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オカントリオの奇妙な旅路8

「独眼竜には何か気になることはないのか?」
「いいや、ねぇ。ここんとこ特に変わりなかったからな」
「そうか…。……実はな、独眼竜。さっき知らせがあってな」
「?」
家康は眉間を寄せ、少し考える様子を見せたあと、政宗を手招きした。少し離れた所に座っていた政宗は、その行動を若干不思議に思いながらも家康ににじりよった。
家康はひそひそ話でもするように政宗に顔を寄せた。
「…真田が三成の元に使者を出していたんだ。話では、どうも真田の忍が突然消えたらしい」
「What?確かなのか、それ」
「いいや…あくまで"らしい"という話だ。だけど、片倉殿がいなくなったのと時期が被る。それに、これもまた"らしい"の話だが、その使者を出したのが忍が刑部と共に動いているから真意を確かめるために、なんだそうだ」
「刑部……ってぇのは、向こうの軍師ってェ話の野郎か」
「あぁ」
政宗は家康の話に眉間を寄せる。少し考え込む様子をみせ、不愉快そうな表情で家康を見た。
「…軍師のpositionの野郎が三人も行方をくらませた、って事か」
「"らしい"の話を事実と仮定すると、そういうことになるな」
「…そういや、小十郎の畑につまみ食いした形跡があったな……」
「ん、んん?」
不意に政宗が呟いた言葉に、家康は目をぱちくりとさせて混乱したように聞き返す。
政宗は小十郎からの文を見つける前に小十郎を探しに畑にいっており、真新しい手入れの痕跡がないのに不自然に野菜が無くなっていることに気がついていた。
「…ひょっとすると、その三人、今一緒のところにいるかもしれねぇな」
「!」
家康は政宗が出した仮説に僅かに目を見開いた。



 その夜。
京の三人は無事宿を見つけ、十分に体を休め、吉継が一人情報収集に出掛けていた。
宿に残された小十郎と佐助は各々勝手に時間を過ごしていた。
「…真田の大将馬鹿なマネしてないといいんだけどなァ」
「政宗様もいくらじき出立の予定だったとはいえ、馬鹿な真似をなさらなければいいんだが」
「ねぇ右目の旦那ァ。旦那は今回のこと、自然現象だと思ってる?それとも人為的な事件?」
佐助の問いかけに刀の手入れをしていた小十郎はその手を止め、考える。
「……さあな。まだなんとも分からねぇ、だが…人為的なものじゃねぇかとは思うな」
「俺様も。だって、妙すぎるもんね、変わり方が」
「お前の言うオカン属性とやらか?認めたくはねぇが」
「まぁね…ていうかオカン属性とかいうなら、立花の旦那も入る気がする…けど、そうじゃなかったんだよね」
「…あの男が犯人だとして、俺とお前だけならまだ分かるんだがな」
「松永久秀……でしょ?」
「あぁ」
二人の脳裏を過ったのは、松永久秀という男。悪い噂はたくさんあり、それでいて伊達や真田にやたらちょっかいをかけてくる実績がある。そして何より、こういった胡散臭いものの類いをよく使うのだ。
だが彼が犯人だとすると、吉継も変えられた理由が二人には思い付かなかったのだ。
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