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Not revolved transmigration 3

「今日の授業はここまでだ。次回までに124ページから127ページまでを読んでこい。チェックはしないが、してこなければ後悔するとだけ言っておく」
石田はそう言うと颯爽と教室を去っていった。
途端、教室内はわいわいと騒がしくなる。女子はかっこいい、だの、俺様、だの様々な事を口にして、新しい教師を歓迎しているようであった。
「…石田…三成……」
珍しく授業を全て起きていた伊達は自分が取ったノートを見つつ、黒板を静かに見つめていた。
「…真田」
「……よかったでござるな、徳川殿」
ひっそりと己に近づいてきた徳川に、真田は刺のある声でそう返した。
「あぁ。本当にそう思う」
「!徳川殿、」
「過去は変えられないものだ。ワシは、三成が憎しみに生きていなくて心底ほっとした」
「……っ……」
徳川からの思わぬ言葉に真田は唇を噛んだ。だが、真田はすぐに徳川を睨んだ。
「某は貴殿のそういう所が大嫌いなのでござる!三成殿を案じる物言い…本心を口にしたらどうなのでござるか」
「これがワシの本心だ!ワシは心からそう思っている!」
「三成殿を復讐の狂気にとりつかせたのは貴殿でござろうが!貴殿は三成殿が覚えていなくてもう憎まれずにすみ、心底安堵したことでござろう!」
「…っ。そんな風には思っていない!だからこそ…三成にはもうあんな生き方をしてほしくない」
「何をぬけぬけと…っ!」
「Hey.何ケンカしてんだアンタ等」
ぎゃーぎゃーと、しかし周りには聞こえぬよう小声で言い争っていたが、伊達が気が付いて2人の元へやってきた。
「政宗、殿…」
「いや。何でもないぞ」
「…ふぅん?」
伊達は不思議そうに2人を見たが、言及はしてこなかった。
「…にしてもあの教師…変わってたな」
「!変わっていた?」
「…俺にあんな事言ってきた奴は初めてだ」
伊達はそう言ってにぃ、と口元に笑みを浮かべた。
「面白くなってきたぜ」
「面白く、って…何する気だ?」
「職員室に来い、待っている、って言ってだろ?本当に石田が待ってるか確かめんだよ」
「な…何故斯様な事を?」
「初めてだからだよ。あの野郎がどこまでできるか、見物じゃねぇか…!」
「質悪いな〜…」
徳川の呆れた声に伊達は楽しそうに笑う。真田はふいと顔を逸らし、席を立った。
「どうした幸村?」
「なんでもありませぬっ!」
「?なんだアイツ」
不愉快そうに教室を出ていった真田に伊達は肩を竦め、徳川は何とも言えない表情で頷いた。


 「………あ」
「ん?どーした、石田先生」
二時間目が始まってすぐ、国語科の教師前田利家に校内を案内されていた石田は屋上に真田の姿を見つけた。
「…あそこ…えっと、名前は……」
「ん?……真田じゃないか。珍しいな、伊達はともかく真田はサボる事なかったのに。ちょっと行ってくるから、職員室で待っててくれ」
「…いえ、私も行きます。最初の授業の時、気に掛かったので」
自分を呆然と見つめていた生徒。それが気に掛かり、石田は前田の後ろについていった。

「こらー!真田ー!って、あれ?」
ばんっ、と勢い良く前田は屋上の扉を開いたが、そこに真田の姿はなくすっとんきょうな声を上げた。
前田に続いて屋上に出た石田は、キョロキョロと辺りを見回した。後ろを振り返り、貯水タンクの方をじっ、と見つめた後、少し後ろに下がった。
「?い、石田先生?」
前田の言葉に自分が感じていた気配が僅かに揺れた事で確信し、数歩助走をつけて勢い良く地面を蹴り、貯水タンクの乗る入り口の屋根を掴み、壁を蹴る事で半回転しながら屋根に飛び乗った。
「!」
真田はぎょっとしたように石田を見た。
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