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もうお前を離さない117

同じ頃、宮野も大変な事になっていた。
「っはぁー、はぁー…な、なにあれ?!」
「幸村の事がばれた…?!なんでだ…っ」
宮野は村越の手を引きながら走っていた。後ろには大量のカメラを持った人々がついてきている。
宮野は歩道橋の階段を駆け上がる。
「貴方の家の近くで、真田幸村と名乗る男が、男性を拘束しているそうですがー?!」
「その男を貴方が匿っていたというのは本当ですか」
「一体いつからその男はいるんですー?!」
「やぁかぁまぁしぃぃわぁぁぁ!!芽夷、芽夷は関係ないんだから早く逃げて…!」
「やだ!私は最後まで黎凪の味方でいるの!」
「…ッ。わ、分かったよ!…無理はするなよ。お前はこの世界に残るんだから…」
「…。向こう行っても、忘れないでね」
「ははっ、あの世に行っても忘れないよ!さ、掴まって!」
「きゃあっ!」
宮野は村越を抱き抱えると勢い良く橋を蹴り手摺りに足を架けると、続けて手摺りを蹴った。
「わぁぁ!」
「よー…いしょいっ!」
追ってきていた者達は悲鳴をあげたが、宮野は近くに立っていた街灯に器用に着地し、そのまま飛び降りた。そして家に向かって走りだす。
「幸村…ッ無事でいて…っ」
「ね、ねぇさっき、真田幸村と名乗る男が、男性を拘束しているそうですがって言ってたよ?!」
「…いるとしたら…伊達さんくらい…。多分…、幸村って頭の回転速いから、伊達さんを巻き込まない為に他人を装おうとしているのかもしれない…ッ!」
「…どちらにせよ危ないよ!あそこに、幸村さんの槍あるんでしょ?!」
「…くそっ…なんで最後の最後で…ッ!」
宮野はぎり、と歯軋りして強く地面を蹴った。


 「いっ…!真田、苦しい…!」
「も、申し訳ござらん!」
幸村は伊達を抱き抱えて、隙を見て道場を飛び出した。出来るだけ伊達の首に負荷を与えないようにしながらも首を押さえ、地面を蹴った。
「待て!」
「?!」
持ち前の脚力で人通りのない所まで来たところで、幸村は何者かに呼び止められた。
槍を構えながら振り返ると、短髪の男が立っていた。
「そっちは駄目だ、既に警察が動いてる。こっちへ!」
「貴殿は?」
「…ある意味では、君と同じだ」
「…?」
「…、真田、どうする」
「…嘘は言っておらぬ…。分かり申した。案内願いまする!」
幸村はその男の後について走りだした。

「わぉ」
「!す、すいません」
「…待った!君が宮野黎凪ちゃん?」
「?!」
同じ頃、同様に宮野も男に呼び止められた。
「そっち、警察いたよ」
「?!」
「あっち。…あっちに行ったほうがいい」
「…この声もしかして、森…?」
呆然と呟いた村越に、男は微笑を浮かべた。
「…可愛い後輩の手伝いくらい、したいもんでね。信じる信じないかは君の自由だけど」
「…。後輩とは、幸村の事を考えていてくださる方ですか」
「…あぁ」
「分かりました。…貴方を信じます。ついでに後から追ってくる人達撒いてもらえます?」
「!ははっ、いいよ」
「、失礼します」
宮野は軽く頭を下げるとその男の脇を通り抜けた。
「…ニュースで聞いたのと全然違うな。マスコミっ、て奴は…」
男は走り去る2人の姿を見送りながら、小さく呟いた。


 「…なぁ、アンタもしかして保志総一朗か?」
「ほ…ほし?」
「……………」
「いや、答えたくないなら言わないでいいですよ。でも、万が一の事が起こるとアンタも危ない。何せこいつは今絶賛銃刀法違反だからな」
「…その時はその時です。この道をまっすぐ行けば街道に出る。北上すれば山梨…つまり甲斐に着く」
「!」
「ここよりはマシなはずだ」
「…確かにな。上田行ったとき、あちらこちらにポスターとかあった」
「…感謝いたしまする」
「…、頑張れ」
「!…はっ!」
幸村は勢い良く男に頭を下げると、伊達と共にまた走りだした。
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