人を育てるには「2つ叱って、3つ褒めよ」とよく言われます。人間だれでも叱られるよりも褒められたほうが嬉しいものです。

特に、子供は褒められると自信がつき、やる気に溢れ、すくすくと伸びていきます。子供の成長にとって、褒めることはなによりも大切なことですが、褒め方によっては、子供が伸びる妨げにもなるようです。

「どんどん褒めましょう」という意見がある一方で、褒めることで相手の意欲を削いでしまう「褒め殺し」という言葉もあり、褒め方にも工夫が必要なようです。

まず、3歳以下の年齢までは、どんどん褒めてやりましょう。自信を持って意欲的に難しい課題をやり抜けるようになります。

これは、周りが喜んだり励ましたりする様子をそのまま素直に感じ取り、自分も嬉しくなってどんどん前へ進もうとするからです。

ところが、3歳頃ともなれば、言葉の意味もしだいに理解できるようになり、相手の表情の裏側にある意図や、気持を敏感に感じ取るようになりますので、褒め方も少し気をつける必要が出てきます。

例えば、いつも嫌いなピーマンを頑張って絶経た時は、「すごいね」と曖昧に褒めるのではなく、「これまでピーマンが食べられなかったのに、よく頑張って食べたね」と具体的に褒めてあげると、子供は「あ、自分のこと、よく見て分かってくれているな」と嬉しい気持ちになります。

また、優勝して凄いわねとか、100点とって偉いわねと、「結果」や持って生まれた「才能」を褒めることは、子供の成長にとってマイナスに作用してしまいます。

これは、結果や才能は、子供自身で常にコントロールできるものではなく、失敗することもあるからです。

逆に、「才能」や「偉い」といった評価を損なわないために、より難しい課題へ挑戦することを避けたり、失敗を恐れたりするようにもなりかねません。

それよりも、諦めずにやり抜いたことや一生懸命努力をしたことなど、自分でコントロールしたその過程を褒めましょう。そうすると、結果は良くなかったけど、次は頑張るぞという前向きの気持ちになれるのです。

また、大した努力をしなくても出来ることを褒められても、そうは嬉しくないものです。逆に、褒め過ぎは、「ナルシスト」を生み出してしまう可能性があります。その子が努力してハードルを越えた時に、しっかりと褒めてやりましょう。

他人と比較して褒めると、負けず嫌いな子は、一層対抗心を燃やして頑張りますが、長い目で見ると、あまり効果的な方法ではありません。

どんなに努力しても負けることはありますし、勝てない相手は出てきます。他人に勝つことがやる気の源になっていると、負けた時の挫折感は大きく、一気にやる気を失ってしまいかねないからです。

比べるのは、他人とではなく、過去の自分にしましょう。自分との闘いであれば、勝っても負けても、やる気を損ねることはないでしょうから。