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『静かな箱庭で二人』

(黒バス/帝光中時代/黒子)家庭科クラブな先輩






帝光中の図書室はそれなりに大きい。市の図書館ほどじゃないが身近に様々な種類の本が読めることができ、ついでに使用する人間も少ないので静かな環境となっている。
伊澄はそんな図書室を気に入っていた。ついでにいえば既に自分のテリトリーと可している家庭科室から距離が廊下1つ挟む程度だということも気に入っている理由の1つだ。
そんな図書室の隅の隅。普段は誰も立ち寄らないような大きな図鑑や辞典が積み重なっている部分、ここには伊澄が勝手に持ち込んだ椅子が存在し、彼女はその場所で悠々と文庫本を読んでいた。


「……」


天井まで届く本棚は背表紙に何が書いてあるかもわからない分厚く古い本が並び、そこには音の殆どが聞こえてこない。まさに絶好の隠れ所と言うべきか。普段籠もっている家庭科室は後日の授業の準備の為使用不可、ひっそりとそこにいる伊澄の姿は誰にも見られることはなかった。今までは、誰にも。


「こんにちは、杉原先輩」
「……ん?ああ、黒子か。何やってるの、こんな所で」
「少し調べものがあったので。先輩は?」
「ここ、図書室の私の定位置」


そういう伊澄に、影の薄さが随一の後輩は「なるほど」と無表情のままに頷く。人に流されるのを嫌いマイペースに自分の居場所を作ってしまう伊澄らしい行動に、出会ってからまだ間もない黒子も心の底から納得していた。挨拶を交わした伊澄はそのマイペース振りを表すように目線を本に戻す。
黒子は本のページを捲る音を聞きながら目的の本を探す為に分厚いものばかりのそこに目を通した。


「先輩、この本ってどこにあるのかわかりますか」
「……ん?どれ」


探す本の内容を言えば伊澄は目線を本から離さないまま「そこの下から3番目の段」と指をさす。黒子が無言で示されたそこに目を通し何冊か手に取れば目的の内容が書いてある文章を発見する。いくつかの本を見比べ、1つだけ借りることにしたのか分厚すぎることはないが大きめのそれを抱えた。


「見つかった?」
「はい、ありがとうございました」
「そう、なら良かった」
「…先輩は何を読んでいるんですか?」
「何、帰らないの」


ちらりと黒子を見れば本に向けていた筈の視線がこちらを向いている。伊澄は本をしっかり抱えているのに動く気配のない後輩に溜め息をついた。
最近気付いたのだが桃井を始めとしてバスケ部の1年が伊澄の行く先々にいてやけに絡んできてる気がする。きっと気のせいじゃないだろうが伊澄は考えることを放置した。考えたら負けな気がした。


「なんとなく気になったので。迷惑でしたか?」
「いや、別に。抱きついてきたり今日はこうすべきだって指摘されたり頭ぐしゃぐしゃにされるよりマシだわ」
「…はあ(桃井さんと緑間くん…青峰くんもですか)」
「あとこれ西尾維新」


知ってる?という言葉に黒子は頷く。てっきり堅苦しい文学のものしか読まないと思っていた伊澄は目を丸くした。


「黒子、知ってるんだ。なんか意外ね」
「杉原先輩こそ。いつも推理小説だったりノンフィクションだったりジャンルの幅が広いですけどライトノベルまで読むとは思いませんでした」
「あら、良いわよライトノベル。まあ最近は短編集ばかりなんだけど」


短いからいっぱい読めるじゃない。そういう伊澄は続きを読んでいるのか本に目線を落とす。でも「確かに長すぎると一度に読み切れませんよね」という黒子の言葉に「そうそう」と頷くのだからしっかり話は聞いているらしい。
ここで桃井や青峰だったら自分に目を向けて貰おうとちょっかいをかけるのだろう。自分もマイペースなことを分かっている黒子は特に気にしなかった。


「流石に1日読みっぱなしっていうのは無理だしね。でも時間空いちゃったら前の内容忘れちゃうから読み直さないといけないし」
「何巻もあると更にそうなりますよね」
「キャラクター性がガラリと変わっちゃって飽きちゃったりね」
「杉原先輩は飽きたら手をつけなくなりそうですよね」
「よくわかるわね」


あはは、と楽しそうに笑う伊澄の横顔を見ながら、表情を崩さないもののいつもより饒舌な黒子。
騒がしくはないもののいつも静まり返るそこに、楽しそうに言葉が飛び交うとある日の放課後だった。





静かな箱庭で二人





(なんでこの人の近くはこんなに落ち着くんだろう)(それは無言ですら心地よかった)



よし、考えついたら即だった黒子っち夢です出会いはすっ飛ばしました時間かかるって理解したから。書きたいこと書くって大事だよね!(開き直り)
先輩と黒子は読書仲間という意味で気が合うと思います。あとお互い超マイペースってのとか。普段から無理なんかしないけどでもどこか浮いた存在の黒子はそんな先輩に安心感を覚えればいいなぁ。妄想。ちなみに先輩にミスディレクションは効きますが多分気にしないんじゃないかと。あと黒子も意識して対高尾なミスディレしてるんだよ誘導してんだよきっと。

ちなみに黄瀬くんの名前がないのは彼が2年にうにゃららだから。でも基本帝光中は桃井青峰黒子が絡みやすそうだ。せーりんは二年が好きだ。リコリコと百合百合させてえ…←不純

アオイ様リクエストあざーっす!黒子好きって教えてくれたあなたに捧ぐ!


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