ある王が治める国のある村に陰陽師の男の子がいました。
まだ子供だったけど、たくさんの術でアイテムを作り、国中の皆の生活を豊かにしてくれました。
村の人達は殆どが領主であるお父さんの所で働いていて、お父さんにはだれも逆らえませんでした。
それに国王様からも領主の言う事を聞く様に言われていたのです。
お給料も良かったし、国々のあちらこちらに出る妖怪などから陰陽師の力に幾度も助けられた人たちは、豊かな町とその力を誇りに思っていた程でした。
そんなある日、大きな地震が起きたのです。
大地震の中、陰陽師の男の子はうっかり実験用の壷を壊して割ってしまいました。
中には目に見えない瘴気がいっぱい詰まっていたのですが、それが全て逃げ出してしまったのです。
男の子の家とその周辺はお化け屋敷のようになってしまいました。
特に濃い瘴気が集まってしまったのです。
残りの瘴気は空中に飛び散ってしまいあっというまに見えなくなってしまいました。
その国には瘴気が形を作ったたくさんの妖怪が住んでいて時々人を脅かしています。
傷つけられてしまう人もいます。
時には殺されてしまう人もいます。
瘴気に憑りつかれた人間が妖怪になってしまうことさえあると言われています。
また子供も大好きで無垢な子供が憑りつかれてしまうことがよくあったのです。
だから人々は瘴気の濃くなったその村を妖怪の村とさげすむようになりました。
近くに住んでいた人達は遠くに逃げたりもしました。
他所の国の人も逃げ出しました。
瘴気はいわば呪いのようなもの。
上手く使えば人の役にたちますが集まったそれはいつか妖怪になることが解っています。
しかし瘴気は目に見えず、いつ妖怪になるかも解らないのです。
そしていつ、どんな妖怪が生まれ、人にどんな風に牙をむけるかも解りません。
瘴気について人間が知っていることはほんの僅かでした
そして瘴気を片づけられるのは陰陽師だけです。
普通の人間には妖怪を退治することはできません。
できるのは空気を清めたり、家の中を明るくしたり、お守りを身に付けたりする程度。
領主は国王に怒られて領地の管理と保身に手いっぱいで一番必要な陰陽師を村に差し向けてくれない。
王は他国にそのことを知られないようにとその場を取り繕うばかりでした。
村人の事よりも他国から怒られることの方が心配であったのです
だから、逃げ出せない村人達は、いつものように暮らすことにしました。
瘴気を遠ざける努力を繰り返しながら。
ひょっとしたら、明日妖怪が村の中に生まれて人を傷つけるかもしれない。
もしかしたら自分が妖怪になってしまうかもしれない。そんな恐怖が人々を襲います。
けれど、それがいつかも解らないのなら今を大事に生きるしかないのだと解ったから。
今の福島はこんな感じでしょうか?