円の価値に直接かかわる為替相場の変動は、企業だけでなく投資家にとっては、とても重要な情報です。
円高が経済に与える影響は、海外に輸出している自動車会社を例に取って考えてみると良くわかります。
ある自動車会社が、日本国内で生産した車を1台1万ドルでアメリカに輸出していたとします。円相場が1ドル=100円の場合だと、売り上げとして100万円が会社に入ります。しかし、1ドル=70円と円高になると、その売り上げは70万円となってしまい、30万円もの差が発生します。
1台当たりの生産コストが80万円だとした場合、前者では20万円の利益が発生しますが、後者の円高の場合は、10万円の損失が発生します。このように、輸出産業にとって、「円高」は大ダメージを受けることになります。
その一方で、円高だと、日本に輸入されるモノの値段が安くなりますので、日本の企業は生産コストを削減して価格を下げて、安い輸入品に対抗しなければ売れなくなります。
それでも、業績が落ち込むと、社員の給料やボーナスを削減し、場合によってはリストラを余儀なくされ、最悪の場合は倒産という事態に陥ります。
家庭では給料が減り、リストラで失業ともなると、家計は圧され、お金を使わなくなって消費が減少しますから、これが、他の産業へも飛び火して不況になり、負のスパイラルが続くことになります。
円高は、輸入品の価格を下げるため消費者にとっては喜ばしいことなのですが、日本経済全体のことを考えると、決して歓迎すべきことではないのです。
日本は輸出立国ですから、円高よりも円安のほうが好ましいといえるでしょう。このように、為替の相場(円相場)の変動は、企業の売り上げや損益に直接大きな影響を与えることになりますから、為替相場と経済は密接に関係しているのです。
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