スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

↓と以下略 アストロトレイン+スカイワープ

丸い窓と水面越しに差し込む淡い月の光が、今が夜半過ぎだと教えてくれる。
見慣れぬ天井
嗅ぎなれぬ煙草の匂い
そして見慣れぬ男の背中

…あれぇ…俺何してんだろ。

ふかふかの布団の中で、ぼんやりと辺りを見回す。
男は視線に気付いたのか、ゆっくりと振り返って視線を合わせた。

「はぁ…やっと気付いたか」

男は眉間に皺を寄せながらため息と煙をを吐き、手に持ったタバコを再び唇に挟むと、じっとこちらを見やった。。
その仕草が、スタースクリームやサンダークラッカーとは違う男らしさ…どっちかっつーと色気とか艶とか言う類のふいんきを醸し出し、霞がかった頭で意外とかっこいいなぁー…、などと考えていると

「オイお前、まだ酔っ払ってんのか」

と、不機嫌な声
手に持ったタバコをぐりと押し付けて火を消し、灰皿の脇に寄せると俺の近くに寄り、手のひらを俺の頬につける。
夜気にさらされ、ひやりと冷たい手のひらが気持ち良くて、思わず目を細め頬を緩める。

ぶに

「うぇ?…なに……!!?」

突然頬を軽くつねられ間抜けな声を出してしまう。少し驚きながら男を見上げると、今度はそのままぐいーと頬を横にひっぱられた。そしてぱっと手を離すと

「いつまで寝ぼけてる気だ」
「…ん?…え!!ぁ!!アストロトレイン!?」

これでようやく夢現の状態から脱し、勢い良く上半身を起こす。
が、ぐわん という効果音がぴったりな激しい目眩に襲われ、そのまま掛け布団に突っ伏すように沈没する。

「ぐるぐるするぅ…」

つねられた頬をさすりながらもう一度顔を上げるが、酔いを思い出したせいか視点が定まらず、結果、回る視界を抑えられずに再び沈没

「あんな無茶な飲み方するからだ」
「うっせぇ…」

二日酔いは確実だな、なんて言いながら呆れた様子で背中を撫でるその手は、思いの外優しく、奇妙な安心感に戸惑いを覚えながらも、撫でられるに任せる事にした。

「アンタって意外とやさしー…」
「意外は余計だ」
「ふふふふふー」

* * *


本当に、酔っ払いというものは、どうしてこうもタチが悪いのだろう
先ほどより幾分酔いが醒めたとは言え、まだまだ充分"酔っ払い"である。

「ぎゅーするぞー」
「…はぁ、もうしてるじゃねえか」

しかし俺も迂闊だった。スカイワープがここまで酒癖が悪いとは、しらふだったらこの強面に抱き付き、あまつさえ猫のようにすり寄るなぞ有り得ないだろう

「でもさぁ」
「ん、何だ?」
「アストロトレインはぁ、やぁ〜さしい〜よな」

唐突に何を言うのか

「……そりゃお前よりはな」

まあ、酔っ払いのセリフを真面目に聞くなぞバカのする事だ。適当に受け流しつつ、そろそろ離れろ暑っ苦しいんだよと無理やり引き剥がせば、ひーっでぇ〜〜などと言いながらも、意外にあっさり手を離したのに安堵しつつ、外でも眺めようと背を向けた。

「…やれやれ」

呟き、小さくため息を吐いて窓に顔を寄せれば、八日目の月がたゆたう水面に揺られ、輪郭の不確かな光輪を作り出していた。

「……」

自分はこの惑星の月が好きだ。
一夜たりとも同じ表情の夜は無く、その光も青白く見える事もあれば、明るい黄色や血のような朱に見える事もある。それに冷たく、無機質に照らされた場所は、どこか故郷のセイバートロンと似ている気がするから。

「っておい」
「ん?」

邪魔だ。すんげー邪魔だ。

「野郎に抱きつかれたってしょっぺえだけなんだよ、どけ」
「い〜じゃねえかかまえよ〜」

面倒くせえ、いい加減廊下に叩き出してやろうか、なんて物騒な考えが頭をよぎった時、今までとは違う低いトーンでスカイワープが何事か呟いた。

「あ?」
「だからよぉ今〜帰っても俺ぁ一人なの、部屋に帰る途中に、うっかりでもあいつらがよろしくしてるトコなんざ見たかねぇっつの」
「知るか、だったら仮眠室に行け。もう自分で歩けんだろ」

オラ、立てよ。と首根っこを掴み、再び引き剥がそうとするが、今度はなかなか腕を離さず、無駄に全力で腰にしがみついて来る。つーか腹に頭の角が当たって痛え、畜生が

「オイ、スカイワー…「アストロトレイン。頼む」

「…さみしいのは、嫌なんだ」

表情は、見えない
でも、その声がらしくもなく小さくて、真剣だったもんだから
舌打ち、それと本日で一番深いため息を返事代わりに。俺は、スカイワープの頭に軽く手を添えた。

「…ならさっさと寝ちまえ」
「へへ…さんきゅ」




「…幾らなんでも無防備過ぎだろ」

↓と同じ舞台で スカファスタ

「テメエ…スカイファイヤーの癖にいい度胸だな」
「それじゃあ私は後片付けを手伝ってくるから、きちんと休むんだよ」
「無視すんなぁああっ!!」

バタン

スタースクリームの叫びを無視して閉じられた扉を、猛烈に蹴破りたい衝動にかられる。

「スカイファイヤーのあほんだらー…」

しかし流石に、自室の扉を破壊する訳にはいかず、ひとまずぐっと踏みとどまり、聞こえていないと気付きつつ幼稚な罵倒を投げつけた。

「お前は俺に惚れてんだろーがぁ…酒位付き合えっつーの」

本当は酒などどうでもいい、とにかくスカイファイヤーが側にいれば満足なのだ。しかし自他共に認める意地っ張りが災いして、一度たりとも素直に甘えられた試しが無い、故にどうしても、お互いに恋人…と言うより仲の良い親友、あるいは悪友か、といった風な付き合い方になってしまう

本当はもっと、恋人らしく付き合いたい
スカイファイヤーの肩に頭を預けてみたり、素直に愛してると言ってやりたいのだ。
スカイファイヤーは頬を染め、口ごもりながらも自分に好きだと、愛してると伝えてくれた。かたや自分は、うつむきながら頷く事しか出来なくて…

「だあぁぁぁっ!畜生!!」

(どこの乙女だよマジでキモいわ俺!!)

そんな女々しい考えが嫌で、思わず大声を上げて掻き消そうとするが、そんなだからいつまでたっても進展しないのだと気付き、何だか情けなくなって布団に突っ伏す。

そう、結局は

「俺が臆病なだけか…」

本当に情けない事に、手を繋いで抱き締められるだけで、自分はいっぱいいっぱいになってしまうのだ。
キスの後、好きだと、愛してると、言葉にしようとする度に、急に喉が縮まって、どうしようもなく恥ずかしくなって、ついつい突っぱねた態度をとってしまう

いっそスカイファイヤーの方から進めてくれれば良いのに、そう何度も思ったが、糞真面目なアイツからすれば、突っぱねた態度ばかり取る自分に無理をしてまで、性急に事を進めたりはしたくないのだろう、恋人になって二ヶ月になるがスカイファイヤーはキス以上を求めることは無く、清い交際が続いている。


手を繋いで
抱き締められて
キスをして
愛してると言ってもらう

それは酷く心地よくて

でももう、それだけしゃあ足りない
もっともっと欲しい
その先に進みたい…のに

「ダセェ…」

進めない理由の八割は、自分の態度にある。わかってはいるのだ。

「俺のあほんだらー…」

布団の上で無駄に寝返りを打ちながら、もやもやした心を持て余す。

「………………よし」

ひとしきり悩んだ結果、兎に角何か行動を起こしてみる事にした。
酔っ払っているせいかもしれない、こんな風に、先を考えずに行動するなんて自分らしくない


でも やっぱり好きだから
少し位らしくない事をしてもいい
少し位可愛げがある事をしたい

ラウンジの方をうかがいながら、こっそりと調理場に向かい、冷蔵庫の奥からホールのままのケーキを取り出す。図体がでかいくせに甘党のスカイファイヤーの為に、サンダークラッカーの指導でケーキを作っておいたのだ。

それをやっぱりこっそりと部屋に持ち帰り、スカイファイヤーが自分の様子を確認しに来るのを待つ、メガトロンはレーザーウェーブのトコにいるし、油断ならないサウンドウェーブはサンダークラッカーにかかりっきりだろう、他の面子は用事も無しに俺の部屋に来たりしないし、基本的に脳筋だから捕虜であるスカイファイヤーの事など気にも止めないだろう。

しかし待つというのは、妙にそわそわして落ち着かない、うろうろ歩き回りながら、思考もぐるぐる回る

喜んで くれるだろうか
優しく笑えるだろうか
…愛してると言えるだろうか

わくわくするような、びくびくするような、不安な、楽しみなその時を待つ

そして

ガチャッ

「スタースクリーム、きちんと休んでいるかい…あれ?」

予想に違わず部屋にやって来たスカイファイヤーが、部屋のテーブルのど真ん中にどん、と置かれたケーキに目を丸くし、そして若干首を傾げながら、ケーキと自分を何度も見比べる。

「スタースクリーム、これは…?」
「あ?見りゃわかんだろ、ケーキだ」

だめだ落ち着け自分、可愛げある事するんだろ、優しく笑え、お前の為だって言うんだ。

「スカイ…スカイファイヤー」

猛烈に恥ずかしくなって
頬が熱くなる

「今日、余ったからっ…じゃなくて、その、これ」

声が震える

「お前…が、甘いの好きだから、これっ…だから」

スパークがバクバク鳴って、自分のじゃないみたいだ

「お前、の…お前の為に、作ってやったんだ」
「スタースクリーム…」

スカイファイヤーの頬が徐々に緩んできて、目の前の慈しむように目を細めるにこりと微笑んだ。うわ、やばい、照れる、こういうのは柄じゃないんだよ

あー…どうしろってんだ

「あの、私の為に…ありがとう…その、とても嬉しいよ」

ぐわ、なんでお前はそう素直に言えるんだよ、俺だって

「ス、スカイファイヤー!!」

ちゃんと 言ってやりたい





「好きだっ!!」


譬えこの幸せが硝子細工のようなモノだとしても


永遠に伝えられなくなるその前に

初代 音波サンクラ

さて、今日のトランスフォーマーはデストロンの海底基地から物語を始めよう!

(何ナンダコノ惨状ハ!)

ラウンジ全体に漂う濃密なアルコール臭に、サウンドウェーブは咽せそうになり、思わずマスクの上から口元を押さえる。荒れ放題の室内に可愛いカセットロン達が混じっていない事を確認し、慌ててサンダークラッカーの元へ走った。

「サウンドうぇーぶ…なにガン飛ばしてんだコラァ!!」
「…モウ酒ハ控エロ」

サンダークラッカーの周りには無数のワインの空き瓶、缶チューハイ、ビールの空き缶、酔いつぶれたスタースクリームとスカイワープ、ふと感じた気配に視線を上げれば、酔った挙げ句室内にも関わらず飛び立とうとしたのだろう、そのとんがり頭を天井に突き刺してコーンヘッズ共が気絶していた…コンバットロンの連中なんかは、ビーグルモードに手足の生えた中途半端な格好でギゴガゴゴと床を這っている。キモイ
この状況は言わずもがな、飲み比べという奴が行われたに違いない。
メガトロン様がレーザーウェーブの所に行った途端にこれかこのボケ共、こんな時にサイバトロンが来たら一発じゃないか

下戸のスタースクリームは、渋々参加させられた挙げ句システムダウンし、嬉々として参加したスカイワープは、今やむにゃむにゃと意味不明な寝言を呟いている。サンダークラッカーも…かなりきてるな。

あと途中でギブアップ…もとい傍観を決め込んだらしいアストロトレインとブリッツウィング、それに現在捕虜のスカイファイヤー、って何で普通に宴会に参加させてるんだあのバカスクリームめ

「やれやれ、こうなっちまうとは思ったけどよ…」
「まあそう渋い顔しなさんなって!結構面白かったじゃねえか」

ほろ酔いながらも、ほどほどの所で酒を止めたらしいビルドロン達が、よっこらせと立ち上がり空き瓶空き缶を片付け始め、アストロトレインと素面のスカイファイヤーは酔いつぶれた奴らを介抱する。

「おい、スカイワープ…おい!、ちっ、完全に潰れちまったか…っておい、ブリッツウィング!」

いつの間にかラウンジから出ようとしていた背中に「お前も手伝え!」とスカイワープを肩に担ぎ上ながらアストロトレインが声をかけるが、奴にそんな気はさらさら無いようで「相棒置いて部屋帰る気かよ」という言葉に小さく肩を竦め「運ぶのは輸送参謀サンの仕事だろ」と言い残し、さっさと逃げて行った。「むにゃ…」
「スタースクリーム、水を持って来たけど…大丈夫?飲めるかい?」
「ふわーい…スカイふぁいやー?だー」

一番厄介な馬鹿は捕虜に任せ、自然とサウンドウェーブがサンダークラッカーの相手をする事となる。零れそうになったため息を飲み込んで、取り敢えずサンダークラッカーが手に持ったグラスをもぎ取り、酒類の側から引き離す。

「ぅー!!何すんだよ!!」
「ヨセト言ッテイル」

じたばたと暴れるサンダークラッカーに辟易しながらも、何とかなだめようと奮闘するが、サンダークラッカーは完全に機嫌を損ねてしまったらしく、サウンドウェーブは思わず眉間にシワを寄せる。

「ハァ…」
「おわっ!」

デストロン軍でも随一と呼ばれるブレインが考えた末はじき出した結論は、至って単純だった。

(酔ッ払イトマトモニ会話ハ出来ナイ)

ひょいとサンダークラッカーの膝裏に手をさして、いわゆる姫抱きの要領で抱え上げる。当然サンダークラッカーは嫌がって更に暴れるが、所詮は酔っ払いである。適当にいなして部屋まで運び、無造作にベッドに放り投げた。

「さうんどウェーブぅー」
「コラ、離セ」

ほろ酔い程度ならまだしも、泥酔し、完全なる酔っ払いと化したサンダークラッカーは、(悲しい事に)他の兄弟同様非常にタチが悪い。既に何度か訪れ、勝手知ったるこの部屋の冷蔵庫から、水を取り出そうと背を向いた瞬間、不意に脚部にしがみつかれ動作が不安定になる。

「アンタも飲めよ〜」
「コラ…イイ加減ニシ…ロッ!?」

ぐらりと視界が揺れ、身体が平衡感覚を崩した。その瞬間、自分にしては奇跡的な反応で身をよじり、サンダークラッカーの上に尻餅をつくのを何とか回避する。
しかし、ホッと息をついたのも束の間、床に倒れた自分に、ベッドの上のサンダークラッカーがずるずると滑り落ちて来た。

「酔っ払いの〜…面倒なんざ見れねぇってか?あぁ?」
「…水ヲ持ッテ来ルダケダ」

肘をついてグイと上半身を起こし、ふゎんと漂うアルコールの匂いを軽く頭を振って払う。苛立ち混じりに叱りつけようと顔を向けると、偶然かそれとも意識してか、サンダークラッカーが寸分違わぬタイミングで顔を近付けて来た。

その余りの近さに、柄にも無くギョッとしたサウンドウェーブは、人間がまばたきでもするように、バイザーの奥のアイセンサーをチカチカと明滅させる。

「俺だったらだいじょぶなのに」
「何ガダ」

素っ気ない返事に、以前フレンジーやランブルがしていたのと同じく、唇を尖らせる仕草で不満を示す。

「サウンドウェーブが酔っ払ったら、一晩中でも一日中でも面倒みてやるのに」
「ハ?」

その思いもよらぬ言葉に、我ながら間の抜けた声を出してしまった。
そうして自分が気を弛めた隙に、サンダークラッカーは腕を伸ばして、ぎゅうと、装甲にキズが付くんじゃないか?と、心配してしまう程強く抱き締めて来て

「だからたまには、お前も休めってーの」
そう、拗ねた声色で呟いた。

「…サンダークラッカー」

ああ、そうか
自分は、お前を心配させていたのか

「さうんどウェ、ブ…っ…ん」

フェイスマスクを開き、抑えがたい衝動に駆られるままサンダークラッカーに深く口付けた。不思議な事に、先まで不快だった筈のアルコールの匂いは、毛程も気にならない。驚いて、奥に引っ込もうとする舌を吸い上げ、絡め、歯列を割って互いの口内を確かめあう。

「ぷはっ…」

離れた舌先に一瞬銀糸が架かり、音もなくふつと途切れた。どこか口惜しく思い、じっと唇を見つめていると、それはぴっと真一文字になったかと思えば、むず痒そうに弧を描き、やがては笑みの形となった。
サンダークラッカーのアイセンサーが半分閉じられ、頬は朱に染まる。

「ズイブン甘イナ」
「ああ…なんつったけ、えー…。そうだ!グラスホッパー!カクテル!チョコミントのアルコール入りみたいなアレ!」
「ソウカ…好ミカモシレン」

ようやく飲む気になったか?という問に、横に小さく首を振り、今日はこれが良いと再び深く口付けた。

【Love philter/惚れ薬】


「休み取ってー、二人で飲むぞ」
「…ソノ時ハ頼ンダ」
「おう!」

-END-

帰郷中

少し前から避難も兼ねて一時的に秋田へ帰郷中です。でも月末には仙台に戻るんだ。
4月には仕事も再開するんだけど、明らかに収入が落ちるんですよね…、あーヤバい…色々支払いが滞りそう。でもニート回避出来ただけでも良しとしよう(`・ω・´)

岩男 スプラッシュ

ぴくしぶに投稿したやつの色違い
鱗?が上手く描けなくて、勝手にアレンジしたらゴツくなっちゃったり、さんざ迷走しました。

泡と並べようとしたけど頭身が合わなくなったので断念
前の記事へ 次の記事へ