作 冲方丁
角川文庫


9月に映画が決まっている天地明察。
実は原作の前に、コミックの方を読んでおりまして(天地明察コミックは現在2巻まで発売中)そちらを先に読んで面白いなーと思い、原作である小説に手を出してみました。

今回この冲方先生の小説は初めてなのですが、なんと文章の爽やかなこと。元がライトノベルの方なだけあって、決して重苦しくなく、またライトノベルに見られがちなくどさもない(個人的な見解として)、さらさらと読み進められることが出来ました。
最近読んだ中では、山口幸三郎先生の『探偵・日暮旅人シリーズ』にも似た軽快さと、拝読後の清涼感です。主人公の人柄や、登場人物達の朗らかさはこちらの方が和みますが(笑)

ただ、主人公の渋川晴海の若い頃に重点を置いている分、後半は読んでる側としてペースが早いように感じました。見送る側であった晴海の心境等をもう少し詳しくあって欲しいと思う反面、人に人生を納めるにはペース配分も必要なのかな、と思いました。まあ何を偉そうに、すみません。
そんな理由もあり、文庫の上巻の方が好きです。晴海の苦労だとか失敗だと学ぶ喜びとかが溢れていて、下巻では政治的なあれこれが含んできます。
また、家光後の時代が少し苦手な自分としては大変わかりやすくてよかったです。

あとこれは本当に超個人的なんですが、この天地明察(文庫)の後に解説ない方がよかったです。解説者の養老孟司先生の文章はこの解説が初めてでしたが、解説としての文章の割には幾分か我が前に出過ぎているように感じました。それが読んだ後の清涼感を邪魔しているように思います。

主人公への愛着が深まる話であり、この話がどのように映画化されるのか。
晴海役が岡田君(V6)な辺りすでにちょっとイケメンすぎない…?(笑)とか思ってしまいましたが、文章ではちょっと想像が難しかった問題や天文的な場面がわかりやすくなることを期待しています。