作 俵万智
河出文庫


以前伯母と本の話題になった時に伯母が愛読していたという本を「今度読んでみますねー」と言いつつ忘れていたら、有り難いことに送って下さったので読破しました。

普段はもっぱら小説ばかり読んでいる自分にとって、俵万智さんの短歌は新鮮でした。
これまでの短歌のイメージといえばどうしても古く、暗いものだったのですが、この本を読んでその爽やかさに驚きました。
『サラダ記念日』が出版されてのは1987年ともう20年以上も前。それなのに今にも通じる、この若く、さばさばとしている恋愛の短歌。決して後味が悪くならない不思議さ。
季節の単語や、口語でのやわらかさ。
堅苦しくないので、一度短歌を読んで容易にその風景が思い浮かべることが出来ます。
これを当時24歳という若さに書かれたのですから、すごいとしか言いようがないです。

『白猫と目が合っている路地の裏 時の割れ目と思う下町』

『ふうわりと並んで歩く春の道誰からも見られたいような午後』

状況が脳裏に浮かぶような、何気ない日常。それでいて微笑ましい短歌。好きだと思ったものを一部抜粋させて頂きました。

風景とその意味を考えるのになんだか楽しくなってました。描写も成程と思うものばかりで、とても勉強になりました。

普段読まないジャンルもこれから読んでみようかなと思うような一冊でした。