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「誰よりも速く走れる。
 誰よりも高く跳べる。
 誰よりも重いものが持ち上げられる。
それはそれで、話題性という点で商品価値はあるかもしれない。
でも、こんな能力自体は、まったく評価に値しない。
つまり、それらはいずれも、道具を使わない状況下における比較に過ぎないからです」


「たとえば、バイクに乗れば、誰だってもっと速く走れます。だから、足が速いからという能力で郵便局に無条件で就職できるわけじゃない。
ロケットエンジンを背負っていれば、何十メートルだって跳び上がれる。
クレーンを操作すれば、山だって崩せます。
人間は道具を使えるんです。
もし、道具を使うのはルール違反だ、とおっしゃるのなら、服も靴も、薬も食事も制限すべきでしょう。
オリンピックの選手だって、コンディションを整えるために、エアコンの利いた部屋で眠っています。
それに、もう一点重要なことがある。
人間よりも速く、高く跳び上がり、力の強い動物たちが地球上には沢山いるということです。
人間の価値はそんなものじゃありません。
同様に、記憶の量や正確さ、あるいは計算の速度も、道具を用いることによって改善できる。
では、何が残っているでしょう?
それは、研ぎ澄まされた思考だけです。
この世で比類ないものとして、人類に与えられた最高の機能。
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