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お返事

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リク品@実写 オプ+ビー+サム

 派手なファイアパターンが描かれたトレーラートラックの運転席に、リクルートスーツを着込んだ青年が1人。一見不似合いな組み合わせだが、見る者が見れば、直ぐその理由に合点がいっただろう

「サム…急な呼び出しを許して欲しい、事態は急を要するのだ」

 さようなら僕の就職…面接会場に向かう途中でオプティマスと合流し(もとい拉致され)たサムは心の中で天を仰ぎ、深いため息を飲み込んだ。

「かまわないさ、それで?どうしたの」

 元より、彼自ら僕の所に飛んできた位なのだ。面接よりよっぽど重大な事件があったのだろう。気を取り直してシートに深く腰掛け、親友にするのと同じように軽くハンドルを撫でる。
 しかし、彼の口から飛び出したのは、重大と言うよりは、突飛な事件だった。

「家出!?ビーが?どういう事なの、何で?誰のせいなのさ!」
「…恐らく、私が原因だ」

 事の発端は18時間前、NESTの基地の非常階段(人間用)からオプティマスが落下した所から始まる。
 なんでそんな場所から…とかわざわざ狭くて歩き辛い所に行かなくても…とか、またなの、とかまあ色々言いたい事はあるが、彼が高い場所から落ちるのは、前世からの宿命みたいなものなので、今更誰も気にしない、そもそも崖なら兎も角、非常階段から落っこちたくらいで怪我をするほど彼はヤワじゃない。

 問題は落下地点だ。

 人通りも少なく、誰の邪魔にもならないそこには、ビーの花壇があった。花壇とは言っても、実際にはプランターを3つ並べただけのささやかな規模ではあったが。
 軍事基地に花なんてなあ…と言っていたNESTの隊員達も、触角をぴこぴこ動かしながら、楽しそうに花を世話するビーに、何だかんだで癒されていたらしい。のだが

「…そりゃビーも怒るよ」

 重さ数トンの金属生命体に押しつぶされてしまった花を思えば、友の気持ちは察するに余りある。

「…何とか彼に謝罪と贖罪の意を伝えたいのだが、基地を飛び出したっきり、全く連絡が取れないのだ」


* * *



「…ってさ、基地の皆も心配してるし、オプティマスも反省してるみたいだから、こじれる前に連絡した方が良いと思うよ」

 家に帰ってから直ぐ、ママに電話を(ついでにカマ)掛けた。

「あいつ、迷惑かけてない?」

 そしたらドンピシャ「あら、バンブルビーならちゃんとイイコにしてるわよ」

 って。
 居場所が分かった所でオプティマスに連絡をしてもいいけど、その前にちゃんとフォローもしておかなきゃね、バンブルビーの奴、誰かさんに似たのか普段は穏やかな癖に、一度拗ねるとなかなか機嫌を直してくれないから

 携帯を耳に当てたまま、なるべく気長に親友の返事を待つ。15秒ほどしてようやく、ラジオ音声での返事が返って来た。

「『わかっているさ』『あの子に悪気なんて無いのよ』『だが私にとって重要な物だ』」

 僕に対してまでラジオの声となると、今回は相当へそを曲げているらしい。

「怒るのはわかるよ。僕のパパやママもそうだったから、でも怒っても花は戻らない。それは君も分かってるだろ?」

 再びの沈黙、そしてキュルキュルという駆動音とため息にも似た長い排気音。更に少しして、携帯から流れて来たのは、季節外れと言うか…少しばかり気が早いクリスマスソング

「『ポインセチア』『ママにもらったの!』」

 ポインセチアと言えば…ママが今年は自分で育ててクリスマスに飾るのよ!って春先に種を植え張り切っていた。ビーが株を分けてもらっていたのが確か…7月頃、それから地道に育てていたのだろう

「『今回は一味違うぜ!』『僕がサンタの役さ!』」
「あれをプレゼントにするつもりだったのかい?」

 今度は直ぐに肯定の返事が返って来た。それと少し悲しい旋律も一緒に

 …そうか、ビーは最初から怒ってなんかいなかったんだ。

 大切な誰かへのプレゼントを、諦められなかっただけ。

 そして、君の大切な"誰か"は

「オプティマスへの、プレゼントだったんだね」
「『その通り』『とっておきだ!』『でも駄目だ!このままじゃ間に合わない』」

 確かに、今から種を植えても日照不足や冷温で育つ前に枯れてしまうか、運よく育ったとしてもその頃にはクリスマスが過ぎてしまう。だから、すぐさまパパとママの所に向かったのか。

「それで、株は分けて貰えた?」
「『ママの』『助力に感謝します』『すごいわ!』『どれも』『元気一杯!』」

 ママが丹精込めて育てた株だ。来るべき冬に向けて、未だ青い葉を力強く茂らせているのだろう。先までの陰鬱さが嘘のような明るい返事に、胸を撫で下ろすと同時に、揃いも揃って人騒がせな奴らだなぁ…と頭が痛くなる。

「今度は基地じゃなく、家で育てなよ」

 そうすれば潰される心配も無いし、何よりプレゼントってのは、開けた時のお楽しみっていうのがお決まりだ。基地にはまた別の花を持って行けばいい。恐らく他のオートボット達は、プランターの中身まで気を留めちゃいないだろうから。
 そう提案すると、携帯の向こう側で親友の笑う気配がした。

「サム」

 この声は、ラジオじゃない。バンブルビー自身の声。

「オイラが基地に戻った後の言い訳、一緒に考えてよ。じゃないとオプティマス、オイラが怒ってるって勘違いしたままだろうからさ」

ょっと傍迷惑なのは御

AHM絵 ドリフト

初代 アイラチェ











 ブラックアウトしていた意識が浮上し、体内でヴン と短い鼓動がひとつ鳴る。
時刻を確認すれば、墜落から既に一時間あまりが過ぎていて、よくもまあ生きていれたものだと、自分自身の悪運の強さに呆れてしまった。
 よろめきながら立ち上がり、目を見開いて、辺りの状況を確認しようとするが、瓦礫や生い茂る樹木、もうもうと立ち込める煙で視界が遮られ、視覚をサーモセンサーに切り替えるが、先ほどまで炎が荒れ狂い、今もあちこちで残り火がくすぶる状況では、余り役には立たなかった。

 あたまが、クラクラする。
 まるでひどい地震がきたみたいに、踏み締める地面が揺れて、真っ直ぐ立っていられない、しかし暫くたってから、揺れているのは地面ではなく、自分の方らしいと気づいた。
 衝突の衝撃でバランサーがイカレたらしく、平衡感覚が狂って、まともに歩くことすらままならない

「…厄介な」

 今日中に帰還地点に到着するはずだったのに、こんな状態では何日かかる事やら、そもそも生きて帰る事が出来るかも怪しいものだ。我知らず嘆息し、基地に残してきた恋人を胸に思い描いた。

「…ラチェット」

 かつて、自分が大破寸前になった時。ラチェットは眠れなくなったらしい、勿論、機械生命体である自分達は、メンテナンスさえ怠らなければ眠る必要はない、極端な話、生まれてから死ぬまで、一度も眠らない奴だっているのだから

 だけど"眠らない"と"眠れない"では、大きな差があるのだ

 夜のとばりがおり
 誰もが寝静まる中
 ひたひたと忍び寄る不安
 眠りを要求する体に反して、研ぎ澄まされていく神経

  もう、二度と目覚めないかもしれない

 それらの想像から逃れたくて目をつむる。しかしまぶたの裏では、自分の大破した姿がゆっくりと影を結び
 ラチェット、 ラチェットと煩く呼びかけるのだ
 跳ね上がる鼓動
 不安はじわじわと恐怖に変わり、さりとて誰かに縋る事も出来ずに
 長い夜をじっと
 ただひたすら過ぎ去るのを待つしかなかった。と





 そうだ

 這ってでも帰らなくては

 でないと
 あいつが泣く


 顔を上げ、よろめく足を叱咤して、俺はこの場を立ち後にした。








AHM ドリフト(途中)

資料がほとんど無いので、だいたいねつ造と雰囲気で描いてます

…作画ミスって便利な言葉ですね
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