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Not revolved transmigration 20

「奴らが手紙を使うのは珍しい故。間接的な連絡手段は今まで使った所を見たことがない…」
「…?これは一体誰が?」
「ヒッヒ…どうやらただのヤクザではなさそうよな」
「ヤクザ?!」
「吉継、内容はなんだ?」
驚いている石田をちらと見た後、豊臣は手紙を流し読みした大谷にそう尋ねた。
大谷はどこか楽しそうに口角を上げる。
「…、どうやら奴らが政宗に目を付けたのは社長目的ではないようですなァ。最初はそうかと思っておったのですが…」
「…そういえば社長って、どこの会社の…?」
「新日本覇王という」
「なっ…」
「…?」
聞き慣れない名前に首をかしげた徳川と真田に石田は小さくため息をついた。
「…まぁ知らないか。大手の警備会社の中でも常にトップにいる会社だ」
「「警備会社?!」」
「…となると、何故奴らは政宗を…?」
真田達に一切気を払わず考え込んでいた大谷の言葉に、豊臣はうむ、と頷いた。
「石田先生。この手紙、しばらく借りてもいいだろうか。このまま相手が引き下がるか否か分からん」
「え…あ、はい」
「政宗。お前はしばらく我と共におれ」
「………はい」
「吉継。すまんが政宗を送ってくれ」
「…承知。来やれ」
「…、この事は内密にしたほうがよいでしょうか?」
石田は大谷に押されていった伊達を見た後、豊臣にそう尋ねた。
「すまぬ」
「分かりました。伊達の事は任せます。では、私はこれで」
伊達と大谷、そして石田はアパートを後にした。その場には豊臣と徳川、真田が残る。
「じゃあ…ワシ等も帰るか。政宗の事は…ワシ等にはどうしようもないしな」
「そ…そうですな…」


「家康よ」


「……え………」
帰ろうとした徳川に、豊臣がそう呼び掛けた。徳川は数秒固まった後、ぎこちない動きで豊臣を振り返った。真田も驚愕に豊臣を凝視する。
「い…今……なんて…」
「聞こえなかったか家康」
「秀吉公…まさか覚えて…ッ」
さぁ、と顔が青ざめた徳川に、豊臣は盛大に吹き出した。
「は、は、は、は、は。なんだその顔は。我が貴様を恨んでいるとでも思っているのか」
「え…あ、いや…」
徳川は慌てて頭を下げた。豊臣の言葉に嘘は見えない。
徳川と真田は顔を見合わせた。
「あの…何故お分かりに…?」
「貴様等を見ればすぐに分かるわ。人の顔見るなり口を塞ぎあう者などおらぬ」
「う…いや、思わずあれは驚いて……」
「まさか貴殿にも記憶がおありとは…」
「貴様等も難儀しているようだな」
豊臣は真田の言葉に小さく笑った。そんな豊臣に徳川はぎこちなく口を開く。
「秀吉公…」
「家康よ。我は貴様を恨んだ事などないが、貴様が貴様がした事を悔いておるならば許さぬぞ」
「え…」
「そうでなければ、貴様は何の為に我と三成を殺したのだ?」
そう言った時だけ、豊臣の瞳に僅かに物騒な色が宿った。徳川は気圧され、思わず俯く。
「…ッ」
「…豊臣秀吉殿……」
「ふっ。情けないな家康よ。記憶があるだけで、貴様は貴様でないのだな」
「…!」
「過去の貴様と別離するつもりならば、斯様な態度を取るのは止めよ。中途半端に『徳川家康』であるでないわ」
「…秀吉公…ワシは物心ついた時から記憶がある、だから別人だと思った事はない。…ただ…後悔はしているかもしれない。ワシは、貴方を倒したことは後悔していない、だが…」
「…。三成に記憶が無くてよかったな」
「…ッ」
豊臣の言葉に徳川は言葉が出なかった。
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