(デジモン/光子郎)


フラグが回収されたので仕方なく
行き当たりばったりこええ…






「目の前に最新型のパソコンがあります」
「…いきなりなんですか、なまえさん」
「いいから黙って聞く」


遊びに来たと思ったらなんの脈絡もない唐突な切り出しに呆れていうが、躊躇もなくずかずか異性の部屋に入ってきた彼女は真顔のそれを崩さない。寧ろ珍しく真面目な顔をして押してきており、光子郎は仕方なくパソコンに向かっていた身体を離し部屋のど真ん中で正座をするなまえを正面から見る。


「それで…ええとなんでしたっけ」
「今、光子郎くんの目の前に最新型のパソコンがあります」
「ああ、そうでした。……それで?」
「触りますか、触りませんか」
「はあ……?」


意味がわからない。相変わらずのその真顔は崩れず、だが珍しく真面目なようなので光子郎は呆れながらも仕方なく真面目に考えてみる。
ちなみに今まで触っていたパソコンは光子郎カスタマイズの少し古い型であり、なまえがいってるのは最新型。きっとこれよりスペックが高く、今まで以上に活用できるのだろう。きっと目を輝かせて触って調べまくるに違いない。自分のことながらネットジャンキーっぷりを理解している光子郎は、迷わずいう。


「触っていいのであれば、触ります。ついでにスペックも確認できて自分好みに改造なんてできると嬉しいです」
「…そう」
「……あの、なまえさん。一体何を」
「じゃあ、テントモンが目の前に出てきたらどうしますか」
「……よくわからないけど、いきなり現実世界に来たらビックリします」
「触りますか、触りませんか」
「……そりゃあ、再会するのは嬉しいですから触りますし。何よりテントモンから飛んできそうですけど」


意味が、さっぱり、わからない。
質問の意味もさることながら、だんだん真顔だったなまえの眉が歪んでいくことも不思議でならない。光子郎も呆れながらだが真面目に答えているのにこれはどうしたことか。昔から、出会ったときからなまえはそうだった。どんなに知識があって知欲があっても、なまえのことを全て理解できたと思えたことは、きっと今までありはしない。太一らも突拍子のないことをするが、なまえはそれ以上だ。そしてわからないところで不機嫌になるものだから、たまったものではない。
だが、そんななまえのことだからこそ、光子郎は一つ一つ知りたいと思っている。勿論、無意識によるものだったが。今もただ、なまえがこうなった理由を回転の早いそれでただひたすら困りながらも考えている。
せめて、不機嫌になることだけは回避できないだろうか。そう光子郎が仕方なく話を切り出しかけたとき、なまえは相変わらずの真面目な顔で、先程よりも緊張した様子で、言葉を紡いだ。


「じゃあ……みょうじなまえが目の前に出てきたら、どうしますか」
「―――は?」

「――さ、触りますか。触りませんか」


何を、といいかけた光子郎の視界に入ったなまえは、真顔が完全に崩壊し、寧ろ緊張しきっているそんな表情で。更にいうといつの間にか顔が赤くなっていたりして。


「――っ!!」


答えが、なまえのことがわかった、その前に、光子郎は自分の顔も、彼女のそれが伝染してしまったことに気付いてしまった。





Do You Touch Me ?





なあにこれえ…(久々に以下略)