南相馬の黒毛和牛からセシウムが検出された件が今、話題になっています。
私個人の意見で言うなら、問題の農家は同情すべき点は多々ありますが、それでも大きな犯罪を犯してしまったのだと思います。
まず、第一に禁止されていた稲わらを与えた事。
あの震災直後、人間さえも食べるモノに窮していた時、やせ細って行く牛を見るに見かねてしたことだとしても、その気持ちは本当によく解っても、それは牛の為にもやってはいけないことだったのだと思います。
第二にその牛を危険かもしれないと解って出荷したこと。
現在、極論の中には福島県の全ての野菜、肉、牛乳を出荷停止にすべきだというものもあります。
福島県の放射能数値が他県に比べて高いのは事実で、その空気と大地で育った野菜には放射性物質が付着している可能性が高いのもまた事実です。
これは本当に、悲しく、悔しいことですが風評ではなく事実なのです。
牛は黒毛和牛であればなおのこと、一頭の単価が高く、震災後なるべく早く現金収入が欲しくて出荷してしまった気持ちは解らなくもありません。
けれど、それは福島を応援してくれている人達に危険かもしれないものを食べさせる行為であって、人間としてやってはいけないことだと思うのです。
そして第三に嘘をついたこと。
その場限りを取り繕って嘘をついて出荷した。
結果そのウソがばれて大問題になりました。
それは長年、仲間と自分も含めて多くの人が培ってきた福島の牛肉への信頼を失墜させることであり、ひいては牛のみならず豚、鳥。
野菜を含めて福島県産品の信頼を失わせることになるのです。
いえ、事実、福島県産の牛肉をボイコットする動きも出ています。
危険な肉を食べてしまったかもしれない。
それが自分の身体を蝕んでいるかもしれない。
そう思った人はもう福島県の肉を買わないでしょう。
福島県の野菜や他の物も買わなくなるかもしれない。
さらには福島を嫌いになるかもしれない。
福島県人としてやっぱりそれはやってはいけないことだったと思うのです。
震災後、特に原発関連に関しては嘘が横行しました。
私達は東電と国がつき続けた嘘にどれほど悩まされたか、いえ、現在進行形。
今も悩まされているのです。
その場を取り繕った嘘はいつか必ずバレます。
そして信頼と言う一番大事な宝を失うことになるのです。
嘘の代償はあまりにも大きな事。
償いは用意ではありません。
その酪農家を責める権利は直接の被害を受けていない私にはありません。
彼等も確かに被害者ですし、既にもう針のむしろにいるでしょうしこれ以降話題にするつもりも責めるつもりもありません。
一度失った信用は簡単には取り戻せませんが、真実が明らかになり、色々な意味で被害がこれ以上拡大されないように祈っています。