Not revolved transmigration 131

「で、今は何してんの?魔王の妹を参戦させる訳にはいかなかいし見させるわけにもいかないと思ったから全く聞こえない場所にいてさ」
「…!お市殿か、」
「うむ、爆発の音を聞き付けてやって来るであろう警備員に全て話す為に待機中だ。佐助、お前は顔が知られ過ぎている故ここから去れ」
「んー。いや、止めとくよ。コタの事もあるからさ、俺様も残る」
「…!そうか、分かった」
真田は猿飛の言葉に僅かに驚いたように猿飛を見た後、ふ、と笑った。



 『電話ぞ』
それから数分後、長曽我部のケータイが鳴った。どうやら着信音は毛利の言葉らしい。
新日本覇王のジャマーは、特定のひとつの携帯の電波を生かしておく事が出来るのだ。
雑賀から借りた携帯は特殊な機種だったため、万一の事を考えて長曽我部の携帯を生かしていた。
「電話ぞ」
毛利が着信音と全く同じトーンで携帯を伊達に投げる。着信は知らない番号から。
伊達はいぶかしみながらもそれを取った。
「……誰だ?」
『呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃーんってね。どうもー猿飛ですよ』
「……アンタか。一瞬とてつもなく焦ったぜ」
ひょうきんな始まり方をした電話をかけてきたのは猿飛だった。伊達は一瞬固まった後息を吐き出し、携帯をオンフックにした。
『あはーびっくりした?で、業務連絡だよ』
「!何ぞ進展があったか」
『進展があったどころじゃないのよ。松永が死んだ』
「…は?死んだ?」
『そ。なんでも、片倉さん守ろうとした尼子ってにーさんが撃った弾が肺貫通してね。ほっといても死んだんだけど、よく分かんないけど身投げて爆死したよ』
「は?!何だよそれ…」
「尼子って吉継に化けてた奴だよな。そうだ、吉継は?!」
『大丈夫大丈夫、生きてるよ。市って名前の女の子もいて…あ、石田の旦那達と知り合いみたいだった』
「…ならばおそらく織田信長の妹ぞ」
『お、正解。なんでいたのか知らないけど、どうやらこっちもさらわれてきたみたいだからさぁ、浅井長政ってお医者さん探してくれると助かるかな』
「…猿飛よ。尼子が発砲したと言ったが、前田と雑賀はどうした?」
『え?…そういや来てないよ』
「何だと?」
豊臣と伊達は思わず顔を見合わす。毛利はわずかに眉間を寄せ、考え込む。
「…数分前にあった都内各地での爆発……まさかあれに巻き込まれたか。それともその爆発が松永の仕業だったのか」
『…あぁ、もしもし?後者の方が正解だよ。突然車爆発して、その後処理二人に任せてきたんだって』
「…なるほどな。って事は、野郎の死で決着着いたって事か」
『うんーお疲れさまー。あ、そういやアンタ公務執行妨害したんだって?早く謝りにいったほうがいいと思うよ』
「うっせ、分かってんだよ」
伊達はそう毒づくと電話を切った。ふぅ、と長曽我部が疲れたように長いため息を吐いた。
「…終わったなー」
「…そうだな」
「死なれては立証が難しくなったではないか松永め」
「元気だなぁ元就ぃ…」
「……じゃ、俺警察の奴らんとこ行ってくる」
伊達がそう言って立ち上がると、豊臣も同時に立ち上がった。驚いたように自分を見る伊達を豊臣は真っ直ぐ見つめる。
「…我も行こう」
「!秀吉さん、」
「あん?なら俺もいく!残ってても面倒なだけだし。なァ?」
「我に振るな。だが、どうせまた聴取されるのだ、格段残る意味はない」
「……元親……元就さん…」
伊達の声がわずかに震える。長曽我部はがし、と伊達の肩に腕を回した。
「おら、行こうぜ政宗!万が一公務執行妨害になっても俺が共犯になってやるぜ。一番騒ぎ立てた訳だしよ」
「ふん、思慮が足らんのだ」
「うっ。結果オーライだろ?!」
「うむ、そうだな」
「ちょっと棒読みやめて」
「ぐだぐだしている暇はない。自首の方が罪は軽い、早に行くぞ」
「…おぅ」
伊達はにっ、と笑みを浮かべた。