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M伝 コンジェト

 今日はなんだか、朝から司令官の様子がおかしかった。

 朝一のミーティングはずーっと上の空だったし、午前中も執務机に向かったは良いものの、しきりに窓の外や周りを見てはどこかそわそわしていたり、逆にホットロッドが声を掛けても気付かないほど思考に没頭していたり…因みに全く書類がはかどった様子はない。
 だからと言って別に、熱が出てるとか吐き気がするとか、体調が悪いわけじゃないみたいだけど(ラチェットの見立てだ。間違い無い)(因みに司令官がぼーっとしてる間に診察した)何ぞ悩みを抱え込んでいるのでは、とやっぱり少し心配だった。
 でも、いやだからと言うべきか。昼休みになって司令官が「少し出掛けないか?」と俺に声を掛けて来たときには、みんな安堵するやら苦笑いを浮かべるやら。
 つまりは司令官だって、どうも仕事をする気になれなくて、のんびりしたり遊びたい日もあるって事だ。でも適度にサボるなんて器用なマネが、あの生真面目なひとに出来る筈もなく、あんな風になっていたのだろう。というのが俺を始めとする皆の見解だ。

「勿論、貴方の為なら喜んで。」
「ありがとう」

 少し照れくさそうに笑う司令官に、お礼を言われる程じゃありませんよ。と笑い返し、チラとラチェットに視線で問えば、「今日は昼休みを過ぎても構わない」と通信が入って来た。おや珍しいと首を傾げると、「我々や子供達ではなく、お前さんに声を掛けたという事は、少し遠出をしたいんだろう」と返され、なる程なー。なんて感心してしまった。

「じゃ、どこにお連れしましょうか?」

 いやっほう!デートだデート!!と小躍りする内心を隠し(ラチェットが呆れ顔で俺を見てたから、もしかしたら上手く隠せてなかったのかもしれない)(まあ、そんな事はどうでもいいのだが)、優雅に一礼して司令官の手を取った。


* * *



「気持ちいーですねー」
「そうだな」

 頭上には白く輝く太陽と蒼く染まった天穹、眼下には雲の海が何処までも続き、時たま真綿を千切ったようにぽっかり穴が開いている。その度ひょいと穴を覗き込めば、人間達の街や豊かな森が見え、更にそれをも過ぎれば、空と見紛うまでに青い海が視界に飛び込んで来た。

「偶には空も良いでしょう!」

 すうと大きく息を吸い込み(そんな必要は無いのだけど)大きな声で呼び掛ければ、俺とリンクアップした司令官は楽しげに頷く。
 いや、確かに楽しんでくれている。
 だって今俺と司令官は一つになっているから、司令官が今、どんな風に感じてるか全部伝わってくるんだ。
 己の脚で地を駆けるのとは、全く趣を異にした疾走感、絡み付く大気を翼で切り、狭霧となって頬を濡らす雲を吹き払う爽快感は、翼を持つ者達の特権だ。

「ちょいとアクロバット飛行でもしてみませんか?」
「ああ、構わないよ」

 身体の制御が司令官から俺に移り変わるとほぼ同時、背中のロケットブースターに目一杯エネルギーを送り込み、思いっきり加速する。

「わわっ!」
「目ぇ回さないで下さいよー」

 一応一声掛けてから、右に急旋回。いや、V字を描いたそれは、最早跳ね返ったと言う方が正しく、更に俺はコマのようにスピンしながら機体を急降下させた。
 回る視界の中で、空の蒼と海の青が混じり合い、あたかも自分達を取り巻くように迫って来る。

「か、海面にぶつかるぞ!?」
「だぁいじょーぶですって!」

 海面に触れる寸前、逆噴射と方向転換を同時にかけた。
 瞬間、叩き付ける風圧で真っ白な水飛沫が花を散らしたように舞い散り、陽光を受け七色に煌めくそれらに、司令官がほうと感嘆の息をもらす。

「…虹か」
「綺麗でしょう」

 ジェットファイアーを 誘って良かったな。そんな心の呟きまでが伝わって来て、俺の方も嬉しくなった。

「で、司令官。そろそろ本題に移りませんか?」
「え?あ、うん。…気付いてたのか」

 少し意外だったのか、それともとぼけているだけか(いやこの人の性格上それは無いな、きっと単なる天然だ)僅かにオプティックを見開く
 やや大袈裟に肩を竦め、リンクアップまでして気付かない訳ないでしょーが。と言えばそれもそうか。って、しかしそれでも、俺に伝わってきたのは、話したい、聞いて欲しい、でも少し言い辛い、という曖昧な所だけで、いったい何をためらっているのか肝心の本題が見えて来なかった。
 だからと言って、勝手に相手の中を盗み見るような無粋な真似は、俺の主義に合わない。

「…少し移動しようか」
「はい、わかりました」

 ところ変わってここは、先まで自分達が飛び回っていた場所からほど近い、海岸沿いの高台にある、公園を兼ねた駐車場。
 しかしながら、夏の涼を求める観光客が訪れるような砂浜(ビーチ)も無ければ、多くの物品が行き交う港からも遠いここは、全くと言って良い程人気が無く、敷地の外れには、小さく古ぼけた教会(もしかしたら頭に"元"がつくかもしれない)がぽつんと立っているだけの場所。
 果たしてここに、わざわざ公園やら駐車場を作る意味があったのだろうか、まあ、だからこそトランスフォーマーの俺達が降り立っても騒ぎにならずに済むのだけど

 などと思考を逸らしながら司令官の出方を待っているのだが、司令官はリンクアップを解除してからというもの、どこかそわそわしながらも口を開く事はせず、しかし俺に話し掛けられるのを待っている訳でもないような、いまいち煮え切らない微妙な態度のまま時間だけが流れていた。
 そんな司令官をじれったく思い、マスクの中で僅かに嘆息した瞬間、あまり良くない想像がブレインを掠める。
 出掛ける前は単なる杞憂かと安堵したが、やはり司令官は、重大な懸念材料を抱え込んでいるのではないだろうか。
 元々この人は、悩みや苦しみを一人で抱え易いタチだ。だが周りにはけしてそれを悟らせず、微笑み、皆を導き、常に前を向いて凛然と立っていた。
 なればこそかつての俺は、この人に憧れ、俺がその背中を支えてやりたいと願い、追いかけ、努力して、やっと副司令官として隣に並ぶことを許されるようになったのだから。

「…そんなに悩む必要はありませんよ」
「え?」

 今の俺は、かつてのように憧憬の眼差しを向け、後ろをついて行くだけの若造じゃない、副官のラチェット同様、この人の手となり足となり、支えるのが副司令官としての俺の役目。

「この先、どんな事が待っていても、俺は貴方と共にいますから」

 限りなく真剣に、でもわざと気障な口調で、ついでに人間の騎士が姫君にでもするように、ひょいとその手をとって片膝をつき優雅に口付ける。
 まあ実際にはマスクと手の甲が、カツンと硬質な音を立てたに過ぎないのだけど、司令官の強張っていた表情をほぐすには、十二分に余りある効果があった。

「…君には適わないな」

 跪いたまま顔をあげれば、そこには苦笑と照れ笑いが半々といった感の顔があり、もう先までの緊張は含まれていない。
 いつもの穏やかで、凛とした、優しい司令官の顔だ。

「ジェットファイアー」
「はい」
「君に伝えたい事と、渡したい物があるんだ」
「…はい!」

 くいと手を引かれるままに立ち上がり、しばしの間視線を合わせる。その瞳には、思わず息をのむ程真摯な光が宿っていて、無意識のうちに俺は背筋を伸ばしていた。 握った手はそのままに、司令官はおもむろに何かを格納スペースから取り出す。それは小さな小さな箱のようで、司令官はそれをコロンと俺の手の平に乗せた。

「開けても良いですか?」
「ああ」

 小箱を開けると、そこには人間サイズとおぼしき指輪が鎮座していた。
 それはとてもシンプルなデザインで、中央の台座に美しく研磨された鉱物がはめ込まれている以外は、装飾らしい装飾は無く、派手でも地味でもない、とても落ち着いた雰囲気の指輪である。

「いいデザインですね。シックで、こういうのは毎日身に着けても飽きが来ない」

 恋人からの突然の贈り物に、素直に嬉しいと思った。慎重に力を加減し、そろりとそれを取り出す。よくよく見ると、内側に何やら意匠らしき文字が刻まれており、もっとよく見ようと顔を近付けたら、司令官が指輪を持つ指先ごと、俺の手を包み込む。コキ、と首を傾げ、もう一度目を合わせた時、司令官がフェイスマスクを解除して、ゆっくりと口を開く

「ジェットファイアー、私と…結婚してくれないか」
「え…?」

 瞬間、司令官の言葉がぐるぐるとブレインの中を駆け巡り、容量を超えて数秒間フリーズしてしまった。


 司令官と、結婚。

 え?俺が?結婚、結婚…。



 じゃあ
 じゃあこれって、これって…!




「プロポーズ…」
「君の答えを聞かせて欲しい」


 ああ、この暖かさをどうやって喩えればいいのだろう。胸の内に去来する感情に、上手く名前を付けられずに持て余し、ついには留めておけずにこぼしてしまいそうになる。

「……ぁ、の」

 いま自分が、泣いているのか笑っているのかすら曖昧で、なんとか俺の気持ちを伝えなきゃと絞り出した声は、いつもの俺と全然違う、小さくて情けない震え声だった。

「…お、れ…俺、俺」

 何度ブレインを検索しても、今の気持ちに相応しい言葉なんか出て来ない。

「凄く、嬉しい…です」

 足りない、己のスパークを震わせる。この感情を、もっとちゃんと伝えたいのに、なんて言えば良いのかわからない

「…了と受け取って構わないかな」
「はい、はいっ…!この指輪も、そして貴方も、ずっとずっと大事にします!」

 思いっきり頷く俺を見て、司令官がどこかほっとした。安堵に近い笑顔を見せた。
「…この星では、結婚相手に贈る。もしくは贈られた指輪は左手の4番目の指に着けるらしいんだ。それは、この指から特別の静脈が心臓…スパークに直接繋がっていると信じられていたからだそうだよ」

 きゅ、と少しだけ手を握る力が強くなり、俺は、初めてこの人と握手を交わした日の事を思い出した。肝心の会話は、これからよろしく。なんてお決まりの挨拶だけだったけど、その日の俺は浮かれまくり、今日が生きてて一番幸せな日だ!!などと周囲に触れ回ったし、実際にそうだと心の底から信じていた。
 ああ、懐かしいな

 そう思うと同時、そんな言葉を紡ぐに充分な時間を2人で過ごして来たのだと不意に気付き、優しい痛みに胸が疼く。
 それなら大分経って、この人と恋人同士になった時や、初めてキスをした時も、今日が一番幸せだと、そう思った。

 でも、そうじゃなかった。

 だって、今日に勝る幸せなど、俺はついぞ感じた事が無い。

「俺、幸せです」
「…ありがとうジェットファイアー、君がそう言ってくれるなら…私も、とても幸せだ」

 フェイスマスクを解除したその口元が、柔らかく弧を描く。その愛しい笑顔が、これからも共に在る事と、この人が他の誰でもなく、自分を必要とし、選んでくれた事を運命だか神(プライマス)だか知らないが兎に角感謝した。

「司令か…いえコンボイ。俺は、貴方を一番とかじゃない、唯一として愛してる」
「ジェットファイアー…私も、君を愛しているよ」






 指輪の内側に刻まれていたのは、2人の名前だった。
.

マックにて

自分の前の席に座った男の人がケモミミつけてた。

…なにあれへんなの

ここはイベント会場でも、オタク御用達の店が近くにあるわけでもないのに

工作したよ

久しぶりに工作してみた(*^o^*)
と言ってもひたすら工作用ボンドでペタペタして絵の具で色塗っただけのお手軽仕様ですが。

作るのは楽しかったけど、素材のヒトデから強烈な磯の匂いが漂って来て、何回かうぇっ…てなりそうになった。
ヒトデの包装開けた瞬間

Σ(゜□゜)!!!!!!


(;`皿`)ちょ、うわ


(っ>д<)臭っ!磯臭っ!?

洗って乾かしてファブリーズしてもまだ匂いがするよ…(ρ_;)
最初よりは大分マシになったけど
ううむ、やはりニスとか塗るべきなのだろうか。


東照権現

これかスタッフルームで夕ご飯です。
おやつは権現ロールケーキ、静岡県産抹茶を使用してるらしい。
本当は筆頭メロンパンが欲しかったんですが、そこだけ既に売り切れてました。やっぱ仙台だからみんな筆頭好きなのね。

ではいただきまーす(*^o^*)

M伝 スタアレ

「あの?…スタースクリーム…?」

(どうしたのかしら…)

 最初に「アレクサ」と彼女の名を呼んでから既に10分、酷く緊張し、まるで何かに追い詰められたような、切羽詰まった顔をするスタースクリームに、アレクサもまた緊張し、憂いの色を隠せない。

 状況を整理しよう

 アレクサが見るかぎり、スタースクリームは常と何ら変わりない様子で午前の仕事をそつなくこなしていた。
 そして昼休みになる少し前、ラッドやアーシーと一緒に食堂に行こうと歩いていたら、突然スタースクリームに呼び出され、少々首を傾げるもアレクサはアーシーをラッドに預け、スタースクリームの後について行って今に至る。

 …回想はあまり状況の改善には役立たなかった。

 どうしたものかとアレクサが頭を悩ませていると、目の前のスタースクリームが意を決したように拳をぎゅっと握り、胸のキャノピーから何か四角い小箱を取り出す。 何事かと彼女がぱちぱちと目をしばたたかせ、先まで以上にしかとスタースクリームを見上げたその鼻先に、ばっ!とそれを突き付けた。
 思いも掛けぬスタースクリームの行動に面食らったアレクサは、しばしの間きょとんと小箱を眺めていたが、ハッと我に帰ると同時、ちらりと彼の表情を伺う。
 だがスタースクリームはいつもと変わらぬ仏頂面で、その意図が読めず内心首を傾げるが、はたとある可能性に行き当たり、その口を開く。

「私に、これを…?」

 スタースクリームは小箱を更にアレクサに突き出し、無言で肯定を示す。
 なんと返せばいいのか解らず、アレクサも無言で小箱を受け取って、開けていい?と問えばやはり無言で、今度は首を縦にふる事で肯定を示した。

(…せめてなにか喋ってくれないかしら)

戸惑いながらも、小綺麗にラッピングが施された小箱のリボンを解き、箱を開けると

「あ…」

 そこにはハイヒールの形をした、小さなガラスチャームがキラリと光っていた。
 恐る恐る取り出してみると、それは繊細なシルバーのチェーンに通され、シンプルだがとても可愛らしいペンダントである事がわかった。

「わあ…キレイ」

 太陽の光を反射させながら煌めくそれは、アクセサリー類に疎い(だってまだまだカタログや、ショーウインドウ越しにしか眺める位しか機会が無い)アレクサの目にも、充分キレイだと写った。

「アレクサ…」
「え?」
「お、お前が映画…その、マイクロン達と一緒に見てた、だから」




映画?




 もしかして、一週間前にアーシー達と見た映画の事だろうか。
 しかしあの日、スタースクリームは5分もしないうちに訓練場に行ってしまったから、映画の内容なんてこれっぽっちも興味が無いと思っていたのに

 でも

 だとしたら


 全ての疑問が氷解すると同時
 嬉しいような恥ずかしいような、むずがゆい感情が湧き上がってきて、アレクサの頬が熱くなる。

「あのね…スタースクリーム。ありがとう…私…とても嬉しいわ」

 頬が緩むのを止められそうにない

「アレ…アレクサっ!!」
「きゃっ!な、なあに?」

 突然大きな声を出したスタースクリームに、アレクサは思わず身を竦ませる。

 しかし

「今回は見つからなかったんだが…」

 喋り出した彼の表情が

「いつか…」

 あまりにも真剣なのと

「いつかお前に」

 まるでのぼせたように赤面していたから

「本物を渡してやるから…それまで無くさず持っていろ」


 アレクサは笑って静かに頷いた。





 12時と昼休みを告げる基地のアラーム


 でも

 まだ魔法はとけない




-END-

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