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『放し飼いの賢犬』

(軌跡/遊撃士主)

相変わらずロイドでない続き




困ったときの遊撃士協会。
そんな、民間人の些細な頼みから国家からの大規模な要請まで、多少の縛りはあるけれど事件の大小関わらず立ち回れるこの組織は国を越えて大陸全土に支部が存在してる。
大陸の二大国家に挟まれるというお国柄上他国に関わる問題を起こす訳にはいかないクロスベル警察は犯罪撲滅に力をそそぎ、逆に民間人の相談に乗ることが少ないクロスベル州では遊撃士の仕事が他の支部より多いのが特徴だが、それでも遊撃士協会としてのスタンスは全く変わらない。

ユウリ、エステル、ヨシュア。三人は三人ともそれぞれ自身の正義を貫ける場所である遊撃士協会を誇りに思い、日々依頼をこなし力を高めている。それは場所が変わっても揺るぐことはない。

どんな依頼でも受け付けるカウンターに、重要度がさほど高くなければ誰でも処理できるよう依頼を公開してある掲示板。1階は民間人からも遊撃士からも開けた場所であり、2階では仕事を終えた遊撃士の休憩スペースだったり民間人の相談をじっくりきける場所だったり、やはり開放的な作りになっている。それは国も地域も違えど共通したものであり、支部転属の挨拶に訪れたギルドの雰囲気にエステルは感嘆の声を上げた。


「うわー、やっぱりギルドはどの国も変わらないわね」
「そうね、でもうちは依頼数がかなり多い方だからあなたたちが来てくれて本当に助かったわ。今からアリオスも出張だったけど人手不足はこれでバッチリね!」
「アリオスさん、相変わらず忙しそうですね…」
「君達のお父上に比べれば大したことはないさ。それに彼の愛弟子にもな」


ちらりとユウリの方に視線をよこしたアリオスだったが、エステルとヨシュアを連れて来るなり早速依頼書を一人黙々と確認していた彼女は素知らぬ顔で依頼を選別している。こちらの話は聞いていただろうに、見事なまでのスルー。受領する依頼の数が束になってきているのも気のせいじゃないだろう。ここ最近増してきた仕事の鬼っぷりにミシェルとアリオスはため息を零し、しかし何を言ってもこの頑固者は苦言を聞かないだろう。
エステルとヨシュアは、事前にミシェルから連絡を受けていたとはいえ、そんなユウリの様子に唖然とするしかない。リベールにいたころも多々個別行動をとり、丸三日間寝る間も惜しんで仕事をするという無茶をしていたものだが、これは確実に悪い方向へレベルアップしている。今日一日はエステルとヨシュアにクロスベルの市内外を案内をするといっていたが、どうみても明らかに仕事片手間といった感じだ。


「よし、これでいいか。ミシェルさんお願いします」
「あんた…今日は二人の案内が仕事だって私いったわよね?」
「ちゃんと期間が長そうなの選びましたって。依頼主に説明受けるくらいの時間はあるでしょう?」
「…」
「討伐依頼もこいつらがこの辺の魔獣のレベル確認するのに丁度いいし」
「…」
「三人いればすぐ終わるでしょ」
「…」


ひー、ふー、…とう。……。
10枚を越えたあたりからとうとうミシェルは口を閉ざし、倍以上ある紙の束に最早なにもいうことがない。依頼期限、難易度、移動時間、それにエステルとヨシュアという信頼できる二人がいるというメリット。全て計算にいれてギリギリまで可能であろうことがわかって受領しているのだから質が悪い。
エステルもあまりの依頼数に文句を言おうとしていたが、馴れるためにというユウリのいうことは一律あり、自身も早速依頼を少なからず請け負う予定だったからか口をパクパクいわせるだけでなにもいえない。ヨシュアはただただ重いため息をつくしかなかった。


「エステル、ヨシュア」
「…はい」
「すまないがユウリをよろしく頼む」
「アリオスさん…」


国外への仕事も多く、忙しさでは協会トップクラスであるA級遊撃士である風の剣聖。そんなアリオスに頭を抱えさせる最年少A級遊撃士のユウリ。自分の力量を把握した上で無茶ばかりする同僚は、いつの間にこんなに大物になっていたのだろうか。当たり前だが、悪い意味で。


「ヨシュアー…」
「うん、わかってるよ…」


既に内容を手帳に書き込み、案内順と依頼者の場所を照らし合わせ終えていたユウリは、すぐに出発できるといわんばかりに戦術オーブメントの簡易点検を行っている。エニグマと、二人も見覚えのある前世代のものと、見たことのない三つを並べているのは何故だろうかと思いつつ、頭から鈍痛がしてつっこむ気力は朝だというのに残っていない。だが急かされていることは嫌でも理解できた。

だが、エステルと、特にヨシュアは激しく思った。このワーカホリックな問題児をほったらかしにしなくてよかった。クロスベルにきて本当によかったと。





放し飼いの賢犬





(さて、じゃあアリオスさん見送りに駅に行くわよ。あと駅で一件依頼あるから。そのあとは空港によって、ウルスラ間道ね)
(あんですってー!?初っ端そんなにあるの!?)
(どちらがついでなのだろうな)
(すみません、多分悪気はないんです…多分)
(なんだか切ないからやめてちょうだいヨシュア)




エステルを疲れさせるってなかなかないなと思ったが放浪者がいたからそんなことなかった。ただしアリオスを疲れさせるのはユウリだけだよ多分。
いつの間にこんなとんでもワーカホリックに進化したのか不思議でしょうがないけどセシル姉ちゃんの妹だったらこんなに働くのもしょうがないと思いました。ノイエス家の勝手なイメージが酷い。


ちなみにユウリは戦術オーブメント複数持ち。理由はちゃんと文章にできたらいいな。ただの願望妄想。あとエステルヨシュアが知らない戦術オーブメントってのは閃のアークスです。マスタークオーツ先取りライン増って零時のクロスベルだと脅威だと思うのだよ。オリビエいるし手に入れるのは問題ないでしょう多分。
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