スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

もうお前を離さない102

「これは?」
「ジグソーパズル。一つの絵をバラバラにして、また絵を作り上げるものなの」
「成る程。…楽しいのか?」
「やってみると案外楽しいよ。段々絵が出来上がってくのって」
「む…。…この薄いのはなんだ?」
「これはね、一筆箋っていうの。一言の文を送る用のもの、とでも言おうかな」
「ふむ。…斥候には使えそうでござるな!」
「や、和紙だからどっか飛んでっちゃうと思うよ」
「あ」
買うわけではないが、幸村と宮野はBASARAコーナーで売り物を見ていた。幸村がこれはなんだ?と尋ねては宮野が答えている。幸村は伊達政宗のiPhoneのケースをしばらく見た後、不意に宮野を見た。
「何故このような物を作るのだ?」
「んー…皆そうなのかは分からないけど、好きなものって手元に置いて独占したいじゃない?」
「…………破廉恥」
「恋慕じゃないよ…ははっ。私に当てはめて言うなら、いつでも見ていたいからなぁ」
「いつでも見ていたい…?」
「愛でていたいんじゃないかな」
「めっ?!め、めっめめっ、愛でるなど…破廉恥!」
「だからなんで」
宮野はすぐに破廉恥と叫ぶ幸村に苦笑しながら、持っていたリングウォッチを元の場所に戻した。
「まぁ、どんな気持ちで買う、とか考えた事無いから分かんない」
「…そうか」
「黎凪ー」
谷沢が帰ってきた。その手には青い袋が握られている。
「いやー、ついつい…」
「何買ったの?」
「え?…や、内緒」
「ちぇ。ケチー」
「はいはいケチって言わないで。…ファイル買ったの」
「ファイル…?豪炎寺とか?」
「いやいやいや、…ここはノセ君でしょう」
「あぁ一ノ瀬なのね…」
「?」
幸村は話す二人の隣で目を点にしていた。やたら嬉しそうな谷沢にも、何が嬉しいのかさっぱり分からない幸村だった。


 1時を過ぎ、カラオケ屋が開いたという事で、だが予定を変更し、アニメイトより池袋駅側にあるBIG ECHOという所へ一同は向かった。既に上泉と岩井達は先についているらしい。
その旨を告げると、5階にある大部屋に通された。
「お待たせー!ちゃんと幸村さんも連れてきたよ!」
「おはようございまする上泉殿。…と…確か貴殿は、岩井殿」
「あっ、おはようございます」
「「おはようございますー」」
「………なっ?!い、岩井殿が二人おられる…?!」
「あぁ、岩井シスターズは双子ですから」
「区別がつかぬ!影武者でござるか?!」
「うん、そうだろうけどそういう事を大声で言わないの!そんで双子!」
入った途端騒ぎになる幸村に皆笑うしかない。幸村はそれぞれ名乗った岩井達をしばらく見比べていたが、がっくりと頭を垂れて
「分からぬ…」
と呟いた。
「まぁまぁ!取り敢えず歌いましょー」
「トップは黎凪で!」
「なぁ?!なんで私?!」
「ほら、いいからいいから!真田さん、なんか黎凪に歌って欲しい曲とかありますー?」
嫌だ嫌だと喚く宮野を見事なまでに無視して、谷沢は幸村に聞いた。幸村はしばし迷った後、あ、と呟いた。
「昨日、文化祭なる宴で、二つ目に歌っていた歌…歌ってくれぬか?」
「え?…REDEMPTIONを?」
「なんでまた…?」
「すまぬ、途中から聞いておらぬのだ」
「……。あぁぁ!そういえば真田さん、舞台下でバトッてましたからね」
ぽん、と上泉は手を叩く。
「あー親父さん来てたんだっけ?まぁ、おかげで俺らラブラブシーン見せられたわー」
「なっ…わ、忘れてくだされ川中殿!堪忍してくだされ…!」
「…、じゃあ歌うよREDEMPTION…」
「いぇーい!」



『―いつかはこの宙に誰もが還るから、別れの言葉はいらない…ma「ベーコンッ!」…ベーコンじゃないでしょぉぉ!』
「マイクで怒鳴んなよっ!」
「べぇこん?」
『…、いつの日か終わりを――』
最後のサビに入る直前、空耳でそう聞こえてしまうらしい、山口が突如乱入、宮野に怒鳴られていた。ベーコンの意味が分からない幸村は、山口が何がそんなに楽しいのか分からないのであった。
「…よし罰だ、次光美ね」
「えー…。…あっ、じゃあおでアレ歌う!城に帰ると部下必ず切腹しようとします!」
「なんとっ?!」
「それ伊達政宗の替え歌やん!…っていうよりなんで会話全部マイク越しなの?」
宮野はそう言って村越を見た。
<<prev next>>
カレンダー
<< 2011年02月 >>
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28