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『嬢と彼らの三角関係』

(ぬら孫初代シリーズ/秀元とぬらりひょん)嬢

なんかテンションとかおかしい





花開院秀元さんは陰陽師。
ぬらりひょんさんは妖怪。

本来敵対してもおかしくない関係のこの二人は、こちらが呆れて物も言えないほどかなり気が合う。
その仲の睦まじいことや、とりあえず周りから一、二も頭飛び抜けた実力がある彼らが組んでしまったら負ける姿なんて想像出来ないしまず立ち向かおうとも思わない。それは精神面でも同じことで、この二人が手を組んで私に向かって微笑んだときの寒気は一生忘れられないものになってしまった記憶を消し去りたいくらいだ。それに秀元さんの式神ちゃんたちが加わってみろ…あの時の私は清水の舞台から飛び降りることの方がマシに思えたぞ……。ちなみに私は最近、秀元さんのお兄さん、是光さんと酒を呑み交わし互いの苦労を吐き出してみました。今度は高い酒を準備してますね…!(届け、私の唯一の同士に!)

とにもかくにもそんな仲の良い二人だが、今更ながらなんでそんなに意気投合しているのかたまに不思議になる。そりゃ、性格の一致もあるんだろうけど、同族嫌悪って言葉が存在するのかどうか調べてみたくなるほどなんだが。
狐すら化かすその性格は完全に一致しているし実力は互いに頂点の存在。しかも二人とも顔はこの時代の基準はともかく私のこの中のイケメンランキングNo.1。二人ともNo.1だ。
だから私は思わず秀元さんに聞いてみた。


「秀元さん」
「ん?なんや、壱はん」
「秀元さんとぬらりひょんさんって……―――できてるんですか」
「……」


その手にあったデンデン太鼓は、次の瞬間私の額にクリーンヒットしていた。


「ガッ!?い、い、いったああああ!!」
「………」
「んな、ななな何するんですか!!太鼓!?普通、で、デンデン太鼓投げますか!?下手したら失明してますよ!!なんか言うことないんですか!!?」
「いやあ…な」
「なんですか!?」
「ふざけるのも大概にせんと、いい加減、怒るで?」


笑顔の秀元さんと、その手が次に握りしめたけん玉に、反射的に土下座したのは言うまでもない。その瞬間私は風になった。…こっそり舌打ちしたがな!
べ、別に良いじゃないか。ただのお茶目じゃないか!顔→よし、性格→かなり気が合う、立場→決して交われない敵対する種族のトップ同士。全て合わせたらそりゃ私的には最高じゃねーの!?な展開だよ。どっちが攻めでもいいよ!
土下座を楯に顔を隠し(……あ、やっぱうめえ)と思ってたら、今度は床に額を付けていた私の頭上から落ちてきた何かが折り曲げていた腰と腹部に多大なる衝撃を与える。


「ぅぐえッ!!?」
『恵姫さまダメだねー』
『思考駄々漏れだよねー』
「、ッ!ッ!?」


い、痛、痛すぎて言葉も出ない…!
上に落とされた式神ちゃん×2にけなされ、秀元さんのいる方からは目覚めてしまった超感性が寒気のするオーラを感じ、痛みに涙が滲み出るより先に背筋に汗が流れる。

数時間、きゃっきゃっと無邪気にじゃれつく重し×2を背負いながら私がすることは、ただ一つだけだった。



っていうのがお昼前の話で。



「……」
「うぎゃ!?ちょ、全身痛いんですから叩かないで下さいよ!!」
「ああ?」
「すみませんでしたふざけてましたすみませんでした!」


こちらも気に障ったらしい、お相tゲフンゲフン、秀元さん宅から帰り道に偶然なのか出会った噂のぬらりひょんさんに痛む腰に堪えながら再び土下座する。石が手に刺さっていたかった。
まあこちらは私が相当痛い目にあったのを知ってるからか、笑顔じゃないだけマシ。だが私がその眼力にも敵うわけない。くそう…だがしかし二の足は踏まんぞ!


「おめえ…本当なんてこと考えてやがる」
「いやあ、それほどでも」
「今度はワシに上に乗って欲しいとはな」
「遠慮させて頂きます!いや、だからもう言いませんってば!!」


路上でにじり寄る姿にゾッとする。今日一日で土下座のクオリティーが上がった気がした。レベルアップ!テッテレー!…どころじゃねえよ!
この際額に何付けようが構わず土下座を続ける私の耳に聞こえてきた舌打ちは気のせい。うん、気のせいだ。私は何も聞かなかった。


「ふん…まあいいさ。おら、立て」
「はー…い、いたたた」
「ババアみてえだぞ」
「ば、ババア…(私の倍以上生きてるジジイに言われたかねえよ!)」
「あん?今なんか言ったかい」
「あ、あははは、と、ところでなんですがぬらりひょんさんが一番好きなものって何なんですか!?」
「…はあ?」


ドSなに肩を捕まれるが無理矢理話を反らしながら歩きだす。どうやら作戦は成功したらしい。うろん気に眉を歪ませながら隣を歩く姿にホッと息をつきながら提供した話題は、さっき秀元さんと話したことだった。


「ほ、ほら、話は戻りますけど秀元さんとぬらりひょんさんって凄く仲が良いじゃないですか!戦ったりとかしないし!良く酒も交わすみたいだし!」
「ああ?…ああ、まあ、そうだな」
「(よし興味がそれた!)だから秀元さんに聞いてみたんですよ。なんで陰陽師と妖怪であるお二人が仲が良いのかって」
「それで?」
「秀元さん、こう言ったんですよね。『昔はただ面白いからだったけど、僕とぬらちゃん、今一番好きなものが一緒だから』って」
「……」


急に口も閉じて表情も変える目の前の人に、あれ?っと首を傾げる。なんなんだ…この複雑極まりないみたいな表情は。
しかし好きなもの。しかも一番と言われたら気にならない訳がない。(八つ当たりを終えて機嫌が直った)秀元さんにも問い掛けたが、食べ物、玩具、嗜好品、どれもこれも違って結局いつもの笑顔で全てかわされてしまった私だが知るすべはぬらりひょんさんから聞くって手段もあるのだ。


「秀元さんはやけに楽しそうで教えてくれなかったんですけど、ぬらりひょんさんも好きなものなんですよね?」
「ああー……いや、まあ。……多分こいつしかねえよなぁ」
「……ええ!?人なんですか!?きゃあまさかの三角関係!?マジか!!」
「……」


なんてこった。これなんて昼ドラ。思わぬ一言に駆り立てられたモノに両方の拳を握りしめる。おいおい、私の好みのシチュじゃねーか!?
さっきより複雑味を帯びたぬらりひょんさんの呆れたようなもの哀しいような冷めたような視線は少し気になるものの、だがしかし暴露された三角関係にテンションは上がるしかない。
っていうか、ぬらりひょんさんの好きなものといえばやっぱり我が妹である珱姫しかいないよね!ということはぬら→←珱←秀って訳か!ぎゃあ何それ素敵珱姫万歳!


「あれ、でも秀元さんって珱姫に会ったことあるんですか?」
「何故そうなる」
「いやだから三角関係で…ああまあ秀元さんだからなんでもありそうですもんね」
「だからどうしてそうなった」
「やだなあ、ぬらりひょんさんったら照れなくてもいいのに!」


しらばっくれるぬらりひょんさんにカツを入れるべく、バシッと肩を叩きながら「応援してますよ!」と言うと、ぬらりひょんさんは「おい、壱。なんか勘違いしてねえか」と頬を引き攣らせたが、構わず「ああ麗しの三角関係よ!でも公式には勝利しか見えませんよねぬらりひょんさん!」と叩き続ける。


その日、哀愁漂うぬらりひょんさんの背中を見ながら本日得てしまった思わぬ収穫は、公式のナイスな裏側を見せてくれたものだった。





嬢と彼らの三角関係





(ああもう流石私の珱姫!素敵な関係をありがとう珱姫!)
(?姉さま、何のお話ですか?)
(次回を待て!)
((ああ、今日も姉さまは元気でいらっしゃっており、珱姫は大変嬉しく思います))


(おい……秀元)
(ぬらちゃん…どんまい☆)
(てめえ…被害に合ってんのはそっちもだろう!)
(僕応援されてないからまだ希望あるからなー。あはははは)
((イラアッ))←応援された人



お久しぶりなぬら孫シリーズ今回は三角関係をあらわにしてみましたぜベイベな巻。大変テンションがおかしくなっておりますが今更です。すいません。
ぬら→←珱姫←秀元は想像するだけで大変美味しいといいますかまあネタにはなるかなと叫んで頂いたら大変なことに。ちなみに腐った方もまあまあ妄想できなくもなかったから非常に楽しい結果になりました。私が。
ちなみに秀元さんは矢印な感情がありますが狙うとしたら漁夫の利狙いそう。でも総大将をからかうだけでもありそう。要するに好きだけど自分が楽しければよしって感じです。露骨ではないしベタベタもしないよ。寧ろ虐めるのが好きだよ。

番外編みたいだけど…まあいいかということにしとこう。さあ、次は何ヶ月後かな←
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