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もうお前を離さない116

「…伊達殿…」
「…はははっ、なんだその顔は。俺は甲斐の虎はそういう男だと思ってるぜ?あ、だからと言って自信を持てとは言わねぇよ?そういう事は、お前の忍とかにもよく言われるだろうし……何かにふさわしくなろうと思っている時に、自信を持てなんて言われたくないしな。…持てねぇから苦労してんのに」
「!」
「俺は、安心しろ、って言いたいんだ」
「安…心?」
「不安にならなくていい。怯えなくていい。…安心しろ、今のお前で大丈夫なんだぞってな」
「!」
「…さぁ、続きと行こうか真田幸村ぁ!」
「…!はっ!いざ、参るぅぁ!!」

幸村は伊達の言葉に、僅かに心が救われた気がした。








 「はぁー…はぁー…」
「ぜぇー…はぁー……。…楽しいなぁ、真田」
「楽しい…でござるか…?」
「真剣でやりあったから…結構怖かったんだが……伊達の血かね…?…たぎったぜ…!」
「…某も…燃えたぎったでござる…」
それから約2時間後、2人は各々の得物を傍らに、道場に倒れ伏していた。身体には小さな傷がいくつかある程度で、目立った外傷はない。
「しかし流石伊達殿…。…素晴らしき見切りでござった…」
「俺も思ったより軽傷でちょっと自信ついたぜ…。…Thanks」
「某は何もしていないでござるよ」
「はははっ、確かに俺達はやりあっていただけ、か。…怪我は大丈夫か?」
「こんなもの、怪我の内に入りませぬ。伊達殿は?」
「俺も大した事ねぇよ。あ、でもこれには絆創膏貼っとくか…」
伊達は幸村より先に起き上がると、日本刀を竹刀袋の中に仕舞い傷の様子を見ていた。幸村は乱れた息が止まった頃に起き上がり、僅かに出る血を拭った。
「…ありがとうございまする伊達殿」
「何かだー?」
「安心しろ、という奴でござる」
「…、あぁ。安心していいんだぜ、真田。お前はちゃんと大将になれてる。それに俺は、大将が皆が皆、部下の命一番じゃなくたって構わないと思ってるしな」
「な、なんと」
「現にお前のところの毛利元就は部下を人とすら見てねぇのにちゃんと大将やれてるだろ?…だから、俺は全然違うものが一番であっても構わないと思う。それが結果的に、自国を守れる事に繋がるなら」
「…そうでござりまするか。………」
「他の武将に何言われたって侮蔑されたって重く受けとめる必要はねぇさ。お前はお前、野郎は野郎だ。お前が正しくあろうとしている、それが大切な事だと俺は思う。あのオクラも、そう思っているから他の誰かに何言われても平気なんだと思うぜ」
「おくら?」
「まぁ、難しく考えるな。…お前は天然な野郎だが頭はいい。大丈夫だ、俺が保障する」
「伊達殿…。…、ありがとうございまする!」
「どういたしまして、かな?はははっ!」
2人がそう、笑いあった時。
勢い良く道場の扉が開いた。

「本当にいるぞ、真田幸村だ!」

「?!」
「お、おいおい槍持ってんじゃねーか!」
「何の騒ぎぞ…?」
わらわらと大量の人々か道場内に入ってきた。時折パシャパシャと光が走る。
―幸村が真田幸村だとばれると非常に厄介な事になります
1週間ばかり前に宮野に言われた事を幸村は思い出した。そして、彼らの第一声も。
「本当にいるぞ、真田幸村だ…」
「?真田?」
「…伊達殿、ごめん!」
「?!」
幸村は槍で伊達の持っていた竹刀袋を弾き飛ばすと、左腕で伊達の首を抱き込んだ。
「げほっ、さ、さな…ッ?!」
「申し訳御座らん、伊達殿、どうか黙っていてくだされ」
幸村は伊達にそう囁くと、左腕に僅かに力を込めた。
「……ッ…か、は…っ!」
「お、おい男が…!」
「我が名は真田幸村!各々方、動くでない!妙な真似をするならば、この男の首を即刻刎ね申す!!」
幸村は伊達を強く押さえ付けながらそう叫んだ。
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