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Not revolved transmigration 13

「……………」
――私は石田三成が嫌いだ
「…記憶がないと、そこまで人は変わるものなのでござるな…」
真田は教室の窓から外を眺めながら、ぼそり、と呟いた。伊達と徳川は戻ってこない。
「……三成殿………」
きゅ、と拳をきつく握り、真田は目を伏せた。

ピピピ♪

「?」
不意に携帯電話が着信を知らせた。不思議に思って携帯を開くと、徳川からメールが届いていた。
『独眼竜は家に帰ってしまった(´・ω・)ワシも病院に行かなければならなくなった。次の先生に伝えてくれないか?』
「…相変わらずこの顔文字には慣れぬな…。承知…と」
真田は端的に返事を書き込み送信すると、ふぅ、とため息をついた。
「…依存している事を自覚していない…か…」
真田は小さくそう呟くと、再び目を伏せた。
―某も、そうなのだろうか。


 翌日土曜日。真田は家の近所の道場の稽古を終えると、徳川に誘われ、とあるレストランに赴いた。
「…独眼竜大丈夫だろうか……」
開口一番そう言った徳川に、真田は小さくため息をついた。
「そんなに心配ならば家に行けばよいでござろう」
「真田…お前な。元はお前があんな事を言ったからだろう!」
「…謝りに行こうとも、今の某に隠し通せる自信はござらん」
「ッ…」
「…そういえば。石田先生は三成殿の事が嫌いだそうでござる」
「………え?」
徳川は少し遅れて真田に反応を返した。驚愕したその顔に真田は目を細め、持っていたコップを強く握り締めた。
「……政宗殿はどうか知りませぬが…どちらにせよ、記憶のないものに打ち明けるのは得策だとは思いませぬ」
「…そうなのか…三成が…。…どうしてだ?」
「依存している事を自覚していないからだ、と」
「…はは、厳しいな」
徳川はそう言って小さく笑うと視線を真田から逸らした。
真田も視線を窓の外へと向けた。
「…何故…我等は過去を覚えておるのでしょうな……」
「…………そうだな」
「………。む?」
「ん?」
真田の声に徳川は顔を上げた。真田は僅かに腰を上げ、窓の外を指差した。
「三成殿にござる」
「え?」
その言葉に徳川は真田の指の先を見る。
そこには確かに石田の姿があった。黒いワイシャツにパンツ、真っ黒な出で立ちだった。
誰かを待っているのか、立っている街灯の下から動かない。
「…、話し掛けるか?」
「え?」
「…石田先生が今、どう生きてるのか。…正直に言うなら、ワシはあの人が三成とは違うのだと、納得したい」
「………、…。……そうですな」
徳川の提案に真田は伝票を取った。

 「石田先生!」
「?…真田と徳川か。真田は…稽古帰り、か?」
「そうでござりまする。石田先生は?」
「友人と待ち合わせだ」
石田は真田達に気が付くと、見ていた携帯をしまった。徳川はにこ、と笑みを浮かべる。
「そうなのか!どこに行くんだ?」
「買い物だ。引っ越ししたから家具が必要らしい」
「…、石田先生は友人は多いでござるか?」
「友人?…、施設の仲間は家族のように思っているが…それ以外の友人はあまりいないな。凶王だのなんだの、くだらん事を言う奴らばかりだったからな」
「…同姓同名だから?」
「貴様等はなかったか?」
「…ワシは権現とよく言われたなぁ」
「某は特には…あまりそのようなあだ名はなかったゆえ」
石田はそうか、というとどこか楽しそうに笑った。
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