スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

実写 グラスタ

Dear starscream.
I am writing to tell you that…




手紙、というツールに興味を持ったのは、つい最近の事だ。それはこの惑星においても古風と言うか、人によっては時代遅れとも感じる、手間がかかるツール。
しかし手紙とは不思議な物で、時に直接会って話すより雄弁に相手に言葉を伝え、また面と向かっては言えない事も、気負わずに伝える事が出来るらしい
また伝えられる側も、間接的であるが故に感情的にならず、落ち着いて言葉を受け取る事が出来るらしい

先かららしいらしいと、煮え切らない言葉ばかり使っているのは、自分にとってこのツールが未知の物である為だ。
我々の文化はあまり文字を必要としない、セイバートロン文字というのもあるにはあるが、最早公用語としては使われておらず。文字を読めない者も少なくない
幸いにも自分とあの人はその例に添わず。彼ならばこれが手紙というツールである事に気付いてくれる筈だ。

自分はあの人に、伝えたい言葉が沢山ある。でも話そうとする度に、それらはいつも判然とせず正しい形になってくれない。
想いを上手く言葉に出来ないもどかしさだけが募り、自分は自然と無口になる。
だから無性に、ブラックアウトが羨ましくなる時がある。あいつはいつだってあの人に、善意であれ悪意であれ遠慮なく言葉をぶつける。またその逆も然り、互いに諍いになろうとも物怖じしたりしない。

自分に出来ない事を、いとも容易く行う2人の関係が羨ましく、そう感じてしまう自分は疎ましい。

だから自分は、手紙を書く事にした。
あの人に想いを伝える為

しかしいざ書こうとして、ペンも、便箋も、封筒も、自分は手紙に必要な道具を何一つ所持していない事に気付く
トランスフォーマーサイズのそれらを用意出来る筈も無く、プリテンダーのボディを使って人間の街に買い物に出る。





所狭しと並ぶ白、ピンク、グリーン、無地、ストライプ、ドット、アニマル、フラワー、カラフルな色と様々な種類の柄に目が回りそうになりながら、封筒にうっすらと青空がプリントされている。シンプルなレターセットを選んだ。
単純かもしれないが、これを見て白雲を蹴散らし、青空を裂くように飛ぶあの人を思い出したから。
何本かペンも買った。インクはどれも黒だが、力加減を誤って壊した際の(人間用の製品は、どれも自分にとって脆すぎる)保険と言う奴だ。



* * *



親愛なるスタースクリームへ

私がこの手紙を書いているのは、当たり前かもしれないが、貴方に伝えたい事があるからだ。
断っておくが、まかり間違っても貴方への批判や軽蔑の類いではない、だからどうか最後まで、この手紙を読んでくれるよう願う。

スタースクリーム、私は貴方が心配だ。
最近の貴方は、ディセプティコンの重鎮という立場を鑑みても多忙過ぎる。
どうかもう少しだけでも自愛して欲しい。余計な世話だと貴方は言うかもしれない。だかそれでも、言わずには居れないのです。貴方はお気づきではないかもしれませんが、他者である私から見ても、貴方は疲れているように思えます。
私程度に助力出来る事は少ないかもしれませんが、些細な事でも構いません、どうか手を貸させて下さい。







グラインダーより


* * *



ゴン、と鈍い音を立ててスタースクリームはデスクへと突っ伏す。
その顔は、人であったなら朱を挿したように染まっているのだろうと予測できる。
排熱の為の呼吸で、床へと吹き飛ばされそうになる小さな紙片を、素早く、しかし破らないように慎重に爪の先で捕まえ、今度は安堵のため息をついた。

(こんなもん、他人に見られたら一生の笑い種だ)

本文と文末の間に、妙に空白が多い気がして注視すると、一度綴った文を消したのか、筆跡だけがでこぼこと残っていた。単なる書き損じかとも思ったが、気になったスタースクリームは、適当なデスクから鉛筆を借り、表面だけをこするようにして文字を浮かび上がらせてみたのだ。

(あの馬鹿…)

こんな状態では、仕事に集中など出来るはずがない

(くそっ…散々にこき使ってやる)

しかしそれこそが相手の望む事なのかと思うと、訳の解らない、悔しさと嬉しさがごちゃ混ぜになったような感覚が湧き上がり。その気になれば容易く灰に出来るそれを、鍵をかけてしまい込む。
内容は兎も角、封筒から便箋に綴られた文字の一つまで、全てグラインダーが自分の為に用意したのかと気付いた瞬間、これを処分する気が失せてしまった。

「はあ…」

がりと頭を掻く仕草をして、手紙の入った引き出しを眺め、また一つため息をつくスタースクリームだった。


いつかお前に、嘘がつけなくなる。

I do not want to watch the figure which you make hot.
Because the reason is because I like you.
With best wishes,

From Grindor
続きを読む

本拠地戦(*^ω^*)

仕事からの帰り道、駅ナカでも見かけたのですが、宮城野通りからクリネックススタジアムまで、あちらこちらにイーグルスユニフォームのファンが目立ちました。

案の定スタジアムは沢山の人が。
スタジアムにこれだけ人が集まるのは、地震の避難の時以来で、とても久しぶりな気がして、何だか嬉しくなりました。

実写 No.2の恋人? グラスタ

ああ、ここは静かでいい。

賑やかな祭り会場の中心から1キロ程離れ、柔らかな草花に彩られた川岸を歩く。
あの見事な桜も遠くにしか見えないが、さほど問題はない、常日頃空を飛んでいるスタースクリームにとって、この程度の距離は無いに等しいのだ。

本当なら今日だって、この人の体に押し込められてさえいなければ、久しぶりの休日を、思い切り翼で風を切って過ごしていた筈。だったのだが、オプティマスのいい考えのせいで、トランスフォーマー総出で花見に繰り出す事となり、しかも当の言い出しっぺは、早々にメガトロン様と宴席を抜け出してくれやがった為、先までジャズと2人、会場を探し歩く羽目に陥った。

と言うか今更、オートボットだディセプティコンだで文句を言う輩など(フォールン以外)いないのだから、デートをしたいなら、わざわざ部下を巻き込むな!
と先まで一緒に愚痴っていた筈のジャズまでもが、黄色い小僧と2人でどこかに行ってしまい、バリケードはフレンジーと、その他のメンバーも主2人が戻ってこない事を聞くなり、さっさと方々へ散ってしまった。

そうなるとスタースクリームが祭り会場に留まる意味も無くなり、苦手な人波を避けようと今に至る。

暖かな日差しが頬を撫で、夏の抜けるような鮮烈な蒼とは趣を異にする。柔らかな青が空を染める。
千切れ雲がゆるゆると流れる空を仰ぎ、スタースクリームはふと思い出す。

春は恋の季節だと
先日サウンドウェーブが話していた。

その時は、何を馬鹿な、原始的な有機生命体は兎も角、トランスフォーマーに恋の季節もへったくれもあるかと内心冷めて、奴の言葉を聞き流していた。
しかしながら春になってみれば、なかなかどうして馬鹿に出来ないものだと、考え直さざるをえなかった。

「スタースクリーム、どうか致しましたか?」

ふと湧き上がった人恋しさに、自分から誰かと行動を共にするなど

「別にどうもしない」

これと言って何をするでもなく、ブラブラと歩きながら空を仰ぎ、グラインダーのコートの袖を握る。
それに首を傾げるも、グラインダーは自分を邪険にする事はせず、静かにそばにいてくれた。

荒くれ者が多いディセプティコンの中で、この男は比較的理性的な方に分類され、それに加えて、自分を蔑む事も嘲る事もせず、つけあがる事も媚びる事もしない、安心して触れる事が出来る数少ない1人。

(ディセプティコン相手に安心とは、とんだお笑いぐさだな)

そう自嘲しながらも、自分の右手はコートの袖から奴の左手へと移動し、きゅ とその小指と薬指を軽く握る。
それにぱちぱちと目を瞬かせても、やはりグラインダーは指を振りほどくような事はしなかった。
これがあの馬鹿な駄犬ならば…とそこまで考えた所でぶんぶんと頭を降り、詮無い思考を断ち切る。全く、用も無いのに思い出すなど、我ながら腹立たしいブレインだ。
「スタースクリーム?」
「何でもない」

少しだけ指を握る力を強め、半ばグラインダーの肩にもたれかかるように体重をかける。常の金属の身体と違い、有機生命体を模して構成された身体は、じんわりと温かく、そして柔らかかった。
驚きか、はたまた不慣れな感覚に居心地の悪さを感じてか、ぶるりと、くすぐったそうに身を震わせたその仕草に、我知らず目を細めてしまう。

「心地良い」

ひらひらと舞う、桜の一片が、グラインダーの髪に降りる。
奴の黒髪にその薄紅はよく栄え、自分の目を楽しませた。

「はい?」

この、愛しさに似た感覚

「お前の肩は心地良い。もう少しこうさせろ」




これも全て、春のせいなのだろうか。

実写 No.2の恋人 ジャズビー

「ジャーズー!こっちこっちー!!」
「分かった分かった!少し落ち着け」

満開の桜並木の下、クレープの屋台目掛けてぐいぐいと俺の腕を引く青年、その身長はいつもの身体と違って俺より少し低い

「ねえ、何食べるの?」
「じゃあ俺はツナマヨエッグで、ビーは何にするんだ?」

言外に奢りだと伝えれば、サファイアブルーの瞳がきらきらと輝き、やった!と小さく跳ねる。そしてすぐさまメニューとにらめっこを始め、選んだクレープはハニー&ホイップとチョコバナナという、なんとも可愛らしいものだった。
どうぞ、と愛想よく笑う女の子(ブロンドの可愛こちゃん!)からクレープを受け取り、ついでにニコリと笑い返して代金を差し出す。

「いっただきまーす!」

バンブルビーが口いっぱいに頬張ったその拍子、中身が勢い良くはみ出し、こぼれそうになるのを反射的に指先でキャッチする。真っ白なホイップに混じってハチミツの金が陽光に光り、ふわんとバニラ香りの漂うそれを口に含めば、たちまち甘味が広がった。
お、美味いじゃん。と小さく呟いて隣を見れば、少し決まりの悪そうなバンブルビーの顔。失敗した!とでも言いたげに目を伏せて、上目使いに俺を見上げている。軽く肩を竦め、微笑みかけてやってようやく頬を緩めてくれた。

「えへへ、ありがとジャズ」
「ふふ、そんながっつかなくてもクレープは逃げないぜ」
「そんなのわかってるさ」

不意に吹いた暖かい春の風に、ハニーゴールドの髪がそよぐ。ひらりひらりと桜の花びらがビーの睫毛を撫で、それにくすぐったそうに目を細めた。

「綺麗だな、桜」
「うん!オイラも初めて見たけど凄くキレイだよね」

親友であるサムの両親の影響か、ビーはこの惑星の"花"と呼ばれる植物の一形態を、とても気に入っている。曰わく花とは、この惑星の生物にとって、美や生命力の象徴であるらしい

だから人は花に惹かれる。
時に華やかで
時に慎ましく
可愛い、美しい花に

虫や鳥、或いは獣は花の蜜やその後に実る果実からエネルギーを手に入れ、花はその対価として受粉し、また自らの子孫たる種を離れた場所に運ばせる。なかなかうまくできたシステムだ。

「サムのママさんのお土産に持って帰りたい位だけど…流石にダメだよね」
「そりゃあな」

祭りの喧騒に紛れて、さわさわと、桜が風に揺れる音がさざ波のように響く
淡いピンクの花びらが舞う通りを、ビーと並んで歩き、たわいない話で笑い合った。そんな中、ふと目に止まったのは鉢植えの花を扱う露天商。

「ビー、ちょっと見ろよ」
「なになに?」

俺が指し示したのは、それぞれ白とピンクの小花が咲いている背の低い植物。

「シバザクラだってさ」
「ホントだ!花が桜の形してる」

店主の説明によると寒暖や乾燥に強く、比較的育て易い花だという事で、土産としてビーがピンク、俺が白とそれぞれ一つずつ買う事にした。

「じゃあこれは俺からって、本当は直接が良いんだろうけど…俺はあんまり基地から離れられねえからさ」

友好のしるしとしてな。と言ったら、もー。大袈裟なんだから。と笑われたが、ちゃんと由来だってあるのだ

「?…なんかあったっけ」
「ホラ、ここの桜は、明治の終わりごろに、アメリカのタフト大統領夫人の希望により、当時の尾崎行雄東京市長がプレゼントしたものです…。ってガイドの人間が観光客に説明してたろ。つまりここの桜は友好の証ってヤツ」
「そっか!だからこれにしたんだ。…うん!サムやママさんも喜ぶよ!」

きっと来年の今頃は、庭でキレイに咲いてるね!と笑顔で話すビー。なら来年はそっちで花見するか?なんて冗談半分で言ってみたら。芝生は踏まないようにね!なんてどこかで聞いたようなセリフに思わず吹き出した。

「わかった。覚えとく」
「あとはサム達に了解とらなきゃね」


[operetta]
オペレッタ
喜歌劇、軽いハッピーエンド題材を扱ったオペラ



どうかこんな日々が
長く
永く
続きますように
続きを読む

No.2の諦念

さて、今日のトランスフォーマーはアメリカ合衆国の首都、ワシントンD.Cから物語を始めよう!!

「ジャズ…貴様誰に向かってナレーションをしているんだ?」
「気にしなくていい、それよりも…これからどーする」

その問いに、スタースクリームは小さく肩をすくめ、ふと空を仰いだ。
視界を埋めるのは、抜けるような青空と、さらさらと春風にそよぐ桜の花。時折、風に吹かれた薄紅が、ひらりふわりと舞い降りる様は、確かに風情がある。

だが

視線を落とせば、そこには人の山…もしくは川。絶え間なく動く人波にげんなりとため息をつけば、ジャズはそんなスタースクリームの様子に苦笑した。

「…この時期ここは、世界でも有数の観光名所だからなぁ」

ここ、ポトマック河畔の桜並木では、毎年3月末から4月のはじめにかけて、盛大に「桜まつり」が開催され、祭りの華のパレードやその年の「桜の女王」を決めるコンテスト目当てに全米から観光客が押し寄せてくるのだ。

「迷子探しなどやってられるか」
「…ボヤいても仕方ないだろ」

ホラ、行くぜ。とジャズに肩を叩かれてようやく、渋々といった風にスタースクリームも人混みに向かって歩き出した。

…それぞれの主を探し出す為に


* * *




賑やかに人々が行き交う、河川沿いの祭り会場。桜の下には数多くの屋台が軒を連ね、大通りには観光客と観光客目当ての露天商や大道芸人が行き交う

その平和な喧騒の中、のんびりと茶店でくつろぐオプティマスとメガトロン
それぞれ濃藍の小紋に緋色の帯、紫苑色の小紋に銀の帯、それにブーツという、和洋折衷の出で立ちではあるが、不思議と違和感は無かった。

「…まあ、及第点をくれてやる」
「いい店だろう」

そより そより と春の暖かい風が道を抜ける度、今が盛りと桜がゆらゆら揺れ、木漏れ日がきらきらと降り注ぐ、なんとも穏やかな光景。
木漏れ日が眩しいのか、それとも腹が満たされて眠くなったのか、しぱしぱと目を瞬かせるメガトロンを見て、オプティマスは愛しげに目を細め

「メガトロン」
「何だ?」

ちゅっ

振り向いたその時、ほんの一瞬の、掠めるようなキス

「ふふっ…」

驚いて目を丸くする。その仕草も愛しいと、常日頃の凛とした眼差しが和らぎ、ふわふわと頬を緩ませる。

「珍しいな」
「そうかな?」


* * *





「………なあ」
「…………なんだよ」

通りを挟んで反対側、ホットドッグ屋台の前で、砂を噛むような…もといあまりの甘さに砂を吐く心持ちで佇む二人の前には、ようやく探し当てた主が、人目もはばからずラブラブしていた。おそらく、いや確実に二人など眼中に無い

「戻るぞ、皆には適当に言い繕っておけ」
「そーだな」

あの空気に割って入る勇気を持ち得る者など、この宇宙にはいない。たぶん。フォールンあたりならやりかねんが、そんな事をすればオプティマスに顔を剥がれてオォゥ…な結果が待っているのは明らかだ。

お互いに向かい合えば、この数分間で明らかにげっそりした顔があった。
それに同時に溜め息をつき、更にそれを見て同時に苦笑いを浮かべる。




「まあ、こんなこったろうと思ってはいたんだけどなぁ…」
「…馬鹿馬鹿しくて泣けてくる」
続きを読む
前の記事へ 次の記事へ