Not revolved transmigration 130

「確かにこやつは営業よ。警備会社はあくまで警備が仕事、潜入捜査はまずせぬからな。だが、時折相手が嘘をつくことがあってなァ。力の合った者でなければ警備できぬ場合もある。黒田はそういう時の捜査員なのよ」
「…凄かったのでござるな」
「何じゃあお前さんその言い方は!」
「まぁまぁ。じゃあ爆弾は片が着いたと考えていいかな?」
「そのようだな…じきに警備員が来るはずだ」
「あぁ、一応このフロアの出入口は封鎖しておいたからもう少しかかるはずだぞ」
片倉は黒田の言葉に尼子に目をやった。尼子は小さく頷く。
「…よし、私と尼子が残るから、他は早くこの部屋から出ていけ」
「!片倉殿、」
「なんで!?」
宇都宮が上げた声に尼子はやれやれとでも言いたげにため息をつく。
「落とし前つけんだよ。最終的に自殺したが俺は奴を撃ってもいるしな」
「…!」
「お前らがいると話ややこしくなるだろ。だから早く行きな」
「…私は残る」
「!石田」
石田が不意にそう言って立ち上がった。石田はそのまま竹中を振り返る。
「…私は、このまま、闡喪組の内輪の話で終わらせたくはありません」
「…」
「申し訳ありません。でも、逃げたくはないのです」
「……だ、そうだよ、片倉君?」
「……だ、だが……」
戸惑ったように片倉は呟き、尼子を見た。尼子は少し考え込む様子を見せた後、諦めたように肩を竦めた。
「もういいんじゃねぇか?つかよく考えたら伊達が立派な公務執行妨害してるわ」
「なっ?!なんだとテメェ!」
「あーもーでけぇ声出すなって。なんで俺がこっち来れたと思ってんだ?」
「テッ……テメェ……!」
「要はそういう訳だからよ。伊達の罪軽くするためにも残ってもらった方がいいかもな」
尼子はそう言ってぼすんとソファーに腰掛けた。片倉は疲れたような諦めたような長いため息をつくと、そうだな、と呟いた。
「…悪ぃが小生は退散させてもらうぞ。あくまで一従業員なんでね」
「あぁ、ありがとう。彼女死んだけど……些か不安が残る。気を付けてね」
「はいはい」
黒田はそう言うと、ちらり、と大谷と目をあわせた。大谷は薄く笑って小さく頷く。それを確認してから、踵を返した。
「…話はおいおい、かな」
「そうですなぁ」
「…仕方ないね。でも、きっちり話してもらうからね、大谷君」
大谷は竹中の言葉に竹中を見上げた。竹中はその大谷の視線ににやりと笑う。大谷は困ったように肩を竦めた。
「…終わったな、真田」
「…そうですな」
それをちらりと見た後、徳川は真田を振り返りそう言った。真田も薄く笑ってそれに返す。
乱闘には参加していなかった織田と猿飛が出てくる。猿飛は大谷に織田を任せ、真田の元へ走ってきた。
「真田の大将!松永、まーた爆死したの?」
「?また?」
「そっか、大将はそん時にはもういなかったか。まぁいいや。で、どうなったの」
「うむ、尼子殿の助太刀により松永は倒した。自らそこな窓から身を投げ、爆死したようだ」
「わぉ、マジで?」
猿飛はそう言って窓をちらと見た後、真田に向き直った。