力に必要とされることもなかった。それは嫌でしたね…私は存在しているはずなのに、まるで霧のような空気のような存在であるのが」
「!」
「だからこの銀髪と対になる黒を好んで着ました。それで少しでも、この世界に私の色があるように…」
「あ、けち殿…」
幸村も宮野も、明智の口からそんな言葉が出ると思っていなかった為に、呆然としてしまった。
変な性格をしていたとしても、何かに必要とされたい。その思いを、抱えていたと知り。
「…貴方達は私を必要と、してくれますからね」
「…っ。それは、伊達殿もきっと、同じだと思いまする」
「?伊達の若頭が…?」
幸村の言葉に明智は首を傾げた。幸村は星の声に翳した手が僅かに熱くなってきたのを感じながら、頷いた。
「明智殿を伊達殿は苦手だと申された。されど、星の声の話は全て信じておられた」
「…………」
「伊達殿は、貴殿を信用していまする!貴殿を…、大切な仲間であると、思っていまする」
「!」
明智の目が、僅かに見開かれた。
<<prev next>>
カレンダー
<< 2011年02月 >>
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28