作 弟子吉次郎
サンライズ出版


まず最初に作者である吉次郎さんの吉は下の棒が長いのに変換がうまくできませんでした。申し訳ありません。

湖猫、波を奔るで『うみねこ、なみをはしる』と読みます。
地元の本屋さんの郷土本コーナーで初めて見かけた時はそのタイトルのインパクトに興味を惹かれました。
一体どんな内容なのか。図書館から借りるという形で手に取ってみました。
サンライズ出版というのはご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、滋賀県彦根にある小さな出版社です。数年前に滋賀県内の平和堂(スーパーのようなものです)の本屋さんにここぞとばかりに並んだ、ひこねのにゃんこの絵本(ひこねのよいにゃんことひこにゃんの話はここでは省略します)もこのサンライズ出版だったと思います。主に滋賀県に関連する歴史や郷土の出版社になります。
そのサンライズ出版さんが滋賀に関する物語を出されているのも興味のひとつでした。

さてその内容ですが、うっかり見落としてしまいましたが章ごと扉絵に年数が書いてありました。プロローグにはなかった為に除くとして一番最初の章は1980年頃。まだ私は生まれてません(笑)
その当時の大津に住む女の子と猫から始まります。
大津で笛を吹く少女、彦根で穴を掘る少年、湖北の丸太船船頭とその娘。
時代が流れ、場面が変わって様々な人物にスポットライトが当てられ、共通するように話題になる竹生島の猫。
それらが最終章では意外な展開につながります。

私も滋賀在住ではありますが、両親が他県出身で私が幼少時に滋賀にきた為、滋賀でのわからないことは多々あります。たとえば作中の方言。彦根や大津の話し言葉はわかっても湖北の年配の方の言葉がよくわからなかったりしました。話し言葉で親近感わく場面と不思議に感じる言葉使い等。
竹生島にあたっては実は小学生の時にフローティングスクール(滋賀県内の小学生が琵琶湖で一泊又は日帰りで船上学習する行事)で行ったきりでした。当時に記憶を元に読み進めるも、展開に意外な気持ちでした。
確かに地すべり等で琵琶湖に沈んだ村があるのは本で見かけたことがありますが、まさかこんなにも大胆な展開で竹生島、琵琶湖に注意喚起するような物語だったとは。フィクションといえど、驚かされました。
是非滋賀県の方も、県外の方にも一度読んで頂き、一度竹生島に足を運んで頂きたいなと思いました。
私も近い内に一度行ってみようと思います。