「今年の恵方は南南東ー。……はい! GREENs恒例豆まきです!」
どうやらこのバスケサークルGREENs、鏡開きに引き続き節分と、こういうイベントごとはとことん拾って回る性質があるらしい。まあ、そんなことはサークルに入って3ヶ月もしないうちに知っていたけど。
イベントマスターの慧梨夏サンが、大きな荷物と一緒に体育館に入ってきた。さっそく袋の中から出てくるのはブルーシート。2年生以上の先輩は、それを颯爽と拾い上げてわーっと広げに走る。
「えっと、ブルーシートは」
「堤防を築くのね。ほら、ここって一応小学校の体育館であって私有地じゃないから豆が残ってもいけないでしょ?」
「ああ、確かに」
「えっと、鵠っちはうちと一緒に車に来てくれる? まだ荷物あるから」
「うす」