堺雅人さん主演。
史料が実在する、加賀藩算用者の猪山直之の一生を描いたもの。


算用者、とは藩内の財務の計算する人の中でも秀でている者。江戸時代には電卓なんてものはなく全てそろばんで、部屋に集まってぱちぱちしています。毎朝登城する様子はマジサラリーマン(笑)
堺さん演じる直之は、算用者であり、物事に対して誠実であるが故にひょんなことから隠し米の存在に気付きます。城では余計なことするなと叩かれ、平穏だったはずの家内では収入の二倍の借金が発覚。
剣の腕もなくそろばんと筆が御家芸であるとし、直之は武家の面目を捨て、家財の不要品を売り払い、厳しい節約で立て直そうとします。
息子の祝い事にも常ならば鯛を膳に出すところを、妻のお駒(仲間由紀恵)の絵の鯛で済ませるという苦肉の策。
皆が若干引き気味で静まる席で、一人盛り上げてくれた息子、直吉の「鯛じゃ鯛じゃ!」に翔の涙腺は第一波崩壊しました(笑)

成長した息子に、静かながらも徹底したそろばんと筆で金銭感覚を教え込み、四文の下りで第ニ波崩壊ですよおおお!!!
父上、おばあさまと続き、母上の最期にももう……。

息子の反抗とか、葬儀の夜でさえもとか、事あるごとに涙腺崩壊の危機。

成長して家庭をもった息子、が幕末の波にもまれ、出会った大村益次郎の言葉よ…!
『武器を持ち戦う者よりも、算用者が必要とされる。兵の具足や飯を算用し準備出来る者は兵一万に匹敵する(うろ覚え)』
ちょおおおお!ってなったよね!三成とか小西のことだよ!戦うだけじゃないのよ!!ってめっちゃテンション上がりました(笑)

あとラスト、直之が亡くなり、葬儀の夜にそろばんを弾く背中をあんなにも複雑な気持ちで見ていた息子自身が、同じようにそろばん弾いていて、あああああああ!!ってなりました!!
さらに家計簿(入払票)が息子の時代過ぎてからも続いたとか…もう…。

淡々とした描写ながらも、静の中に感じとるものがたくさんあって、見終わった後も余韻に浸りたくなるような、映画でした。
久しぶりに一般割引なしの料金でも満足しました!!


2010.12.18