Not revolved transmigration 133

「もう終わったんだ、何か悔いがあってもどうしようもねぇ。素直に喜ぶに限る」
「ん……そうだな!」
「……やれやれ。皆でご飯でも行こうか」
「…そうだな」
豊臣は笑みを浮かべた竹中の言葉に小さく笑い、立ち上がった。

会社を出たところで、伊達の足が止まった。
「…!政宗殿?」
「!……真田幸村、貴様達は先に行け」
「豊臣殿!…わ、分かり申した…」
豊臣の言葉に留まることが出来なくなり、真田や竹中、大祝、石田そして徳川は後ろ髪引かれながらも歩みを再開した。松永と黒田は興味無さそうに通りすぎ、大谷は意外そうに伊達の足を止めた男を見据え、長曽我部と毛利は伊達の肩をぽんと叩いて竹中達に続いた。
伊達はじ、とその男を見据えた。
「…何か用かよ、成実」
伊達の前に現れたのは、片倉成実だった。
成実は伊達に歩み寄る。
「やっぱりお前、政宗じゃねぇか。なんであの時、」
「片倉成実よ」
ずい、と豊臣が前に出た。伊達は僅かに驚いたように豊臣を見た。
「貴様、あれから何も考えていないようだな」
「は?」
「失せよ。政宗は我が息子、もはや貴様には関わりのない人間よ」
「なっ!」
「行くぞ政宗」
豊臣はそう言って伊達を振り返った。伊達はぽかんとしてしまう。
「ひ、秀吉さん?」
「あの日から今日までの間、情報が公開されたにも関わらず、こやつは何も考えておらぬ。貴様が何か言ったとしても何も変わらぬわ」
「おいちょっと待てよ!アンタいつ政宗の親父になったってんだ!」
「愚か者め。斯様なことも知らんのか。よくそれで刑事などやっておれるな」
食いついてきた成実に豊臣は冷たく言い放つ。成実は一瞬怯んだが、退くことはしない。
伊達はちょいちょい、と豊臣の腕を引いた。
「いいです…話します」
「…そうか」
豊臣は僅かに後ろに下がった。伊達はきゅ、と拳を握り成実を見上げた。
「…俺のことはいい。姉さんに言うことはねぇのかよ」
「…景綱に?」
首をかしげる成実に伊達は目を見開き、強く地面を蹴って一気に距離を詰めると成実を思い切り殴り飛ばした。
「てっ!」
「テメェ本当に知らねぇのか?!本当に何も言うことはねぇのかよ!?」
「な…」
「なんで姉さんがヤクザになんなきゃなんなかったんだよ。なんで姉さんが犯罪者にならなきゃならなかったんだよ!!テメェその間、一体何してやがった!!」
伊達は我慢していたものが崩壊したように一息にそう怒鳴った。成実はどこかカチンとしたように伊達を見上げた。
「んだと?!何も知らねぇくせに偉そうな口きくんじゃねぇ!仕方ねぇだろ!俺がいねぇときにあの野郎が勝手にやったんだ!」
「テメェが頼りねぇからだろ?!」
「ふざけんな!あのババァの借金いくらあったと思ってやがる!!」
「貴様ら、落ち着け」
「「うぉっ!」」
互いにヒートアップして声が大きくなっていった二人に豊臣は小さくため息をつき、二人の首根っこを掴んで引き離した。成実は伊達をにらむ。
「お前はウチにいなかったから気楽なもんだろうがなぁ!俺は精一杯やっんだよ!」
「んだと?!」
「落ち着けと言っている」
豊臣はそう言うとぐわし、と伊達の頭を掴んだ。きゅう、と変な声が伊達から出る。