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オカントリオの奇妙な旅路4

「うおおおおおああああ?!!?佐助ぇぇぇぇえどこへ行ったァァァ!?」
少しして夜が明け、武田の本拠地、上田城に城主真田幸村の大声が響き渡った。
幸村は腕をプルプルとさせながらたった今読み終えた書を見つめた。その書には、吉継と共にしばらく武田を開けることが簡潔に書かれていた。
幸村の大声に何事だと家臣が集まる。
「何故俺に何も言わずに…!誰か!石田殿の元へ早馬を!!」
幸村は事の真意を確かめるべく、だが自ら行くことはせず、部下を向かわせることにした。



 「…………」
同じ頃、西軍総大将石田三成は、むっつりとした顔で書を見下ろしていた。それは吉継が残した書で、そこには佐助の書と似たようなことが書かれていた。
しばらく抜ける、だが戦までには戻る。我の事は気にせず主は事を進めてくれやれ。
書はそのように締め括られていた。ぎり、と三成の歯が鳴る。
「ぃよう、石田ァ!……ぁん?なんだ、大谷どっか行ったのか」
「…そのようだな。貴様はなんのようだ、長曽我部」
「おう、この前の戦の事なんだけどよ、」
三成は自分のもとを訪れた長曽我部に話を合わせ、気にするそぶりは見せないものの、何か胸騒ぎがするのを感じていた。
「(刑部…貴様何を隠している…)」
だが本人が不在の今、三成に確かめる術はなかった。
「…長曽我部、私も刑部同様用ができた、近いうち一度京に行く」
「あぁ?そうなのか?連れはいんのか」
「いない」
「はぁ?!総大将を一人でほっぽり出せるかよ、俺もついてくぜ!」
「好きにしろ」
三成は吉継の手紙から、吉継が何かを探りに行った事を読み取っていた。明朗にそれが書かれていないという事はそれが何かも分かっていないということだ。
そんな状況で吉継ならどこへ行くか。三成はそう考え、京に行くことを決めた。
いないのならば、見つけて問いただせばよい。幸い、戦までにはまだ準備することも多く、京に行くことは例え吉継がおらずとも無駄足にはならない。
「…隠し事は許さない」
三成は机の上においた書を睨み、小さくそう呟いた。



 「どういう事だァァァ!」
そしてこれまた同じ頃、奥州では政宗がそう叫び声をあげていた。その手にはやはり小十郎が残した書がある。
身体に異常あり、原因を探って参ります。
書には簡潔に、それだけ書かれていた。政宗は苛立ったように書を壁に投げつける。
「Shit!!俺に隠れて行動するたァいい度胸してんじゃねぇか小十郎!成実!」
「うっス!」
「厩行って小十郎の馬あるか確認してこい。いなかったら俺の馬連れてこい!家康ん所に行く!」
「へっ?り、了解っす!」
政宗はばさりと寝間着を脱ぎ捨て、戦装束に手をかけた。
「テメェがいなけりゃ話にならねぇ…家康に頭下げなきゃならねぇかもな」
Shit、と政宗は小さく舌打ちした。
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