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精霊恐怖症(仮)の女の子が気になる十代

(ygoGX/十代)

・一期十代と同級生
・よかれと思ってトラウマ製造する小学生男子な十代さん
・ヨハンがきたらもっと恐ろしいことになるに違いないがそこまで書く元気はなかったよ\(^o^)/







私は見えざるものを見ることはできない、ただの一般人だ。だが無駄に第六感は敏感らしく、何か周囲に普通とは違うものがあると、顕著に寒気や悪寒を感じてしまう…らしい。らしい、というのは私が所謂幽霊なんか見えないからで、寒いやら嫌な予感がすると思ったときにその手の友人に聞くところによるととにかく周りに何かいるらしいからだった。
そんな私だが、このデュエルアカデミアでは時折そんな寒気が背筋を襲う。何か姿の見えないものに触れることもある。しかも、それが顕著なのは、とある人物が近くにいるときで、私はその人物のことがとにかく苦手でそして怖くてしかたなかった。その人がデュエルが強くて、明るくて、まるで太陽な人だろうと、関わりたくなかった。


なのに、極力関わりたくないのに、なんでその件の人物は私を探しているのだろうか。


「あれー、こっちに来たと思ったんだけどなー。なあ、ハネクリボー」
「(ひいい!!やっぱりいるしなんか一人で喋ってる!?)」


物陰から顔をださずとも聞こえる彼、デュエルアカデミでいろんな意味の有名人、遊城十代くんの声にぶるぶる震えそうな身体を必死に我慢しながら決して音を出すまいと口元を抑える。一人で話す=何かいる、だが私にはそれが見えないのだから、遊城くんにはやっぱり幽霊的な何かが見えていてそれは彼の近くにいるに違いない。怖い、恐ろしく怖い。しかもそんな彼が私を追って来る意味がわからない。周囲に助けを求めようにも、彼から脱兎した私はどうやら勢いで人の少ない追って校舎うらに来てしまったらしく、私と遊城くん以外には誰もいない。普段、私が彼のことが怖いとわかっているのか、呆れた顔でストッパーとなってくれる天上院さんや丸藤くんもいない。声をかけて、いや助けを求めてくればよかったとこんなにも後悔をするとは思わなかった。


「なんだよ、せっかく翔も明日香もいないから、話できると思ったのに」
「(ああいない間を狙われたんだ!!なんてこった!!)」
「っていうかなんか俺避けられてるのか?目茶苦茶必死に逃げられたし」
「(避けてます逃げましたすみませんでも怖いんです!だから早くあっちに行って!!)」
「あんなにビビられること…俺なんかしたか?」


不安げな声を出す遊城くんの独り言に申し訳ないと思いつつも、やっぱり後に続く「ハネクリボーもわかんないかー…だよなあ」なんていう声に身体が強張る。ハネクリボーは遊城くんがよく相棒といっているカードの一つだが、カードに話す割には話が成り立っているように思える。彼が電波ならそれはそれでよかったが、微妙に離れた位置でもぞわりとするんだから、カードの名前に称された「何か」がそこにいるのは最早確実だ。
…やっぱり無理だ。不気味だ。怖い。遊城くんは悪くないとわかっていても、私はビビりだから得体のしれないものはそれだけで怖い。そんな遊城くんが私を追って来る理由がわからない、それが更に恐怖を増やしていた。


「(このままどこかにいってくれないかな…)」


そう震えながら願っていたそのとき、ぞわりと強い寒気が襲い、顔の真横に姿の見えない何かがいるのを感じる。思わず悲鳴を上げそうになるのを堪えたが次の瞬間聞こえてきたのは、一番恐れていた人の声だった、


「ハネクリボーナイス!そんなとこにいたのかよ、みよじ!」
「ヒッ!?」


遊城くんが明るい声でこちらに顔を出してきて、寒気も相俟って思わず離れようとするが、隠れていた場所が悪かった。校舎裏の建物の角っこで、死角にもなりうるここだが真正面から来られると逃げ場がない。遊城くんはいつものように笑っているが、追い詰められた感満載で恐怖しか感じない。寒気も先ほどから酷くそれが更に悪化させている。涙を零さないようにするだけで限界だった。


「う、うう」
「え、ちょ、泣くなよ!俺なんかしたか!?」
「うえええ」
「わあああ、追ったのは悪かったから!でもお前に俺のハネクリボーとか他の精霊たちも懐いてるから仲良くなりたかっただけなんだって!本当に!」


遊城くんは何やら必死に目茶苦茶重要そうなことを言ってる気がするが、寒気やらなんやらでパニックに襲われた私の頭では何が何だか理解できない。懐くとか、精霊とか、訳がわからない。


「訳わかんないぃぃ」
「だから泣くなって、俺が明日香に怒られるから!あっそうだデュエルしようぜデュエル!きっと楽しいぜ!」
「うええええ誰か助けてえええ」
「だあああああ助けて欲しいのは俺だよ!!」


我慢の糸が切れボロボロ泣きだしてしまった私の声と宥めようとしてくれるが正直逆効果な遊城くんの焦った声を聞き付け天上院さんたちが助けてくれるまで、あと十数分。
(天上院さんに怒られ責められ)ボロボロになった遊城くんにカードの精霊の存在を教えられるまで、あと数十分。
それらに懐かれているという爆弾を投下しながら、私と仲良くしようぜなどという遊城くんが、トラウマになるまで、あと――。





ヒーローはトラウマ製造機





(あ、なまえ)
(うわああああん天上院さああああん)
(おい、だから逃げんなって!仕方ねえ、いけハネクリボー!!)
((クリクリ〜!))
(いやあああああ)

(…なんで逃げられるとわかりながら追いかけるのかしら、十代は)
(あはは、多分アニキも悪気はないんだよ…ただ好意が全く逆の効果になっちゃうだけで)
(小学生か)



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