もうお前を離さない333

「許そうなどと考えた…?」
「いぃえぇやぁすぅぅぅっ!!」
「!」
勢い良く2人はぶつかった。
「ぐっ…!」
小手に食い込んだ刀が腕に突き刺さる。
「私と共にこの地で滅べ家康ぅぅッ!!」
「ッ…三成!駄目だ!ワシを殺すなら、お前は生きろ!」
「ふざけるな!!秀吉様も奴もいない世界に、どうやって生きていけばいい?!」
「…ッ」
「私はあの日死んだ!秀吉様と共に貴様に殺されたのだ!私はどうしたらよかったんだぁ?!家康ぅっ!」
石田は勢い良く刀を引いた。徳川の腕から血が吹きだす。徳川は思わず痛みに片目をつぶった。
「家康!」
「いい!」
徳川の様子に刀を抜いた伊達を徳川は止めた。不服そうな伊達に、徳川は首を横に振る。
その様子に石田はぎり、と唇を噛んだ。
「…気が変わった」
「?!」
「貴様を殺すのは、貴様を絶望の淵に送った―――」
そこまで言った時、ふ、と石田の姿が消えた。
「――後だ!!」
「!」
「独眼竜!!」
次の瞬間、石田は伊達の間合いに移動していた。伊達は慌てて石田の攻撃を受けるが、衝撃で伊達の手から刀が吹き飛んだ。
「Shit!!」
伊達は後ろに跳躍して刀を抜いた。石田は刹那の内にその間を詰める。
「…テメェ…ッ自分勝手なのもいい加減にしやがれ!!」
「…自分勝手だと…?」
「確かに家康はアンタを裏切った。アンタから大切なもんを奪った、だが奪った点に関しちゃアンタも同じだ!!」
伊達は交差させた刀を振り払って雷を飛ばす。石田はそれを切り裂き、不愉快そうに伊達を睨んだ。
「煩う者め…何が言いたい」
「アンタに家康を恨む資格なんざねぇって事だ。You see?」
「そもそも誰だ貴様は」
「!!テメェ一度ならず二度までも…ッ!!」
またも自分のことを忘れていた石田に伊達はカチンときた。石田を弾き距離を取ると、最初に弾かれた刀を拾い六爪に構えた。
「DEATH BITE!!」
勢い良く刀を左右に払い、技を放つ。石田はその技を軽々と避けると再び伊達との間を詰めた。
「アンタは俺の大事なものを奪った。だが俺はアンタを憎んじゃいねぇ。なんでか分かるか?」
「貴様の感情など知るか!興味もない!!」
「…ッ言いたい放題言ってくれんじゃねぇか、山猿の左腕が!」
「!!貴様ァ秀吉様を侮辱するか!!」
「!」
がきん、と派手な音がして刀がぶつかり、再び伊達の刀が飛んだ。
石田は返す刀でもう片方の手の刀も飛ばす。
「…ッ!!」
「死ね!!」
そのまま一歩踏み込んだ石田は、伊達が避ける時間を与えずに技を放った。
数多の斬撃が、伊達を斬り刻んだ。
「どぅわ!!」
「政宗様ッ!!」
石田は伊達の陣羽織をつかみ伊達を引き倒すと、その胸を踏みつけた。
「Shit…ッ」
「死ね」
石田はそのまま刀を振り上げた。
「止めろ三成!!ッ、片倉殿ッ!」
「くっ…」
伊達の首目がけて振り下ろされた刀は片倉によって防がれた。
石田は冷めた目で片倉を見下ろす。
「鳴神!!」
「……!」
片倉はきっ、と石田を睨み上げるとその体勢のまま技を放った。
石田は刀を伝ってきた電撃に、伊達の上から飛び退いた。
「政宗様!!」
「Sorry,but thanks」
石田は刀を鞘に納めるとふるふると右腕を振った。片倉は左下に刀を構えた。
伊達は弾かれた刀を拾い構えた。傷からはぼたぼたと血が滴れたが、伊達は構う事なく石田を睨み、叫んだ。
「石田三成!アンタは一度死んだんだろう!一度死んだのなら尚更、今度は生きる為に力を使いやがれ!!Hell dragon!」
伊達は技を放った。石田の表情がぴくりと動いた。